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第18回 『喫茶アメリカンについて言いたいことやまやまです』を振り返る③

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誤字の話

やまま でもKDPの出版ボタンを押すときに、ひさびさにプレスリリースをアップするときのボタンが怖い感じを味わいました。

Tak. こわいですよね。これを押したら世の中に有料で出ていくというあの感覚。お金を取るんだぞという。

やまま いくら個人のものと分かっていても、やっぱり誤字が散見されるとあーあ残念という感じがあるじゃないですか。お金出していただいてるのにとても失礼だと思いますね。

Tak. でもやままさんの原稿、誤字少ないですよ。

やまま 1個もう見つけたの……(笑)。

Tak. 1個ぐらいありますって(笑)。

やまま しかもCo-Edoのオーナーが教えてくれた。

Tak. あら。

やまま 「これたまごサラダって書いてあるけどたまごサンドだよね」って……(笑)。

Tak. それは誤字というか、なんなんだろう(笑)。

やまま こんなトラップある? と思って。

Tak. それは気づかなかったな。

やまま だから第2版を作らなきゃと。

Tak. これはあくまでも個人的な経験則ですけど、どんなに自分ひとりでがんばって校正しても、1万字に1個程度は出版後に誤字が見つかります。それを本当に根絶しようと思うと出せなくなっちゃうし、けっこうメンタルがやられちゃう。だからギリギリまで努力するけど、その上で「誤字はあってもしょうがない」と思うのが大事ですよね。

やまま そうですよね。超ビッグな漫画だって誤字強烈なのありますもんね。それで単行本化のとき直るという。だからまあ、極力減らすというのはお客様に対するおもてなしという気持ちでがんばらなきゃですけど、あんまり行きすぎないことですね。誤字では誰も死なないんで。

Tak. 商業出版はもちろん質が高いけれど、あれはちゃんと校閲、校正の人がいるわけです。それでもやっぱり初版には誤字が残ったりする。そう考えれば書いた本人がどれだけ必死にチェックしても100パーセント取り切るのは難しい。だからその辺はバランスですよね。
 ただ、あまりにも質が適当なものは、それこそセルフパブリッシング全体の信頼を下げてしまう。そこはある程度責任があるなと思います。異論はあるかもしれないけど、ぼくはそう感じます。それでもやっぱり個人でできることには限界がある。

やまま 校正だけでも誰かにお願いするのは有効ですね。

Tak. ペイできればね。ああ、さっき言ってたみたいに「お互いにやる」というのもありますね。

やまま それが平和ですね。

共同と負担とお金

やまま 共同セルフパブリッシングのいろんな形を試していると言われましたが、ひとりで抱えて書く以外のやり方で、どんなやり方がありましたか。

Tak. 去年から「ひとりじゃないやり方をいろいろ試す」というのを自分に課してるところがあって、「アメリカン本」の話をやままさんに持ちかけたのも実はその一環なんです。やままさんとの作業は、やままさんが著者で、ぼくがそのお手伝いをするというものですね。他に、自分でインタビューして自分の本として出す形、完全に半々で分担する形、他人の本の裏方で構成と編集を担当する形、いろいろやらせてもらいました。それぞれに難しさもあれば楽しさもありました。

やまま それぞれ大変さでいうとどうでしたか。

Tak. 構成して編集するみたいなことになると、大変さはどうしても上がっちゃいますね。当然そこはお金の配分みたいな話もからんできます。

やまま 二人なら双方の話でいいけど、人数が増えれば増えるほどそのあたりは難しくなりますね。

Tak. パイが減っていくわけですからね。もちろん楽しいからやっているわけだし、やりたいからやってるんですが、同時に仕事でもあるのでお金のことは避けて通れない。そもそも共同の場合はKDPがお金の分配の仕組みを持っていないというのが面倒なんです。

やまま 代表者に振り込まれてその人が手作業で振り込むという流れになりますからね。

Tak. そういうところも含めて試行錯誤して、けっこう勉強になりました。負担の話に戻りますが、そこを報酬にからめるのは難しいんですよね。同じ相手と常にいろんな仕事をして、あるときはこっちの負担が大きいけど、別のときは相手の負担が大きいみたいにバランスが取れれば、あんまり厳密に考えなくてもいいかなとも思うんですけど、一回きりのときは難しい。せっかく新しい自由なやり方をしているのにそこでモヤモヤするようなことがあると非常に嫌なので、そこはそうならないように意識することが必要です。今回もやままさんとお金の配分の話を最初からいろいろしていたんですが、最初に言ってた話とはけっこう変わりましたよね。

やまま そうですね。どのくらい作業が発生するのかは最初は見えないものだなと思いました。

Tak. 見えないし、配分以前に作業分担が明確に決まっていないので、お金だけ先に決めようとしても決められない。結果的にぼくの負担が当初の予定よりどんどん減っていったので、それに合わせてお金の話も変っていきました。

やまま 最初こう言ったじゃねーかとか、ログを残しておいてこれがエビデンスですみたいな言い方をすると……(笑)。

Tak. もちろん仕事だしお金のことはいいかげんにやっちゃいけないんだけど、じゃあ最初に契約書作ってガチガチに決めるものなのかというと、それだと意味がなくなるというか、せっかくの良いところが削られちゃう気がするんですよね。だからあんまりお金をガチガチに決めない方がいいことは間違いなくて、でもガチガチに決めないことによるトラブルというのもあり得る。そこは答えは出ていなくて、最終的には個人と個人の信頼関係でしかない。もちろんぼくの場合知っている人、信頼している人としかやっていないので、そうでない場合はおそらくもっとビジネスライクになるはずです。

やまま あと、お金の感覚が似ている人がいいですよね。見えないことですけど。

Tak. そうですね。あと大事なのは、もしモヤッとしたら口にすることかもしれない。それはあんまり得意じゃないんですが。

やまま 私もです。

Tak. 自分も口にするし、相手が口にしても気にしない。お互いに意識してそうすることで、あんまり不透明感、モヤモヤ感をためないようにするというのが大事かもしれないですね。リアルな話になってきたぞ(笑)。

やまま それ大事ですよね。複数名でやるという話になったらそこは避けては通れないですからね。

Tak. 今のところすぱっと均等分割して負担の重い軽いはあまり気にしないというのが理想かなと思っています。均等配分でそれぞれが自分が最善だと思うことをするという。ただ理想は理想なので、これが唯一の回答というわけじゃないです。負担的にこの形だとできませんということも当然あり得ます。もちろん今回みたいに明らかにメイン著者と編集協力みたいに役割が違う場合は別ですが。

やまま 仲のいい間柄だったら「半分だともらいすぎてるな」と思ったら何かで補おうとするじゃないですか。宣伝がんばろうとかイラスト描ける人手配しようとか。

Tak. それぞれ自分の得意なことをやって、あんまりガチガチに決めないというのが理想ですね。

やまま まあそういうふうにすぱっといかないことも多いでしょうけど。

Tak. 多いでしょう。そこはやっぱり、ね。

やまま ちょっと視野を広く取って、一回限りで考えないというのがいいかもしれないですね。俺今回は損だったかもしれないけど、じゃあ次はその辺相談してみようとか。真面目な話しちゃった。

Tak. お金の話になっちゃいましたね。

やまま お金大事ですよ。

(おわり)


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