人にすすめるアウトライナー問題2024
「アウトライナーに初めて触れる人にどのアウトライナーをすすめるか」という問いに対して、私は長いこと(2018年以降くらい)「Dynalist」と答えてきました。
これは「Dynalistが常に最高のアウトライナーである」という意味ではありません。「最高のアウトライナー」はもちろん、目的と状況と好みによって変ります。
それでも、「はじめての人にオススメは何ですか?」と問われれば一貫してDynalistでした。このマガジンを含む解説記事の画面見本にもだいたいDynalistを使ってきました。
Dynalistが良かったのは、WorkFlowyが道を開いてきたモダンなアウトライナーの機能と操作性を持ちつつ、フリー版の項目数制限がまったくないところです。
アウトライナーは項目をたくさん作ってなんぼというところがあり(私がおすすめするような使い方をすると特に)、残りの項目数が気になっているとその力を実感できない懸念があるのです。
フル機能版が有料なのはもちろん当然のことなのですが、はじめて使う段階で項目数の制限が気になってしまうと、アウトライナーのメリットを実感できないという危惧があったのです。
それに対してDynalistのフリー版では、機能に制限があるものの項目数に制限がない。これはとてもありがたいことでした。
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そんなわけでずっとDynalistをおすすめしてきたのですが、Dynalistはもう何年もアクティブに開発されていない状況です。開発者のShida LiとErica Xuは、今ではDynalistよりもノートアプリのObsidianの開発で有名であり、そちらではるかに大きな成功を手にしています。当然、Obsidianにリソースを振り向けているわけです。
「ノートアプリ」などと書きましたがObsidianはそんな単純なものではなく、私のように80年代からこの手のツールをウオッチしてきた人間からすればCosense(旧Scrapbox)とともに「夢の個人用ハイパーテキストシステム」みたいに見えます。見た目もカッコいいし。
一方のDynalistはさすがに見た目の古さが目立つようになってきました。使っている技術が古くて、これ以上発展させるためには全面的に書き直しが必要だという話も(噂レベルですが)見聞きします。
動作はそこそこ安定しており、今のところ利用に問題は感じないのですが、今後もそうである保証はありません。そんなわけで、そろそろDynalistをおすすめするのは厳しいかなと思うようになりました。
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2024年6月時点で「アウトライナーに初めて触れる人にどのアウトライナーをすすめるか」と問われたら「WorkFlowy」と答えます。私自身も、メインのアウトライナーは今年からWorkFlowyになっています(正確に言うと、6年ぶりにWorkFlowyに戻ったというべきでしょうか)。
個人的にはBike Outlinerもぜひ試してみてほしいのですが、Macでしか使えずモバイル版も存在しないので、万人におすすめするには厳しいものがあります。
ということでWorkFlowyです。「はじめて使う人にとっては無料版の項目数制限が厳しい」という問題は変わらないので、無料版をちょっと使ってみてピピッときたら、いったん有料版(WorkFlowy Pro)に登録してしまうのがいいと個人的には思います(もちろん任意です)。
ただし年間プランと月間プランがあるので、いったん月間プランに登録する。それで項目数制限から解放された状態で1か月使いまくってみる。
その期間に「これは人生を変えるツールだ!」と思えたら(まあそこまで言わなくても「使い続けたい」と思えたら)、迷わず年間プランに移行する。そこまで確信が持てなかったら解約してフリープランに戻す。やっぱり不自由だと思えば、そこであらためて年間プランにすればいいのです。
もちろん、年額にすれば、月間プランより年間プランの方が割安です。
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WorkFlowyはプロセス型アウトライナーとして必要な機能はすべて備えています。そして「プロセス型アウトライナーにおける項目は部分であり全体でもある」という原理を仕様そのものに組み込んでいる、もっとも純粋なプロセス型アウトライナーです。
一般的なWEBプラウザが動作する環境であればOSを問わず使えます。iPhone、iPad、Android版アプリもあるのでモバイル環境も問題ありません(これはライフ・アウトラインとして使う際にはマストなポイントです)。
BikeやOmniOutlinerで言うところの「group」機能があればなとは思いますが、致命的な欠点というわけではありません。
意外に重要なポイントは、デザインが現代的かつ控えめでどんな環境にもマッチすることです(これはWorkFlowyをあらためてメインにしてみて実感したことです)。
はじめて使う方の入門としては、倉下忠憲さんの「Knowledge Walkers」にある「WorkFlowy入門」が秀逸です。
WorkFlowyについては個人的にいろんな思いがあります。そのあたりはこちらを。
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