アクションと爆発多めな新年映画
1・8『シャクラ』(ユナイテッドシネマ岸和田)
アクションで過ごす成人の日その1。上映館が少なくて岸和田でひっそりと公開されたドニーイェンの『シャクラ』を。宇宙を極めた者はその原点に立ち返る。予備知識なく『シャクラとは?』と見に行ったら、これが金庸の武俠小説を基にした、時代活劇だった。ワイヤーで飛ぶ、みんな飛ぶ。気で吹っ飛ばす。
濡れ衣をかけられた男の壮絶なリベンジ『シャクラ』。とある家に捨てられた子供はすくすくと大きくなって、立派なドニー・イェンに育ちました。現在の技術で甦る武侠小説の世界はチャンバラ国日本人にもなじみやすい。でもよくみんな空を飛び、気功で戦う。ツイ・ハークの映画のようだ。肉弾戦は控えめ。
とにかく人が、物がよく吹っ飛ぶ映画でした。ドニーさん御得意の格闘技も極めちゃうと、気功合戦になってしまう。儀に生き、正義を守る男の清々しさを堪能。功夫映画の原点、武侠片にオマージュをささげながらも新技術で、古さを感じさせない映画。
1・8『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(ユナイテッドシネマ岸和田)
アクションで過ごす成人の日、その2。中国・ドニーさんの後はアメリカ・スタローンさんです。『エクスペンダブルズ・ニューブラッド』新年そうそう胸のすくアクション、悪い奴らは生かしちゃいけないんです、いつの時代でも。中学生が画用紙に描いたような大雑把すぎるお話は、まあこういう映画だから。
もう4本目だからわかってるでしょ? な展開ですよ。悪い連中が極悪非道なことをすればするほど、彼らの活躍に爽快感を覚えるのです。今回も戦い甲斐のある大物悪役を配して憎々しくが倍増。一晩明けてから感想を書くと、落ち着いてよろしくないですが、とにかく痛快で爽快。鑑賞後の気分は最高な映画。
入場特典はエクスペンダブルズシールですよ! 流動的なメンバーの入れ替えもいつものこと。古参のドルフ・ラングレンも元気です。だんだんランディ・クートゥアの顔がアーネスト・ボーグナインみたいになってきた。『俺を殺す気か!』とトール(ランディ・クートゥア)の潰れた耳のネタも健在。鉄板ギャグのある殺しのダチョウ倶楽部ですよ。
『シャクラ』『エクスペンダブルズ』と東西ごきげんなアクション映画を観た帰りは、ごきげんなダイナーで、テーブル半分ほどの皿に乗ったごきげんな鬼のような量のジャンバラヤを食べる。三合ほどのバターライス! 自分も体の一部がステイサムなので、これぐらい、ごきげんで完食です。いい休日でした。
1・14『アクアマン失われた王国』(MOVIX堺)
海の近くの映画館で、海の映画を観る。『アクアマン失われた王国』。DC映画のちょっと緩い感じが大好きさ。ただでさえ謎の多い海底都市にさらに新たな王国、そして仇敵ブラックマンタの襲撃、それよりも育児が大変だ! 落ち着いたと思ったら爆発、危機一発になると誰かが助けに来る映画。
DC映画はこの流れでええやん、あの世界のバットマンっていまだにジョージ・クルーニーなのか? なんだか毎週ドルフ・ラングレンを映画館で見ている気がする、90年代か。怪獣気味な海の生き物に、外国の虫は普通にデカい、と思った。ゴキブリ食のシーンは嫌いな人は無理やろなぁ。そしてタコがいい。
ラスボスのあいつがダイモンに見えたよ。
犬、猫、アクアマン。
冒頭が『ご存じアクアマン大活躍』で、ヒーロー映画はかくありたい、と思う。海のバケモノぞろぞろ登場、去年の『MEG2』に続いての怪獣気味モンスター登場映画は嬉しくなってきます。しかし、ドルフラングレン、途中まで誰かわからんかったよ。登場メカがタコロボットとかサメ型潜水艦とか、魚介類モチーフなのが楽しくて、タツノコプロみたいでしたよ。そうか、これでDC映画のあの一連の流れは終わっちゃうんかよ。新しい展開が来ても、結局位受け入れるんですけどね、たぶん。『マンオブスティール』が最初に発表された時『今度のスーパーマン、パンツ履いてない!』ってみんな思ったじゃないですか、でもそれも慣れてしまったんですよ。明るい商店街みたいな雰囲気がして、好きだったんです、DC映画。
1・14『ゴジラ‐1.0/C』(MOVIX堺)
海の王様の映画の次は海の怪獣のお話。『ゴジラ‐1.0/C』を。色のない世界だと、ゴジラの異質さがさらに際立つ。クリアなモノクロ画面だけど、時代設定が時代設定だけに昭和の映画を観ている錯覚に陥る。そして今までよく見えていなかった部分、キャラの心情がよく見えた、ような気がする。
大戸島のシーンは夜景ということもあり、ゴジラが余計に生々しい。そして何度見ても『そこで機銃を撃てよ』と思ってしまうがそれをしちゃうと映画がすぐ終わって、ゴジラ‐1.0/‐c/-Gになってしまうよ。入場特典にカッコいいカードをもらったので額に入れたりなんかしました。
1・16『枯れ葉』(イオンシアタス心斎橋)
帰ってきたカウリスマキ。シアタス心斎橋で『枯れ葉』を、朝イチで。安定のフィンランド新喜劇。平凡な男と女がなんとなく出会い、離れて……。どんよりと重たそうなヘルシンキの空の下、いつものようにポップな色彩。スマホがなさそうな世界だけど、古びたラジオからはウクライナ情勢が流れてくる。
カウリスマキ作品は『そこでボケるの?』な展開が多い。つつましく生きる人たちに優しく、そしてハッピーになれる。で、寒い地域のせいか、登場人物はだいたいじっとしている。カメラもだいたいじっとしている。大変なことはフレームの外で起こる。その妙な間合いも好きだ。パンフ売り切れてた。寒々とした空の下、カラフルな人間喜劇。
男と女がなんとなく出会い、映画館で『デッド・ドント・ダイ』を見る。映画館に貼られた恐竜映画のポスターが気になる。調べたらカクカク恐竜コマ撮り映画『燃える大陸』だった。見終わってなんだかいい気分になれるカウリスマキ映画『枯れ葉』。ヒロインが飼う犬も何もしないけどいいキャラ。
1・16『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(シネ・ヌーヴォ)
心斎橋から九条へ。この日は電車移動。フィンランド映画の次はアツいアツい日本の戦争映画。 シネ・ヌーヴォ橋本忍映画祭2024で『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』。アイドルグループ『嵐』がデビューして、初お披露目の場所がハワイだった。考案者はこの映画のことを知っていたのだろうか、たぶん偶然。まさに太平洋の嵐。
タイトル通りにハワイ、ミッドウェイ海空戦を大特撮と東宝軍人オールスターで見せる戦記大作。東宝大プールの大海戦、さらに巨大な船のミニチュア。特撮もすごいけど、空母の甲板の実物大セットを組んで、そこに戦闘機を並べているという絵が、改めてすごいことやってるなぁと思いました。
沈みゆく空母飛龍の中で、語らう田崎潤と三船敏郎というファンタジックなシーン。田崎さんはこの後深海専用改造人間カイゾーグ作るから、これぐらい大丈夫ですって。戦闘に次ぐ戦闘を見せつつも、根幹にあるのは戦争の愚かさなんですよ。この前に見た『枯れ葉』とまるでベクトルもジャンルも違うけど。
人類最大の暴力行為である『戦争』の愚かしさ、怒りは繋がっているんですな。太平洋でも、ウクライナでも。戦争は良くない、面白くないからもうやめにしよう。
1・21超大怪獣大特撮大全集『ガンヘッド』『ヤマトタケル』(シネ・ヌーヴォ)
20、21と恒例の超大怪獣。『ガンヘッド』『ヤマトタケル』の川北特撮&高嶋兄特集。まずはガンヘッド。あの夏のことを思い出しながら鑑賞。何もかもが早かったかもしれない。ほとんど英語、アメリカナイズされたやり取り、ハリウッドにタンクモードで挑戦した日本特撮。死ぬ時は直立モードで。数年ぶりに見返しても、やはり、わかりにくい、暗い画面にスピーディなカッティング入れるとわかりづらいのか? 日本語と英語の混ざった会話が、なんだかみんなブツブツ独り言いってるようにも聞こえる。たぶんおそらく、作劇としては恐ろしく設定方の説明不足の映画、だと思う。粋なことしているようで滑ってる。ただしメカ特撮はいい、という月並みな答えになる。これがあってのVSゴジラシリーズ。
未来のロボット戦争の次は過去にさかのぼって光り過ぎる君へ、『ヤマトタケル』。日本神話+シンドバッドシリーズのような作風が楽しい。巨大なヤマタノオロチに、満を持して登場する宇宙戦神。主要キャラのほとんどが何かしらの光線を出す、ビーム映画。ロケとセットがふんだんにあって、かなり贅沢な作りなんですよ、でもどこか真面目過ぎるというか。肝心の宇宙戦神の登場からの対ヤマタノオロチ戦がもっさりした印象。
帰宅して当時買った下敷きと団扇や関連書籍引っ張り出す。
思えば、昨年の超大怪獣は目黒祐樹出演『里見八犬伝』で終わり、今年もまた目黒祐樹の牛頭大王『ヤマトタケル』で開幕するという偶然。なんやかんやで夏休みのワクワク感が蘇る二本、そして冬にはゴジラが控えていた時代。で、入場時にもらったキラキラシール、本編上映前に流れた予告編、これは?
大阪怪獣談話室のお客様が製作し『第21回 #全国自主怪獣映画選手権 須賀川大会2023』で準優勝『鶴祇~ツルギ~』でした。上映前に辻川監督、小西特技監督のご挨拶。本編は2.24大阪怪獣談話室DX2で上映予定。
自主怪獣映画といえば佐藤高成監督『失われた夜に』は金曜日までヌーヴォXで上映中。週末は満席でした。川北、大森監督が大阪芸大にまいた種が今、こうして花咲いている。やはり『ガンヘッド』は偉大だったのだ。