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石徹白Life2448日目【不思議な天井裏】そこはまるで異空間への入口だった。

天井板を踏み抜きそうになったのは御愛嬌で済んでよかった。

マジで危ないので、気をつけましょう。

家の中に誰かの巣があった。

鳥なのか、小動物なのか、藁で居心地のよい環がつくられていた。

家主は長いこと留守のようだ。

箒でかき集めて、大地へ戻すことにした。

木造の家は森で暮らしているようなものだと思う。

境界がありそうで無さそうで連続性の中に生かされている。

人の目には見えにくい菌類もそこかしこにいて、

家が呼吸して、様々な出逢い、交流する場になっているのだろう。

天井板の上に掌よりも大きな石が置いてあった。

2階の床板を剥がさなければ、知らぬまま暮らしていたかもしれない。

なんだこれーっと、子ども達とその瞬間を共にできた。

何か意味があるのだろうか。

意味はなくとも意図があるとすれば、何だろう。

あなた80年以上もここに居たのですか。

2階の床板を順番に剥がして、釘を抜く。

1枚ずつ空気圧できれいにしていく。

60枚を越えてくると、無心の瞬間が訪れた。

3人の息が徐々にかみ合っていく作業のリズムが心地よい。

45リットルのゴミ袋1つが満杯になるほどの埃、ネズミの糞、藁くずなど。

よくもこんなに溜まったものだ。

まあ、よく頑張ったとは言わない。

「この家に引っ越すのは解ったけれど、

すぐに住みたいって氣持ちにならないなあ」と娘がつぶやいた。

素直な言葉にホッとした。

生きるってのは、想定外のことが当たり前だから、

出来上がったものがポンと差し出されるよりも、ずっと前から、

この過程をお互いの手足を動かして創っている。

自分たちの足元を感じていれば。

何とでもなる。

何とかする。

自分で生み出せる。

一緒に生み出せる。

そうした諸々のことは、言葉だけじゃ理解できないから。

野山を駆けるのと同じように、人生を遊ぶのに大切だから。

いろんな都合を吹っ飛ばしてゆく爽快さを楽しんでいこう。

どこに辿り着くのか。

知らなくても旅はできる。

異空間への扉は、そこかしこ。

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大西 琢也  TAKUYA ONISHI
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