見出し画像

ランナーの貧血対策は、鉄剤飲むタイミングと抗酸化!!

ランナーに貧血はしばしばみられます。
大阪市立大学の調べでは、男性の9.3%、女性の17.7%に貧血がみられたとのことです。特に月間走行距離が長いほど多い傾向にあるとのことでした。

以前から、走行により足の裏の血管で血液が壊れてしまうからとか、発汗により鉄分が壊れてしまうからとか言われています。

ですが近年は違う説がでてきています。それがランニングにより、へプシジンという体内の鉄分の調節因子が増加してしまうからというものです。

1.どうして鉄分の調節が必要なの?

鉄分の過剰摂取は毒とされています。心臓や肝臓、膵臓に蓄積して臓器障害をおこします。そして尿や便から排泄させることができないんです。なので吸収量を抑えているんです。

糖分なんかは摂取するとほとんど吸収されますが、鉄分は食品として摂取しても、薬として服用しても、ほとんどが吸収されません(薬で5-25%程度)。その調節をしているのがヘプシジンなんです。

2.ランニングをするとへプシジンが上昇する

ランニングをすると、炎症や溶血と関連して、へプシジンが増加するようです。そして鉄分の吸収を抑制して、鉄分が足りない状態になります。

ランニング練習後の血清へプシジンの変化Ishibashi A,et al. Iron Metabolism following Twice a Day Endurance Exercise in Female Long-Distance Runners. Nutrients. 2022 May 2;14(9):1907.

ランニング練習後の血清へプシジンをみると、ランニング後から急増して翌朝もまだ高い状態になります。なので練習日の夜や、翌朝に鉄分の多い食事や鉄剤を摂取しても効果が低いわけです。内服の鉄剤の効果が低いので、一部のランナーは鉄の静脈注射など行ってしまう訳です。

また、血清へプシジンは朝低く、夕方高値になるようです。それを見越して鉄分を摂取した方がよいようです。日本のお医者さんは眠前に鉄剤を摂取することを推奨する方が多いですが、海外のサイトでは、早朝に飲むことが推奨されています

例えば日曜日にレースやポイント練習、木曜日にポイント練習をするランナーであれば、水木と土日の朝に鉄分の多い食事やサプリメントを摂取すると効果的でしょう。

3.鉄剤だけではなくて、抗酸化療法

鉄の吸収をよくするために「ビタミンCを一緒に摂取するといいよ!」とか「タンニンと一緒に摂取しちゃダメ!」とか言われています。

ランナーの貧血は、へプシジン増加が一番の原因と言われています。へプシジンの増加は、ランニングによる全身の炎症が一番の原因と言われています。

文献では「ビタミンDを試してみたら、へプシジンは増加しなかったが血清鉄は増加した」というものがある程度ですが、普段から抗酸化食品をしっかり摂取して(良質な脂肪酸やポリフェノールやビタミンD、ビタミンEなど)全身の炎症を抑えるよう心掛けるとよいと思います。


いいなと思ったら応援しよう!