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母で、格闘家で、ラウンドガール。あきぴさん×Dr.F④ ~誰かのために~

 Dr.F あきぴさんは既に「格闘技が好きだ」といういちばんの才能をお持ちです。格闘技に対するプライドもある。これはもうどんなカリスマ指導者でも、教えようのない部分ですよね。それに「お前は運動神経がよくないな」と言われたとしても、格闘技では何とか勝つ方法はあるんですよ。

あきぴ へえ~! そういうものなんですか?知りたいです!

Dr.F 柔術なら柔術のルールの中で「あきぴスタイル」を作り上げる。柔術全般を極める必要はなくて、柔術のルールの中で「私の戦い方」を修めていく。そこに気づいた選手は、すごく伸びるんですよね。

あきぴ 「私の戦い方」か……。それも今は、まだ考えられるような状態じゃないですけど。たとえばそれは、得意分野があったらそこを伸ばしていくということですか?

Dr.F 魔裟斗さんがK-1 MAXで活躍されていた頃、「魔裟斗の戦い方」をしていたわけです。もちろんK1を背負い、ジャンルを代表してきた選手であることは疑いようがありません。

ですが技術的には「何でもできるオールラウンダー、打撃の技術博物館」のようなタイプではなかった。おそらくは取捨選択しながらご自身のスタイルを練り上げられたように思うんですよね。

相手がブアカーオであっても、魔裟斗さんは魔裟斗さんの戦い方を徹底して貫く強さがあったんです。
 
――たしかに人気のある選手、華のある選手は、個性的というか、その人ならではのスタイルがあるような気がします。観客も勝つところだけじゃなく、その選手がどう戦うかを観に行っている、というか。「あきぴスタイル」ができたら、相当面白くなると思います。
 
あきぴ 「あきぴスタイル」ですか!分かりました、明日の練習からそれを意識してやってみます。すごく面白そうですね、なんだかワクワクしてきました!私、どんなスタイルをつくれるんだろう?
 
Dr.F 柔術だって、人によって戦い方って全然違うじゃないですか。徹底して柔術に徹する選手もいれば、MMAや実戦を完全に想定した柔術ファイターもいる。どっちが正しいとかではなくて、ほとんど生き方とか哲学の問題というか。
 


あきぴ あああ、わかります。戦い方からその人が滲み出てきたり、どんな人なのかわかったりする瞬間っていいですよね。
 
Dr.F まさに、そこなんですよね。格闘技はルールさえ守れば、戦い方は自由だから、その人が出やすいというか。

 「ホントは苦しいけど、平然と戦う」という技術もあるわけだけど、それは運動神経だけで語れるものじゃない、という。だから、そんなに運動神経にフォーカスしなくていいんですよ。「強くなりたい気持ちだけは絶対負けない」くらいに思っていれば。そういう選手は試合中にもどんどん強くなっていきますし。

あきぴ え!試合中にですか? どういうことですか?とても知りたいです。

Dr.F ファイターはトーナメントでさっき見た動きをすぐに試してみたり、相手の技をコピーしてやり返したり、その場での閃きたをやってみたりして、試合中もグレードアップしていくんです。

あきぴ ええ~っ! それは、その人のレベルが高いからできるんじゃないんですか?

Dr.F これ新人戦レベルでもやれます。僕の例で恐縮ですけど、僕の場合、相手にワーッと攻められたら慌てて反撃するクセがあったんです。

 でもあるトーナメントに出場したとき、順番を待ちながら別の試合をみていたら、ガンガン攻められてもクールに淡々と動いてる選手がいて。その選手、チャンスが来たら一気に反撃に転じて倒して勝っちゃったんです!

 それを目の前で見た僕は「あ、自分に足りなかったのはこれだ!」と。自分の番になって、その選手の真似をしたら勝てたんです。
 
あきぴ すごい!試合中にも強くなれる、それはすごい気づきになりました。


 Dr.F ラウンドガールとしてもリングに立った経験のある格闘家ってほとんどいないし、それに4人の子供を育ててきた大変さというのを、イメージとして自分の戦いに持ち込めるじゃないですか。

我慢比べの局面になったとき、「ここで私が負けたら子供たちがさらわれる」ぐらいのイメージで戦えば、我慢できたりしませんか?

あきぴ あ、たしかに!もしそうなったら絶対に負けられないですね。

Dr.F それです!「ここで負けたらもうカラテに向いてない、引退するしかない」僕はそんな感じでイメージを利用してました。

 大好きなカラテを奪われるほうがキツイ、それはヤダ、ここで動けばそれは無い、みたいな感じで。自分の方程式みたいなのをつくってました。もちろんそれでもダメなときはダメですけど(笑)


あきぴ 私も、次の試合はそういうイメージを作って出てみようと思います。

Dr.F とてもたのしみにしています。ところで、あきぴさんはこれからどういうところを目指していかれますか?

あきぴ 本当に漠然としてるんですが……私は一時期、シングルマザーの時期があって、しんどい思いをしたんですね。

 だから、自分の知名度をもっと上げて、協力してもらえる人を増やしていって、厳しい状況にあるお母さんたちが手ぶらで逃げ込めるシェルターを全国に作りたいと思っているんです。

それがいちばん上の目標で、その前にあるのが、自分で柔術なりMMAなり、格闘技の大会を開くことなんです。

Dr.F おおっ!

あきぴ この前、子供の支援学校の面接に行ったときに、その学校の生徒の3割はお父さんもお母さんもいないという事実を知ったんですね。経済的な問題とか育てられないとか、理由はいろいろあると思うんですけど、私に何かできることはないかと思って。

 私が大会を開催したら、そこでプラスになった分をそういうところの支援に回したり、格闘技をやりたい子に何かプレゼントしたりというところに使いたいんです。

 私は格闘技でいろんな人に助けられてきたので、今度は誰かのためになるようなことをしていきたいなと思っています。


Dr.F うわー、素晴らしいです!

あきぴ もっと近い目標としては柔術の帯の色を上げるとかもあるんですけど、ラウンドガールになってから格闘技に出会えたので、ずっと真剣に格闘技に向き合っていけたらなと思っています。

Dr.F 大きな目標があるからこそ、今、日々邁進できているんですね。すごいと思います! それは応援したいですね。僕だけじゃなく、その思いを聞いたら応援したいと思う人はたくさんいると思いますよ。

 また、あきぴさんが経験されたこととか、さまざまな想い、この先の夢や目標について、いろんな人に伝えることで、さらに広がっていくと思いますし、いろんな新しい流れも出てくる気がします!

あきぴ ええーっ! 人前でしゃべるなんてやったことないので、そのときは先生と一緒でお願いします(笑)


Dr.F ではステージの陰からセコンドで(笑)これからもどうぞあきぴさんらしく、思いっ切り駆け抜けてください。

あきぴ はい、そうします!


──お二方、大変興味深いお話をありがとうございました。お二人がこの場で出会ったことで、今後また新しい展開も生まれそうですね。楽しみにしています!

(以上です)

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