撮りたかった写真
僕は写真家ではなく、写真に関しては完全に素人である。
スマホで撮影するだけだが、セルフィーとなるとリーチが短いので、大体腕の長い人にお願いするくらいだ。
あくまでも、その前提だけど・・・
でもいつの頃からだろうか、「こんな写真が撮れたらいいなぁ」とイメージするようになった。
「ボヤっとした解像度の低い輪郭」だったり、「なんとなくこんな写真というディレクション」だったり、そういう感じなのだけど。
2023年1月7日、そんな写真が撮れた。
川口で新しい時代の文化を発信するJUKUBOXにて。
演出家・カクシンハン代表の木村龍之介さん、そして俳優/翻訳家の岩崎MARK雄大さんと共に、シェイクスピアと強さについて語り合えたのだ。
ともすれば、「高尚なる有名な偉人・知識人」の枠の中に押し込められがちなシェイクスピア。
しかしそんな400年前の人物が、現代に生きる我々にとって「地続きである」ーーーそんなことを実感させてくれる時間となった。
シェイクスピアのスイッチが入った瞬間の木村龍之介さんのオーラは半端ないし、英語で原文を時には演説のように、時にはヒップホップのように朗読する岩崎MARK雄大さんの切れ味も最高。
このトリオでの登壇は初めてだったにも関わらず、登壇者の僕にとっては「1時間が10分に感じられる」貴重な時間となった。
エレクトリカルなテクノロジー出現以前、シェイクスピアが言葉をあらゆる駆使して、新しい言葉も創造して、言葉で表した世界のあまりのスケールの大きさと考察の深さに、改めてビビった。
このような価値ある学びの機会を創造してくれるJUKUBOXさん、カクシンハンさんの未来へのエネルギーには感謝しかない。
そして第2部も凄かった。
ロミオとジュリエットを倉庫でやる、というおそらくは世界初の試みだろう。倉庫にある階段や機材を活用した演劇が、劇場のそれを超える瞬間には、鳥肌が立った。
なんとロミオが駆け上がろうとする階段は、途中までしかないのだ!想いがあるのに、言葉があるのに、相手に届かない。それを途中までの階段が雄弁に物語っていたのだ。
肉体と言葉と空間、そして圧倒的なパッションがあれば、演劇はいつでも現出する。人間のエナジーでシェイクスピアの世界を倉庫で蘇らせる様子を目の当たりにした。
暖房にあたりながら、飲食や立ち上がってのダンスも写真もOK。節度さえがあれば、自由に楽しめる。これは全く新しい、稀有な観劇体験だ。
そして、この写真こそ僕がイメージの中で撮りたかった写真だ。
演劇という表現に賭ける皆さんを、僕ができることで応援したい。その想いが、数年をかけてついにここに実現した。これもJUKUBOXで様々な企画を手掛ける菜月さんの挑戦するスピリットあってのこと。この写真は、これまでの僕のゴールであると同時に、新しいスタートでもある。
最初はハッキリしていないイメージが、いろんなご縁や協力のおかげで、具体的な形になっていく。そういうことってやっぱり面白いな、って思う。関わってくれた全ての皆様に、心からの感謝をお伝えしたい。
この日、夕方からもイメージが写真になった瞬間があった。それはまた次のnoteに記載してみようと思う。
当日、会場で『強さの磨き方』を読んでくれた方にたくさん出会い、直接感想を伺うことができた。読者の人生のほんの一瞬でも関われたことを、僕は心から嬉しく思うのです。