心臓震盪(2)護られるべき臓器
「心臓への外力は危険」この認識が大切であることを述べました。これ、言われてみれば当たり前のことなんです。
なぜなら心臓は「最重要臓器」だからです。
脳、眼、腸、気管、筋肉、骨、子宮、膀胱・・・あらゆる臓器、組織、細胞は「血液が通っているから生きていける」わけでして、心臓は血液を全身に送り込むポンプとしての機能を一手に引き受けています。
ポンプが機能不全に陥ったら→全ての細胞に害が及ぶ。
この「→」の方向が絶対的だから、「心臓」についてはセンシティヴであるべきなのです。
では、この心電図モニターの画面が何を表しているでしょうか?
そう、「心停止」ですね。
フラットなのは、心臓における電気信号が発生していないことを意味しています。
「この世とのリアルタイムの関係」は、心停止と共に終わる。
普段、あまり意識することはないかもしれませんが、この圧倒的事実は有無を言わせず誰にでも降りかかります。残念ながら例外は無しです。
ですから
「心臓は護られるべき臓器である」
この認識は絶対に必要だと思います。
そして身体には、「心臓を護る構造」がちゃんと備わっています。
それが胸郭(きょうかく)です。
左右12対ある肋骨(ろっこつ)、そして胸部正面中央にある胸骨(きょうこつ)で、籠のような立体構造を形成していて、心臓はその中に納まっています。外力に対して、骨がその外力を受け止める、構造的なブロック機能を有しているというわけです。
これは心臓震盪が「未成年に多い」ことの逆説にもなっていて、人間の全身の全ての骨が完成するのは20歳前後。
「骨が未完成」とはどういうことかというと、「まだ伸びている最中」ということで、「伸びている最中」ということは、「骨が固まり切っていない」ということです。
胸郭がまだ十分に出来上がっていない、心臓震盪が胸郭が未完成の未成年に比較的多いのは、そのような理由です。
とはいえ、成年以降にも発症例はあるので、「大人なら大丈夫というわけではない」ことも共通認識として持っておきたいところです。
(続く)
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