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スタートアップに於いて適合する人材の考察~あるいは只の入社エントリ~

ご無沙汰しております。takuya__kuboです。

何やら仰々しいタイトルから始まってしまっておりますが、おそらく最終的には「只の入社エントリ」という結論になってしまうであろう代物です。

この度、前職のユアマイスター株式会社を退職しまして、株式会社estieにジョインしました。
スタートアップ界隈にきて2年。気が付いたらestieに入社していた(!)ということで、折角なので入社エントリを書きたいと思います。

このブログではestieに入った理由を入社エントリとして書いておりますが、同時に「スタートアップに興味はあるけどちょっと検討中」という方向けに、「スタートアップの特徴や適合する際のポイント」を共有したいと思います。

あくまで個人の体験に基づくものですが、少しでも参考になれば幸いです。


▼2年前の入社エントリっぽいものはこちら(本ブログ読んで興味がわいたら見てみてください)

※気が付くと新しいことやっていがちですが、決して酔っぱらっているわけでも、気を失っているわけではありません。本当に。

久保のこれまでのキャリア

改めてこれまでの久保のキャリアを紹介したいと思います

博展時代 2011年4月~2013年10月

  • セールスプロモーション企業

  • 営業・Dir・PL・事業開発


リクルート時代 2013年11月~2020年6月

  • 一貫してHR領域/営業企画と営業(エンタープライズ担当)を経験

  • 当時最若手として営業マネジャー任用(エンプラ)

  • 事業戦略マネジャー(SMB営業戦略)/九州拠点長&全国営業戦略

  • 代理店事業開発担当後、再びエンプラセールスのマネジャー


ユアマイスター時代 2020年4月~2022年7月

  • Marketplace+SaaS企業。

  • 社長室で入社し資金調達、経営企画業務、事業企画、新規事業開発担当

  • 2020年12月 VP of Products兼務、新規SaaS「ビルメンクラウド」立ち上げ、事業責任者兼務


ご覧の通り、リクルート時代までは、セールスを中心とした一部事業戦略を担うBiz人材でしたが、スタートアップに入社してからは、資金調達、経営企画、事業開発、事業企画、プロダクトマネジメント、事業責任者とキャリアカバレッジが鬼のように広がっていきました。


下記の図で表現すると、「ヨコ(職域の幅)」が一気に伸びた状態です。

特に「プロダクトマネジメント」は非常に学習になりましたし、これからの自分の財産となる経験だったと言えます。

深さはあくまで項目間の相対イメージです

また、この2年間はとても刺激的な環境で過ごさせていただき、幸いなことに一定程度成果も出せました。

もちろん自分ひとりの力ではないものの、所属企業の売上を数倍にする戦略の推進や各種組織体制整備、コストを億円単位で圧縮する開発テーマの推進やパートナー企業の選定、大手企業との業務提携リードなど直近2年の間で残せたものはあったのではないかと思っています。

これを自分でいうのは非常に、誠に、大変、とても、気持ち悪いのですが、ある種「スタートアップに適合した」と言っていいのではないかと思います。

しかしながら、個人的に思うのは「能力が高かったから適合したのか」と聞かれると、「そうではない」と考えています。

スタートアップに「ハマった」のはなぜか?

スタートアップへの適合という観点を見る前に、僕自身が所属していた「リクルート」はじめ、先人が築き上げたエクセレントカンパニー(ここでは尊敬の念&抽象度を高める意味を込めて「エクセレントカンパニー」と呼びます)とスタートアップとの構造的な違いを見る必要があります。

さて、上記の構造から言えることは何でしょうか?

あくまで比較の上でという話ですが、下記のようなことが言えるのではないでしょうか。

  • リソーセスが少ない 

    • 個人のカバレッジを広げる必要がある

  • リスク許容度が高い

    • ハイリスクハイリターンの選択がされる

    • 蓋然性要求が低くなるため*1→検討から実行までの速度が速い

  • 組織化の程度が粗い

    • 個々人の自律性が求められ、組織化への貢献が必要

  • 事業貢献意識が高水準

    • 生半可な気持ちだと死ぬ&外で上げてきた実績とか関係ない


*1ここでいう蓋然性要求は投資実行段階での仮説の確度を指しています。 合理性がないものにめっちゃ投資するという意味ではございません。

大切にしていた4つのこと

これらのことを踏まえて僕自身が当時の入社時、並びに今estieに入っても大切にしていることは下記です。

①目的ドリブン

②領域を限定しない

③過去への尊敬は持つが遠慮はしない

④とにかくスピード


①目的ドリブン

  • コトに集中する

  • ヒトやポジションを気にしない

  • 「実現できる」ことを前提に取り組む


②領域を限定しない

  • 実現のためにすべての領域に染み出す

  • 得意領域を結合させてシナジーを生み出す

  • 誰もできないなら自分が苦手でもやる。(原案が一歩目を作る)

  • たとえ自分が得意でも「余計なこと」はしない。苦しくても「課題のど真ん中」に集中する


③過去への尊敬は持つが遠慮はしない

  • 組織の血流と筋肉の動きを理解する(歴史と文脈を理解する)

  • コトを中心として、相手の内面に踏み込む

  • 間違いを恐れない、すべて口にする


④とにかくスピード

  • 初速アウトプットの速度に魂をかける

  • tが短くなれば成長角度は鬼のように上がる(図解は松尾先生のスライドを引用)

https://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/20211216_PostCorona03_guest.pdf


その中でも一番大切なこと

これらすべて大事ですが、一番差分になりやすいのは最後のスピードだと思います。

やはり「リスク許容度」に始まる、「ハイリターン志向」と「蓋然性要求度の低さ」が大きく変わることもあり、このスピード感を自分のものとして使いこなせないケースはあるように思えます。


今はやや環境は異なりますが、僕の入社当時はスタートアップへ流入する資金は相当コモディティ化しており、「価値のあるビジネスを生み出すこと」と「その速度(t)」がすべてでした。

今は「Cash is King」な環境のため状況は相当変化していますが、それでも尚、スタートアップが果たすべき役割は「tを増やす≒ある価値を生むまでの時間を最短にすること」だと思っています。

このあたりを肌感覚でも構わないので、自分の中で強く覚悟して臨んでみると「あれ、案外行けるな」ってなります。


スタートアップ転職はアリ?ナシ?

アリでしょ!

ちょっと脅しっぽい表現がされてしまったかもしれないのですが、「誰が向いているか」という話というよりはそこに来るためのマインドセットの問題なので、全然アリだと思いますし、チャレンジする価値は本当にあると思います。

ちなみに、久保がスタートアップに入ったタイミングで決めていた初月の個人KPIは「月次の起案数」でした。

とにかくスピードでふるい落とされない!という気持ちで入ったのもあり、1日に1個以上意味ある改善ポイントを起案することを決め、それを実行していきました。

これは意外と良い目標でして、意味ある起案にするには組織文化や過去の意思決定を理解しないといけない(③)し、目的ドリブン(①)でなければなりません。

それだけの数を起案するためには領域を限定してはいられない(②)し、ゆっくりやっていたら全く進まない(④)ということで、自分が意識していたすべてを網羅する指標になっていました。

プロダクトでいうならば結構よいNorth Star Metricができていたのではないかと思います。

このように、エクセレントカンパニー→スタートアップの環境変化に対して自分なりの向き合い方を事前に用意できていれば、十分に活躍できるのだと思います。順応してみると案外スタートアップの環境もあっさり違和感ないものに変わるので。

おすすめな入社の仕方

あと、おすすめなのは、事前に業務委託で働いてみることです。

入社前にMTGや多少の業務に加わっておくと、スムーズにオンボーディングすることが可能です。

僕自身、前職もestieもこの形で入って、コミュニケーションやカルチャーフィットに対して入社後ほとんど時間を有さずに働き始めることが出来ました。

そして何より大事なのは、自分が何を得たいかです!

僕自身は、エクセレントカンパニーに所属しているより、自分の力でエクセレントカンパニーを作りたかった。今も、「リクルートに並び、超える会社を作ってみたい」と心から思っています。


そんなに「ハマった」と言っておいて、なぜ転職をしたのか?

自分自身がその立場、役割にふさわしくないと感じた

前職で、VP of Productsとしてプロダクト責任者を担っており、フェーズとしては上場準備も進んでいる状況でした。「仕事の影響範囲やSOのことを考えたら、残るべきでは?」と多くの人に言われたりしました。本当にその通りだなと思ったりもします。

当時の僕が考えていたことでいうと、上場を見据え「組織化」が進む中で、企業が目指すカルチャーや経営の意思決定スタイルと、僕が大事にする「考え方」にギャップを感じるようになったというところです。

前職のユアマイスターでは代表の星野さんはじめ経営メンバーと侃々諤々の議論をしながらも良い関係を築けていたと思っており、「何かあったのか」とか「喧嘩別れ」だとかそういった次元の話ではありません。

これは正しい、正しくない、良い悪いのお話ではなく、方向性や山の登り方のお話です。

正直、そのまま居続けることもできましたが、「経営を支えるメンバーの一員」に自分自身がふさわしくないと考えるようになり、最後の最後は「経営メンバーの久保」として自分自身に「NO」を突き付けた形です。

2022年の年明けごろからそんなことをよく考えており、次の機会は色んな方向性があったのですが、その中で決めた方針は、絶対に経営の意思決定ができる立場である「取締役」になろうと考えました。


経営は合理性を超えた判断が求められる

僕は、経営とは最後、合理性を超えた判断を求められる場所だと思っています。

正直、合理で詰められる程度の「問」や「課題」は大して重要なものではありません。合理で詰められる部分は最大限詰めた先に、「好き嫌い」でジャッジしなければならないところまで行って、本物の経営判断だと思っています。

僕は、前職においてそういった「経営観」の領域で方向性が異なると思うようになりました。

だからこそ、次は取締役の一人として、自分自身が経営の意思決定を持ち「経営観」を反映したい、そういった立場で迎え入れてくれる企業を探そうといくつかの企業の話を聴いていました。


estieにBizDevとして入社を決めた理由は何だったのか

ここまでとうとうと自分語りをしておいて何なのですが、取締役という立場がどうでもよくなるぐらい、面白いマーケット、事業と仲間に出会えたことがestieに一兵卒として入社することを決めた理由です。


商業不動産領域という圧倒的に大きなマーケット

  • 代表の平井が話していた、すべての経済活動は土地を必要とする。仮想空間ですらデータセンターという不動産を必要とするという話

  • 明治時代に岩崎弥之助が当時焼け野原だった丸の内を大胆なリスクテイクをして購入したことが発端となった現在の姿、そこから感じる「土地」という可能性


強力なMOATを持ち得るビジネスモデル

  • 圧倒的なMOATを持ち得るデータプラットフォーム

  • 業界と共に真価を発揮し、価値を深化させるマルチプロダクト戦略


多彩で優秀な仲間

  • それぞれがスタートアップで幹部になりえるポテンシャルを持つ人材

  • 意思決定の合理性と情理性を共存させる姿勢

最初の平井との面談でぴんと来てその後取締役3名と話す中で、どんどんマーケットの面白さやメンバーの優秀さを感じていきました。


「メンバー」と「組織」に対する凄みがある

特に「メンバー」と「組織」については凄みを感じています。

  • 「不動産」という重厚長大な産業出身者が多い中で、プロダクト組織所属が60%以上とテックカルチャーをきちんと保持している点

  • 顧客関係性やユーザー起点を重視し、正しく価値を届けるためのセールス/CSが徹底されている点

  • 個々人で観た際に、スタートアップやメガベンチャーで経営者や役員経験をしているメンバーが普通にBizDevやエンジニアリングマネジャーを担っている点

現在も毎月のように優秀な仲間が増えており、非常に刺激的な毎日を送らせてもらっています。

僕自身も、実は最後の最後COOとして期待していただける企業(estieと同じくらい素敵な会社です)と、estieとで入社を迷ったのですが、最終的には、何の役職もない一人のBizDevとしてestieに入社を決めました。

自分自身が経営のかじ取りを担うことについては、別に今も諦めたわけではありませんし、estie内でもきちんと結果を出して、機会を模索し続けたいと思っています。

ただ、現在の経営メンバーとは見ている方向性や考え方が非常に近しく、背中を預けられると同時に、取締役としての立場とは関係なく、経営の意思決定に関与できると思っています。

この間も経営会議に参加し、マルチプロダクト戦略を実現するための組織体制の議論を行ってきました。「経営の意思決定品質を高める」という役割を、今の立場からどう果たすのかを自ら見出していきたいと思っています。


今後の展望

僕は「とにかく難解な課題を解き明かす」ということに燃えるタイプなのですが、estieという会社が向き合っているオフィスをはじめとした「商業不動産領域」は本当に刺激的です。

この重厚長大なマーケットをより良い状態に導くということが本当に成し遂げられるかはまだわかりません。

ただ、顧客は本当にestieのことを応援してくれる人ばかりであり、ものすごく業界の皆様からの期待を感じています。

これほどの期待に応えないわけにはいかないと思っており、僕自身その一助となりたいと思っています。


マルチプロダクト戦略を爆速で推進していきたい

estieは「マルチプロダクト戦略」と評して、シリーズAのこの段階からプロダクトを複線化するという、スタートアップではやや早すぎる意思決定をしています。

僕は、この戦略を実現して「プロダクトポートフォリオ」を作れるような体制や仕組みづくりを担っていくのが当面の目標です。

前職で複数の役割を担い、同時にプロジェクト10個単位で並行して推進していたこともあるので、estie内で最速でマルチプロダクトを生み出していく方法を模索していきたいと思います。


中長期における目標は、時価総額1兆円を超えるエクセレントカンパニーを主要メンバーの一人として作り上げることです。そしてその先の10兆円の頂に向かう戦略を考え抜くことにもチャレンジしたいと思っています。


まだまだestieはシリーズAを迎えたばかり。1合目も登っていません。

一緒にこの産業を豊かにしていく仲間を絶賛募集しています。

特に急募なのが、次々に立ち上がるプロダクトおよび事業の「事業責任者」と「PdM」を担っていただける方です。


事業をドライブする事業責任者とPdMがestieの鍵

「事業責任者」については、事業開発として事業立ち上げはもちろん、その事業1つ1つをARR100億円へと育てていくことを期待されており、一つ一つの事業をカンパニーとしてとらえ、いわば一人のCEOとして活躍いただく想定です。

ドメイン理解は必要だと思うのですが、それ以上に事業マネジメント(マーケットメイクと組織マネジメント)を担える方が理想だなと思っています。

僕もそうですが、ドメインキャッチアップは何とかなります。本当に。


そして「PdM」については、その事業責任者をいわばCPOとして支える役割が期待されています。

組織は移り変わっていくため、今後はどのような体制になるかはわかりませんが、現時点では、一つ一つの事業に「事業責任者」「グループCTO(仮称)」「グループCPO(仮称)」を配置し、それぞれが1つの企業のように意思決定できるような体制を志向しています。

それを可能にするには、事業グループごとにスタートアップのCxOレベルを配置する必要があるため、そういったキャリアを目指す方にとっては本当にチャレンジングな環境だと思っています。


さて、長くなってしまったのですが、このあたりで筆を置かせていただきます。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

また定期的にnoteやブログ更新していこうと思っていますので、良かったら読んでください。

そして少しでも興味持っていただいた方、久しぶりに弊社オフィスでビールでも飲みながらお話しましょう!よろしくお願いします。


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