本の紹介2冊目『明治維新という名の洗脳』
**【はじめに】 **
今回私が紹介するのは苫米地英人さんの著書『明治維新という名の洗脳』という本です。
まず明治維新以降、現代も日本人に行われているのが洗脳です。
「明治維新は日本を開国に導き、時の志士が日本を考えて行った素晴らしいこと」と偉業とされる裏側はまったく違うものだったことが、本書を読むことで学ぶことができます。
そこには、外国巨大資本の思惑と、薩長の利益を追求するという思惑が一致したときに、日本は売られ、現代までその明治維新の洗脳が続き、ほんの一部の日本の既得権益者だけの利益に繋がる構造が出来上がったという話があります。
以下に著者の苫米地さんの紹介と、本書で特に勉強になった箇所を紹介しています。
**【著者の苫米地英人さんについて】 **
苫米地さんは、以下のように多くの肩書を持っています。
・認知科学者
・計算機科学者
・カーネギーメロン大学博士(Ph.D)
・カーネギーメロン大学CyLab兼任フェロー
マサチューセッツ大学コミュニケーション学部を経て上智大学外国語学部卒業後、三菱地所にて2年間勤務し、イェール大学大学院計算機科学科並びに人工知能研究所にフルブライト留学しました。
その後、コンピュータ科学の世界最高峰として知られるカーネギーメロン大学大学院に転入しました。
哲学科計算言語学研究所並びに計算機科学部に所属し、計算言語学で博士を取得しています。
【幕末の画期的なファイナンス】
現在の基本となっている政府の会計は、萩藩の会計システムが色濃く残っています。
萩藩は表面上貧乏藩だったにもかかわらず、大名直轄の闇会計(「撫育資金」と呼ばれるもの)で貯蓄することで維新の時の軍資金としていました。
【撫育資金について】
撫育資金は一般会計の「本繰」とはまったく別の極秘資金とされ、藩主直轄の撫育局によって運用されていました。
ちなみに、収益でいえば撫育局は本繰の4倍あったとされ、このため本繰が大赤字でも、撫育は常に潤沢な資金で溢れていました。
【撫育局が考え出した殖産の道】
撫育成局は室積の港に越荷方を創設しました。
それは日本各地からやってくる商人たちのための倉庫業で、すぐに評判なります。
例えば、大阪でお米の値段が下がっている時に、北前船の米商人たちは一旦馬関で荷を下ろして、越荷方の倉庫に保管米の値上がりを待って大阪に出荷したのです。
さらに、越荷方は倉庫業のかたわら、商人たちを相手に米を担保に金を融通する金融業までスタートします。
倉庫業と金融業が順調にまわるようになると、今度は新潟藩らと組んで朝鮮や上海との密貿易にも着手します。
また、幕府にとがめられても言い逃れできるよう、密貿易を専門に取り締まる八幡改方も組織するなどカモフラージュにも余念がありませんでした。
倉庫業と金融業と密貿易、この3つで稼ぎ出したお金を使って長州は維新のための戦費(武器弾薬など)を稼ぎ、100万両の蓄財ができました。
【国際金融家が日本に進出し、現在も外国資本による支配は続いている】
幕末の内戦時には、武器弾薬などを売るには最も適したタイミングであり、ここでの利益獲得を目指して国際銀行が進出しました。
国際金融家は各国の利益ではなく、自分たちの利益(武器売買と紙幣発行権)を優先して動きます。
そして、外国資本による薩長閥を介した日本の支配は明治維新によって成功します。
そして経済基盤をもとにした薩長閥の優勢は未だに続いています。
【最後に】
『明治維新という名の洗脳」 』は歴史書として優れているだけでなく、現在の我が国の経済と政策課題を考察する意味でもとても勉強できる本です。
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!