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本の紹介75冊目 『百歳の力』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、
篠田桃紅さんの著書『百歳の力』です。

この本は、100歳を超えて
今も現役美術家である著者の自伝です。

また、

「常識の世界に生きなかったから長生きできた」

「人生というものをトシで決めたことはない」

などと断言する著者が、

年齢に関係なく、
いつまでも第一線で活躍するための秘訣を語っています。 

それでは、紹介していきます。

【著者の篠田桃紅さんについて】


著者は美術家で、
1913年に旧満州・大連に生まれました。

本名は、篠田 満洲子で、
5歳の時に父に書の手ほどきを受けて、

桃紅という雅号が付けられました。

著者は、
墨を用いた抽象表現という
新たな芸術を切り拓き注目を集め、

1956年(当時43歳)で単身ニューヨークへ渡り、個展を開いて絶賛されます。

作品は国内だけでなく、
海外の美術館にも多数、所蔵されています。

【一流の仕事とは?】


著者は、百歳になって、
だんだん発想が衰えてきて、

描きたい形や線などが思い浮かべにくく
なるようなことは無いと言います。

それは、著書は常に
「私」という軸があるからです。

そして過去を振り返っても
スランプというのが今まで一度もなくて、

「調子が乗ったな」という日も
なかったと語られています。

また、
非常に困ったことが起こっても、 
心配なことがあっても、

何かを理由にして
「仕事が上手くいかない」というのは、
プロとしては許されないことです。

一流というのは、
「一切を超える」ことだと語られています。

【トシを規律にしない】


著者は、百歳になったときに、
長生きの秘訣を聞かれて、

「トシのことを考えないこと」
このように言いました。

それは子供の時から、

基準や規格に従っていないからだと言います。

著者は、
43歳になってから渡米をしました。

ほとんど無謀で、
なにも分からないで、
行けばなんとかなると思ったと語られています。

このように、
時の流れに身を任せて、

全く知らない新たな世界であっても、
とりあえず飛び込んでみる姿勢が

とても勉強になりました。

【自分の感覚を広げる】


著書は、長く生きてきて、
色んな人に出会っていく中で、

いつの時も作品が間に入っていると言います。

例えば、モダン・ジャス・カルテットの
ジョン・ルイスさん
はら

「あなたの絵を見ていると、
僕の中で音(サウンド)が湧いて来ます」

と言ったそうです。

ここでは、無駄を全て
そぎ落としたシンプルな絵が、

ジョンさんとの「音楽の共通性」
感じるということです。

ここで抽象というのは、
理解するものでは感じることだと言います。

抽象は色やかたち、
あらゆる手段で人に伝えようとしています。

だからこそ、
感覚は万人共通のものではなく、

その人にしか感じられない部分があります。

想像力や感性を磨いていくためにも、
アートに触れて、

自分の世界・感覚を広げていく必要があるのだと学びました。

【心を形にする】


著者は、
邦楽、落語、日本舞踏、歌舞伎能などは、

若い時は若いとき、老いたら老いたで
よろよろになってもやれるし、

逆によろよろの方が良かったりすると言います。

オペラやバレエなどの西洋文化よりも、
日本の文化は老いの芸術が多いです。

芸術というのは、
心の形が目に見えるということで、

目に見えるものが
演出者の年齢とともに変化しても、

観る方にもその悲しみが伝わるからです。

著者は、

うまい人っていうのは、心を形にする、
心とかたちと間の経路のつくりかたが
うまいから名人なんですよ。

と語られており、
「かたち」を通じて心で受け取るのだと学びました。

【最後に】


本書は、美術家である著者が、

百歳を超えてなお現役で人生を
全うするための秘訣を綴った一冊です。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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