会社を買って資産を増やすことが社会貢献にも繋がる時代
今日は『起業する』以外に少しでも経済的に豊かになり、しかも今後、日本に訪れる大廃業時代(中小企業100万社の継承者不足などで倒産)に少しでも力になれるかもしれない一つの選択、サラリーマンが、会社を買ってオーナーになるという方法が書かれた本『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』を簡単にまとめます。
本書は、現在キンドル版は無料です。
ちなみに、会計まで具体的にアドバイスが欲しいと言う方は『サラリーマンは300万円で会社を買いになさい(会計編)』を読んでみてください。
2025年の日本経済
日本の中小企業が黒字なのに継承者不足などで倒産する状況が続けば、経済産業省の内部資産では、2025年ごろまでの累計で、約、650万人の雇用と、約22兆円の国内総生産(GDP)が減少するとされています。
残り5年ほどで日本経済が大きく変わってしまうのです。
しかし安心してください、日本で圧倒的多数のサラリーマンこそが、その状況を変えることができると著者の三戸さんは言っています。
廃業、倒産は社会に負の連鎖を巻き起こす!?
黒字なのに継承者がいないとの理由で廃業することは、できることなら避けなければなりません。
理由は、従業員や取引先、その取引先の取引先、また銀行からの借り入れがあれば銀行にも迷惑がかかります。
この負の連鎖が地域経済に大きなダメージとなり最終的には国にとってもマイナスになります。
そのようなことは誰も望んでいません!
資本主義社会の大きな2つのタイプ
資本主義は、大きく2つに分けることができます。
それは、お金や人を動かしてお金を増やす資本家(オーナー)と、毎日満員電車に揺られながら通勤して、決まった給与を受け取っている労働者です。
本書の著者の三戸さんは、これからの時代はサラリーマンは会社を買って資本家になることを進めています。
ちなみに労働者は、平均寿命が伸びた我々日本人にとって老後は非常に暗い将来が待っていると言っています。
しかし、ここで注意が必要です。
三戸さんは、ただ会社を買って社長になるだけでは全ての恩恵を受け取ることはできないと言っています。
本章では富裕層と超富裕層の区別をしているのですが、大企業で頑張って能力を認めらて社長になった人(叩き上げ社長)は、社長の働きとして役員報酬を受け取ることに過ぎないと言っています。
もちろんその役員報酬は普通のサラリーマンの人に比べたら夢のような金額です。
そしてこのタイプの社長は富裕層です。
三戸さんは超富裕層になるには、会社の株式の所有率が社長になって同じ社長業をこなしているのにもかかわらず収入には雲泥の差がつくと言っています。
社長として君臨し、尚且つ株式を一定割合以上所有することによって、受けられる恩恵は、経営権、会社が儲かっていれば受け取れる配当金、そして会社を買った時の価格(企業価値)を上げて売却時に利益をだすキャピタルゲインなどたくさんの恩恵が受け取れます。
雇われ社長と、創業者もしくは会社の株を一定数以上保有している株主では受け取れる恩恵は同じ社長でもここまで違います。
これが富裕層と超富裕層の差です。
もちろんそこにはリスクもありますが、リスクをとってきたからこその超富裕層でもあるのです。
起業は絶対にするな
起業をすることは、小さな会社を買うこと以上にリスクがあると著者の三戸さんは警笛を鳴らします。
それは著者の経験にあります。
今まで資金をベンチャーキャピタル(以下VC)として起業家やスタートアップに出資してきたのですが、どれだけ顔を輝かせてビジネスモデルを説明していた起業家でも最終的に上場、もしくはイグジット(大企業などに会社売却)するまでに至ることは、かなり稀のようです。
いわゆる1000社起業してわずか3社しか成功しないせんみつ状態です。
なぜ起業して成功することが、ここまで困難なのでしょう?
起業とは、現在存在しない市場を新たに生み出すことで、その市場を独占してしまうことです。
よって起業は会社を設立することではなく事業を作ることです。
既にニーズがあり存在する市場に安売りなどの手法で参入するために新たに会社を設立することではありません。
この新しい市場を生み出す(事業を作る)ということが、並の人間には到底難しいということです。
そして著者はこのような起業家(事業を作る)をゼロからイチを生み出すゼロイチ起業家と言っています。
ここまで聞くだけでも怖い話なのですが、そんな成功確率の低い起業をするよりも既にある程度出来上がっていてリソースも揃っている会社を買ってそれを、成長させることの方が起業するリスクよりも低いのです。
もちろん起業するにしても、会社を買うにしても、挑戦することは素晴らしいことです。
どのようにして会社を成長させるのか?
買った会社の成長のさせ方は人それぞれいろいろ戦略があると思います。
しかし今まで、サラリーマンとして会社で受けてきたOJT(On the job training)を、知っているあなたこそ、それが中小企業を成長させることができます。
それは、大企業で働いている方は、最新鋭の業務管理システムを使用して様々な管理を数値として管理しています。
しかし、中小企業ではインターネットやチャットアプリなどのインフラが整った現在でも、伝票一つとってもまだ手書きの場合が多く、業態にもよりますが、仕入れ管理システムなどもまだまだアナログで行っている会社が非常に多いのが現状です。
そこで著者は大企業でサラリーマンをしているあなたなら普段当たり前に行っている最新鋭の管理システムなどを、導入するだけで効率が上がり、短期間で増収増益を実現することができると言っています。
しかしなぜ中小企業は、便利になった世の中で未だにアナログで業務を管理をしているのでしょうか?
それは、いくつか理由がありますが、最新のシステム導入に初期費用がかかる、変化することに抵抗がある、そもそもそのようなシステムのことを知らない、などあげるとキリがありません。
それに加えて、数々の成功体験を持っている中小企業ほど、現在のやり方に固執して、新しいことにチャレンジしなくなり、攻めの経営から耐える経営に陥ってしまっています。
誤解を解くために、最新鋭のシステム管理を導入している中小企業も、もちろんあります。
数字を読む能力と、買う前の確認ポイント
会社を経営していく上で必要になるのが会計の知識になります。
※本書では具体的な会計の知識には触れていません。
しかし著者は、世の中小企業の社長は思った以上に、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)などの数字の意味を理解していないと言っています。
ここで注意が必要ですが、社長(経営者)は公認会計士のようなプロ並の会計の知識を知る必要はないですが、最低限の科目とその意味と、その数字は理解するべきだということです。
そしてBSやPLがある程度、理解できるようになると買う前に、著者が勧める以下の項目の確認をしましょう。
・帳簿に書かれていない負債(簿外負債)はないか
・保有資産は、実態価格を反映しているか
・回収できそうにない売掛金はないか
・在庫はきちんと帳簿通り存在するのか、不良在庫はないか
・土地建物の権利関係、賃貸契約は、法的に担保されているか
・法令違反または不正なな会計はないか
・係争中の事案はないか
・クライアントとの関係は良好か
・仕入れ先との関係は良好か
・金融機関との関係は良好か
・従業員との関係は良好か
・従業員に残業代を含む給与をきちんと支払っているか
・社会保障制度には全て加入しているか
『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』-引用-
大事なことは、全て法令にしたがって正しく運営できている中小企業は、ほぼないと言うことです。
大企業でも、粉飾決算や某広告代理店のように過重労働が問題視されています。
なので、完璧は存在しません。
むしろそのようなネガティブな状態をポジティブに改善できると言うことです。
事業継承しやすくなったルールの改制
もし買った会社の経営を悪化させてしまったり最悪の場合、倒産させてしまったらどうなるのか?
今までは、会社が倒産して、銀行からの融資を社長が連帯保証人になっていた場合、社長に返済義務があると思っていますか?
また会社を引き継いだ際に負債の個人保証を引き受けないといけないと思っていませんか?
実は、これらのルールは変更されました。
現在は、『無担保無保証』で買うことが可能です。
細かい説明は割合しますが、今までのルールでは中小企業を買いたいと思う人が様々なリスクを考慮した結果、一歩踏み出すことを躊躇していました。
しかし、それでは『大廃業時代』に備えられないので一人でも多くの人に、会社を買ってもらえるようにハードルをグ〜ッと下げることにしました。
最後に
『大廃業時代』が訪れることをニュースなどでチラホラ見かけていましたが、本書を読んで今以上に当事者意識を持てるようになりました。
少しでも社会貢献できるような、お金の使い方ができるよう邁進して行こうと思います!