スタートアップのなぜなぜ
「スタートアップと起業って、なにが違うんですか?」と高専生から質問を受けたので、今回は簡潔にスタートアップについて説明したい。まずスタートアップは起業の特殊な一形態で、短期間で急成長して上場や売却を目指すことが特徴的。
その中でも特に際立っているのが、株式を用いた調達、新技術の導入、そして新しい市場への参入だ。どうしてスタートアップはそんな動きをするのかを解説していこう。
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一つ目に、どうして株式を用いて調達するのか。それは、融資だけでは十分な資金を集めることができないから。融資は担保や確実な返済計画を要求するもの。しかし多くのスタートアップは、未来の収益も不確実。そのため、リスクを共有し、株を手渡すことと引き換えに資金を投じてくれる投資家からの調達が必要となる。
ミカンの皮を用いてプラ代替素材を作ります!というアイデアがあったとして、本当に貸したお金を返せるかどうか分からないスタートアップに基本的に銀行はお金を貸してくれないもの。
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二つ目に、どうして新しい技術を導入するのか。それは革新的なアイデアを現実のものとするため。もちろん過去の技術の応用でも新しい製品やサービスを作り出すことができるけれども、新しい価値をもたらし競合との差別化を図るにあたって、新技術は優位に働くもの。
ミカンの皮を用いてプラ代替素材を作るに当たり、炭素排出量を抑える特殊な加工技術を用いることができれば、単純なドローンと差別化ができるようになる。もちろんドローンを操作する顧客目線では排出量の価値はゼロだけれども、横展開を含めて市場関係者を惹きつけることができる。
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三つ目に、どうして新しい市場に参入するのか。それは既存の市場では実現できない成長を成し得るため。既にある市場では大手企業たちがひしめき合い、ヒトモノカネが僅かなスタートアップが勝つことは至難。だからこそ先行者利益を得られる新しい場所へ攻め入ることが欠かせない。
ミカンの皮を用いて肥料を作ろう、香料を作ろう、となってくると、それらは既に既存の巨大マーケットで勝ち目が薄い。けれどもドローンといった新しい領域ではまだまだプレイヤーが少なく、勝てる可能性が生まれてくる。
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短期間で急成長することを運命づけられた起業の一形態であるスタートアップ。それは株式を用いて調達し、新しい技術を導入し、新しい市場へと攻め入る形態をとることが多いもの。もちろん調達せず成長し、既存技術の応用で作り上げ、既存の市場で頭角を現すアイデアたちもあるけれども、これらの特徴が現れることが多い。スタートアップに興味関心を持たれた皆様の一助となりますように。