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道を作り過ぎない挑戦できる環境作り
挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は岡山県白石島に地域おこし協力隊として移住し、地域資源を活かした商品開発などを手掛けている片岡玲実奈さん。新しいチャレンジを支えつつ、自身も事業立ち上げに挑戦されている物語について伺いました。
── 片岡さんの現在の取り組みについてお聞かせください。
今は白石島の地域おこし協力隊として働きつつ、Re:meという屋号を取って事業にも取り組んでいます。
── 地域を盛り立てつつ新しい事業にも。具体的にはどのような取り組みでしょうか?
この島にある資源を活かして新しい商品開発を手掛けてみたり、その資源を使って新しい企画を作ってみたりと、様々です。具体的には島で唯一生産して卸しているマルベリーの六次産業化であったり、元々は生花だったパンパスグラスをドライフラワーにして新規市場を開拓したり、ビーチサウナを始めたりとか。
── サウナで地域資源活用とは新しい。
島の景観維持のために切り捨てられる木材がたくさんあるんです。それを燃料として活用することで、島の山を綺麗にしつつ海を眺めて整うことが出来る、というのがビーチサウナです。
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── どれもこれも素敵ですね。どうして地域資源にこだわり、事業作りを進めていらっしゃるのでしょうか?
大学時代、学生団体を立ち上げて活動していたこともあり、地域の皆様と関わることがとてもとても多かったんです。その中で、地域には素敵なものがたくさんあって、面白い方もたくさんいて魅力に思う半面、その魅力がもっと表に出たらいいのになと思ったんです。また、地域に対して改善思考を持つことも多々あったからなんです。
── 地域に対して改善思考。
例えば行政の補助金がなくなれば成り立たない構造になっていたり、いいものを作っているのに価値を反映した価格で売ることが出来ていなかったり。そういったことによって誰かが苦しむ状況が嫌だったんです。
── 地域の課題を垣間見てしまったんですね。
時には難しいケースもありました。観光客が増えることである特定の方々は潤って産業は栄えるけれども、逆に観光客が増えることで負担を強いられる方々もいる、なんてことも。そんな風にして地域の課題に触れ続けていると、それを放置するんじゃなくて、向き合って解決策を考えて、そして考えるだけじゃなくて行動に移して、課題解決していきたいなと強く思うようになりました。
── その想いを実現すべく、新卒で就職ではなく地域おこし協力隊を選ばれたというわけですね。ちなみに日本ではまだまだ新卒が主流、その環境の中で今、歩まれている道に踏み込むためには流れに抗う勇気や、大勢とは違う道を選ぶ決断も必要であったかと思います。何か今の生き方の方向性を決めたような出来事とか、これまでにありましたか?
自分の人生に一番大きな影響を与えているのは、きっと大学時代に参加した「トビタテ!留学JAPAN」プログラムです。それをきっかけにして見知らぬ土地に足を踏み入れたり、自分と考え方が真反対のような方々との出会いを通じて、やったことがないことに挑戦するハードルも随分と下がりました。
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── 海外への挑戦が全ての始まりだったんですね。
そうなんです。ただ当時、大学生活を送っていた広島県の福山に海外や東京から戻ってくると、寂しい気持ちになることが多かったんです。どうしてこんなにも、情報に触れる機会がないんだろうって。どうして常識の中に縛られて、自分がやりたいことができないんだろうって。。それで思ったんです。ないなら自分で情報が集まる場所を作っていこうって。
── 「情報」とはどんなニュアンスでしょうか?
私にとっての「情報」という言葉は「可能性」や「選択肢」という言葉に置き換えられます。例えば地方の学生の場合、卒業を控えると就職しか選択肢に出てこない。けれども海外や東京の方々と接していると「起業」という選択肢が普通に飛び出してくる。
── 出来る出来ない以前に、その選択肢を知らない状況が地方にはある。
この世界はインターネットのおかげで、検索すればどんなことも理解できると思うんです。けれども地方に生きていると、何を検索すればいいかすら分からない。結果として近しい人や周りが言っていることが正解の狭い世界に閉じ込められていく。本当はもっともっと広い世界が目の前にも広がっているにも関わらず、それを知らずに一本道を歩んでいくような、そんな印象を私は抱いてしまったんです。
── その情報格差を埋めるべく、動き始められたと。
可能性や選択肢といった情報を知っている人が福山にいないなら、面白い人に遠くから来て貰おうと思ったんです。ただ、先生と生徒の関係になってしまうと情報を鵜呑みにするだけになってしまうので、誰もがフラットな立場で誰もが友達になれる場所、コミュニティとして繋がりが生まれて育つ場所、ということでStartupWeekend(SW)を福山に持ってこよう!と当時思ったんです。
── SWを選ばれた背景をお伝えいただけますか?
実は一番最初は、自分の力だけで何とかしようと思って学生団体を立ち上げたんです。頑張れば場は出来るんです。人と人との繋がりも出来るんです。けれども、これまでの延長線上というか、自分の能力値以上のものは、期待以上の環境は整えられなかったんです。そんな時、岡山県で事業作りについて学ぶためSWに初参加して、「これだっ!」って思ったんです。
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── そこから場作りが本格化したんですね。
実はすぐには福山に持ち帰らずに、故郷の高知で運営に入って場作りを学び直すことにしたんです。その中で衝撃的なシーンに出会って、もうこれは福山に急いで持ち帰らなきゃ!って確信したんです(笑)
── 差し支えなければ、お伝えいただけますか?(笑)
私が運営に入ったのは高知県初開催のSWでした。当時、起業やスタートアップに対して高知県内で理解者は少なく、協賛も中々に集まらず、参加者の確保も中々に進んでいませんでした。蓋を開けてみて、プログラムの一日目の夜がお通夜みたいだったんですね。立食パーティなのに、みんな自分の席を確保して黙食。流行り病が全世界を覆う前の出来事ですよ(笑)
── 場の熱量も低く、本当に大丈夫かと思われたわけですね。
初日は本当に絶望しか感じないほど悲しい状況だったんですが、プログラムが終わる三日目の夜はもう熱気に満ち溢れていて!声を張り上げないと相手に届かなくて。誰も彼もがやりたいことに向かって全身全霊で向き合っていて。人って三日間でこんなにも変わるんだ!こんなにも想いを引き出せるんだ!って感動してしまって、福山での開催を決断したんです。
── 実際に開催してみて、如何でしたか?
応援してくださる方々が、たくさんいらっしゃることに気付けたのが一番です。何か新しいことをする時って、多くの場合、反対されることが多いと思うんです。反対されなくても、様子見で関わってくださらない人も多いのが普通。けれども福山の皆様は快く協賛にも応じてくれ、集客にも協力してくださったんです。
── アイデアをカタチにする場を作ろうとする片岡さんを、誰もが応援してくださったんですね。
当時の福山には、そういった場がなかったことも大きいかもしれません。何か新しいものを作りたい。今を変えたい。起業したい。スタートアップに興味がある。そういった想いを持つ人たちが集って、行動して、仲間になる場所が。だからこそ、SWを開催する意義はあったなと強く感じています。
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── 実際に場を開くことでコミュニティが育ち始めていらっしゃるかと思いますが、その価値はどこにあると感じていますか?
これは今の私自身の課題でもあるんですが、始めたはいいけれども、それをどうやって伸ばしていけばいいんだろう、というところで躓いちゃうんですね。「あ、これいい!」と思って勢いよくスタートさせたとしても、伴走してくれる人がいなかったり、より効果的に結果を出すためのアドバイスをくださる方もいらっしゃらない。けれども、コミュニティという環境があることで、それをお互いにサポートできる確率が上がっていくと思うんです。
── 起業しようよ。始めようよ。の先へと続く道作り
勿体ないじゃないですか。スタートしたからこそ、それは数字という結果に結び付けていきたい。けれども自分たちは一人じゃそれを出来ない。けれども「スタートアップ」や「起業」をキーワードに仲間が集まるコミュニティがあれば、そこに貢献できるんです。もちろん私はまだまだ経験が浅く非力ですが、コミュニティがあればみんなの力で前に進むことが出来るようになると思っています。
── コミュニティを育てる中で心掛けていることはありますか?
道を作り過ぎないこと、ですかね。
── その心は?
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