
仲間への仕事の手渡し方
「メンバーにうまく仕事を振れていないんです…」という相談をよく受ける。というわけで今回は、メンバーに仕事を任せる際の基本的な三つのパターンを紹介したいと思う。もちろん、これはメンバーとの信頼関係がある程度築けているという前提で。
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一つ目のパターンは、タスクの手渡し。この方法は、特に新しいメンバーや経験が浅いメンバーに対して有効。自ら考え動く力が十分に備わっていない場合があるので、具体的なタスクを細分化して伝えることが欠かせない。それが明確であるほど、メンバーは自信を持って作業に取り組めるように。
例えば、「ミカンマラソン」の準備を手伝ってくれる初心者メンバーに対して、「このエイドステーションでミカンを100個並べて、ランナーが通過したら一つずつ手渡してくれる?」と具体的に依頼するようなもの。
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二つ目のパターンは、期待の手渡し。この方法は、自立してアクションを起こせるメンバーや、既に経験を積んでいる熟達したメンバーに対して有効。詳細な作業手順を伝えるよりも、ゴールとなる結果や期待する成果を伝え、その間のプロセスは任せた方が効果的。
例えば、「ミカンマラソン」の広報を手伝ってくれる熟練者メンバーに、「ランナーが次回も参加したくなるような、ミカンの魅力を伝える広報活動をお願いできるかな?」と依頼するようなもの。最終的な結果をイメージさせることで、メンバーは自分の経験や知識を最大限に活かした行動へと繋がっていく。
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三つ目のパターンは、方向性の手渡し。この方法は、結果を出す能力があり、責任感の強いメンバーに対して有効。具体的なタスクを伝えるのではなく、また具体的な成果も示すのではなく、目指すべき方向性だけを示し、その結果の姿から辿り着くプロセスまで完全に手放すもの。
例えば、「ミカンマラソン」の全体運営を任せる場合、「大会の成功を目指して、全体的な運営をよろしくお願いします」と依頼するようなもの。何をもって成功かすら示さことなく、そのプロセスも分解することもなく、成功そのものを委ねることで、責任感が強く結果を出せる人は動き出す。
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チームメンバーの能力や経験、状況に応じて仕事の任せ方を使い分けることが欠かせない。初心者には具体的なタスクを、熟練者には具体的な期待を、そして最も信頼できるメンバーには全体のビジョンや方向性だけを届けること。チーム全体の成果を最大化させたいリーダーの参考となりますように。