無題

人に教えるということ

 僕はとある大手受験予備校で非常勤講師としてバイトしている。高時給に引き寄せられてアプライしたのが事の初めだった。今では、3つのクラスを受け持つ先生になった。

 しかし、はっきり言おう。僕は先生という類が嫌いである。彼らの授業のほとんどはつまらないし自分で学習する方が何倍も効率がいい。だから中学高校とほとんど授業なんて聞いてはいなかった。実は今でもほとんど聞いていない。それでも大学の成績はいい方である。

 要はこんなひねくれた変な成功体験を持っている人間が、教育という世界にいきなり足を踏み入れたのである。まるでマフィアの人間が警察をやっているようで心底落ち着かない。

 こんな奴が教壇に立てばそれは一風変わった授業をしそうなものである。しかし、現実は違うのだ。僕は自分が嫌いな「先生」になってしまった。教科書や解答解説に書いてあることをさも偉そうな顔してとくとくと話す自分に気づいたときには身の毛もよだつ思いがしたものだ。教科書に書いてあることを教えればいいと思っていた自分に戦慄を感じた。

 やったからには理想を追求していきたい。型にはまった自分から脱皮するために今日も探求の旅は続く。

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