きょうの金匱要略 2/8 婦人雜病脈證并治 第二十二(4)
婦人之病 因虛 積冷結氣 為諸經水斷絕 至有歷年 血寒積結胞門 寒傷經絡
(婦人の病は、虛によって積冷結氣し、諸の經水斷絕を為し、歷年有るに至って、血寒え、胞門に積結し、寒經絡を傷る)
疑堅在上 嘔吐涎唾 久成肺癰 形體損分
(疑堅上に在れば、涎唾を嘔吐し、久しくして肺癰と成り、形體損分す。)
在中盤結 繞臍寒疝 或兩脅疼痛 與藏相連
(中に在って盤結すれば臍を繞りて寒疝となる。或は兩脅疼痛し、藏と相連なる)
或結熱中 痛在關元 脈數無瘡 肌若魚鱗 時著男子 非止女身
(或は熱、中に結し、痛み關元に在り、脈數なるも瘡無し。肌、魚鱗の若く、時に男子に著く、止に女身のみに非ず)
在下未多 經候不勻 令陰掣痛
(下に在っては未だ多からず、經候勻わず、陰をして掣痛せしむ。)
少腹惡寒 或引腰脊 下根氣街 氣衝急痛 膝脛疼煩 奄忽眩冒 狀如厥顛
(少腹惡寒し、或は腰脊に引き、下氣街に根ざし、氣衝急痛、膝脛疼煩し、奄忽として眩冒し、狀厥顛の如く)
或有憂慘 悲傷多嗔 此皆帶下 非有鬼神
(或は憂慘、悲傷、多く嗔ること有るは、此れ皆帶下、鬼神有るに非ず)
久則羸瘦 脈虛多寒
(久しければ則ち羸瘦し、脈虛して寒多し。)
三十六病 千變萬端 審脈陰陽 虛實緊弦 行其針藥 治危得安
(三十六病、千變萬端、脈の陰陽、虛實、緊弦を審かにして、其の針藥を行なわば、危きを治して安を得ん)
其雖同病 脈各異源 子當辯記 勿謂不然
(其れ病を同じくすと雖も、脈おのおの源を異にす。子當に辯記すべし。然らずと謂うこと勿れ)
※婦人の病気は、虚によって冷えて、その冷えが体内に積もって結気すると、いろいろな病気が起こる、と大塚先生がざっくり解説しています。
問曰 婦人年五十所 病下利數十日不止 暮即發熱 少腹裏急 腹滿 手掌煩熱 唇口乾燥 何也
(問うて曰く、婦人年五十ばかり、下利を病みて數十日止まず、暮には即ち發熱し、少腹裏急し、腹滿し、手掌煩熱し、唇口乾燥するは何ぞや)
師曰 此病屬帶下 何以故
(師の曰く、此の病、帶下に屬す。何を以っての故ぞ)
曾經半產 瘀血在少腹不去 何以知之
(曾て半產を経て、瘀血少腹に在りて去らず。何を以って之を知るや)
其證唇口乾燥 故知之 當以溫經湯主之
(其の證、唇口乾燥す。故に之を知る。當に溫經湯を以て之を主る)
溫經湯方
吳茱萸三兩
當歸 芎藭 芍藥各二兩
人參 桂枝 阿膠 牡丹皮 生姜 甘草各二兩
半夏半升
麥門冬一升 去心
右十二味 以水一斗 煮取三升 分溫三服
亦主婦人少腹寒 久不受胎 兼取崩中去血 或月水來過多 及至期不來
(また婦人、少腹寒えて、久しく受胎せざるを主る。兼ねて崩中去血、或は月水來たること過多、及び期に至って來たらざるを治す)
※更年期前後における血虚による病症。虚熱による手掌のほてりをまず目標として、関連する冷え症、瘀血を見逃さないようにするのが大事とのこと。
※不妊症には当帰芍薬散が用いられることが多いそうですが、温経湯も効果が期待できるそうです。