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きょうの金匱要略 1/20 婦人妊娠病脈證并治 第二十(3)

妊娠嘔吐不止 乾姜人參半夏丸主之
(妊娠、嘔吐止まざるは、乾姜人參半夏丸之を主る)
乾姜人參半夏丸方
乾姜 人參各一兩
半夏二兩
右三味末之 以生姜汁糊為丸如梧子大 飲服十丸 日三服

※妊娠嘔吐不止 いわゆる「つわり」。まず、小半夏加茯苓湯を用い、治まらないときに乾姜人參半夏丸を用いる、とあります。

妊娠小便難 飲食如故 當歸貝母苦參丸主之
(妊娠、小便難く、飲食故の如きは、當歸貝母苦參丸之を主る)
當歸貝母苦參丸方
當歸 貝母 苦參各四兩
右三味 末之 煉蜜丸如小豆大 飲服三丸 加至十丸

※貝母(ばいも) アミガサユリの鱗茎(球根)。化痰、止咳の効能がある。
※苦参(くじん) クララ(マメ科の多年草)の根。アルカロイドのマトリンを含み、中枢神経抑制作用、血管や子宮を収縮する作用、利尿作用、抗真菌・駆虫作用が報告されている。

妊娠有水氣 身重 小便不利 洒淅惡寒 起即頭眩 葵子茯苓散主之
(妊娠水氣あり、身重く、小便利せず、洒淅惡寒し、起くれば即ち頭眩す。葵子茯苓散之を主る)
葵子茯苓散方
葵子 茯苓三兩
右二味 杵為散 飲服方寸匕 日三服 小便利則愈

※葵子 フユアオイ(またはイチビ)の種子。利水、通淋、通便、通乳の作用がある。
※関連して、『素問』の六元正紀大論第七十一の一節をご紹介頂きました。

黃帝問曰 婦人重身 毒之何如
(婦人が懐妊している場合に有毒の薬を用いれば、どのようになるか)
歧伯曰 有故無殞 亦無殞也
(然るべき病にかかっていれば用いるべきであり、その場合には胎児を傷つけることもなければ母体を傷つけることもありません)
帝曰 願聞其故何謂也
(その病とはどういうことなのか)
歧伯曰 大積大聚 其可犯也 衰其太半而止 過者死
(腹内に気が鬱積したりしこりができたりする病にかかった場合は、それを除去するために有毒の薬を用いてもかまいません。ただし慎重に行い、病が半ば以上除去されれば、即座に投与をやめなければいけません。薬を使い過ぎれば死亡させかねません)


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