きょうの霊枢 五色篇 第四十九 (1) 2021/5/20
※この篇では、雷公が黄帝に質問する、という形式で話が進みます。「雷公」は『素問』の後半から登場しますが、そこでは質問に答えていたのが、『霊枢』では質問する側に立っています。こうした扱いの変化は、編纂当時の学派や、編集者の立場の違いの表れとして考えると興味深いです。
雷公問於黃帝曰
五色獨決於明堂乎
小子未知其所謂也
黃帝曰
明堂者鼻也
闕者眉間也
庭者顏也
蕃者 頰側也
蔽者 耳門也
其間欲方大 去之十步 皆見於外 如是者壽 必中百歲
※顔の各部位が建物や家屋の名称になぞらえられながら説明されています。こうした各々のパーツがはっきりとしていて、適切な距離が相互に空いていれば、寿命も100歳を超える、と観相学的なことも述べられています。
雷公曰
五言之辨 奈何
黃帝曰
明堂骨高以起 平以直
五藏次於中央
六府挾其兩側
首面上於闕庭 王宮在於下極
五藏安於胸中 真色以致
病色不見 明堂潤澤以清
五官惡得無辨乎
※「五官」には、以下の2つの意味があるそうですが、ここでは後者の意味のようです。
① 鼻、眼、口唇、舌、耳の、顔面部の感覚器
② 青、黒、黄、赤、白の五色が呈する病症
雷公曰
其不辨者 可得聞乎
黃帝曰
五色之見也
各出其色部
部骨陷者 必不免於病矣
其色部乘襲者 雖病甚 不死矣
※「乘襲」は病が甚だしくなっても死なない。
張志聡は「乘襲」とは、五行の母子関係において、子の色が母の蔵に表れる、例えば、心に黄があらわれ、肝に赤があらわれ、肺に黒があらわれ、腎に青があらわれるのをいう、としています。
雷公曰
官五色奈何
※ここの「官」は動詞としてつかさどる、の意味で用いられています。
黃帝曰
青黑為痛 黃赤為熱 白為寒 是謂五官
※ここまででは、顔面部への五行配当の記述はありません。続が気になる所です。