きょうの霊枢 五味篇 第五十六 (1) 2021/7/1
いわゆる色体表で暗記したりする「五味」の話です。
さっそく見てみましょう。
黃帝曰
願聞穀氣有五味 其入五藏 分別奈何
伯高曰
胃者 五藏六府之海也
水穀皆入于胃
五藏六府 皆稟氣於胃
※ 飲食物は胃(海)に入ってそこからの気を五臓六腑は受け取っている
五味各走其所喜
穀味酸 先走肝
穀味苦 先走心
穀味甘 先走脾
穀味辛 先走肺
穀味咸 先走腎
穀氣津液已行 營衛大通 乃化糟粕 以次傳下
※水穀の精微なものは津液となって営衛の気とともに全身を巡ります。
水穀の残り滓は(大腸、膀胱に伝わり)体外に排泄されます
黃帝曰
營衛之行奈何
伯高曰
穀始入于胃 其精微者 先出於胃之兩焦 以溉五藏
別出兩行 營衛之道
其大氣之搏而不行者 積於胸中 命曰氣海
出於肺 循咽喉 故呼則出 吸則入
天地之精氣 其大數常出三入一
故穀不入 半日則氣衰 一日則氣少矣
※其大數常出三入一
歴代の学者の解釈が異なるところらしいです。
① 穀食の気が一呼気で三分出て、天地の気が一吸気で一分入る(張介賓、馬蒔の説)
② 気海の中の穀物の精気は呼吸によって出入する。呼気では三分出て、吸気では一分が戻る。従って食物を取ることで腸胃の虚を満たして、戻ってこない気を引き入れる(楊上善の説)
③ 五穀が胃に入ると(入ってくるのが一)、糟粕、津液、宗気が三つの道に分かれて出ていく(出ていくのが三)(任懋謙の説)
ちなみに、「酸苦甘辛鹹」については「五味論篇 第六十三」でも言及されているので少し引用しておきます。
五味入于口也 各有所走 各有所病
酸走筋 多食之 令人癃
鹹走血 多食之 令人渴
辛走氣 多食之 令人洞心
苦走骨 多食之 令人變嘔
甘走肉 多食之 令人挽心
上記と合わせると、以下になります。
酸 → 肝 → 筋 → 多食すると「癃」
苦 → 心 → 骨 → 多食すると「變嘔」
甘 → 脾 → 肉 → 多食すると「挽心」
辛 → 肺 → 気 → 多食すると「洞心」
鹹 → 腎 → 血 → 多食すると「渴」
「心 → 骨」と「腎 → 血」をどう考えるかですね・・・。