きょうの金匱要略 2/3 婦人雜病脈證并治 第二十二(3)
婦人藏躁 喜悲傷欲哭 象如神靈所作 數欠伸 甘麥大棗湯主之
(婦人、藏躁、しばしば悲傷して哭せんと欲し、かたち神靈の作す所の如く、しばしば欠伸す。甘麥大棗湯之を主る)
甘草小麥大棗湯方
甘草二兩
小麥一升
大棗十枚
右三味 以水六升 煮取三升 溫分三服 亦補脾氣
※藏躁 藏を子宮として考える説もあるそうですが、大塚先生は「藏躁=ヒステリー」と解釈されています。
※甘草は非常に良く用いられていて、漢方処方の約7割に使われているそうです
※『洛医彙講』の鎌田碩庵の症例に20代女性の舞踏運動に対して甘麥大棗湯を用いて著効があった例が詳細に綴られています。信じがたい、という声が多数でしたが、本当であれば大変興味深い症例です。
※今泉玄祐『療治夜話』には、心気病に対して「移精変気の法」とともに、甘麥大棗湯を用いる症例が多く挙げられているそうです。
※現代の漢方医の先生方の間でも、不安が強い方に対して甘麥大棗湯は良く用いられているそうです。非常にシンプルな、甘草、小麦、大棗という3味で、しかも食べ物みたいな構成にも関わらず、不思議な効果があるということで、非常に興味深い処方です。
婦人吐涎沫 醫反下之 心下即痞 當先治其吐涎沫 小青龍湯主之
(婦人、涎沫を吐するに、醫反って之を下し、心下即ち痞するは、當に先ず其の涎沫を吐するを治すべし。小青龍湯之を主る)
涎沫止 乃治痞 瀉心湯主之
(涎沫止めば、乃ち痞を治せ。瀉心湯之を主る)
※小青龍湯
麻黃去節 三兩
芍藥三兩
五味子半斤
乾姜三兩
甘草三兩 炙
細辛三兩
桂枝三兩 去皮
半夏半升 湯洗
※瀉心湯
大黃二兩
黃連 黃芩各一兩
※間違った治療を行ってしまった場合、『傷寒論』の治療原則として、後から起こった症状を先に治療の対象にするのが、ここでは逆になっています。大塚先生も、ここはよく分からない、とされています。