きょうの難経 五十七難 2022/1/13

この難では五種類の泄(下痢)についてまとめています。
腹積についてまとめた五十六難の後としては、急に話が変わっていささか拍子抜けですが、排泄状況も状況の宝庫。どのようにまとめられておりますでしょうか。

五十七難曰
泄凡有幾
皆有名不同
(泄は凡て幾ばくかある。皆名ありやいなや)


泄凡有五 其名不同
(泄は凡て五あり、その名同じからず)
有 胃泄
有 脾泄
有 大腸泄
有 小腸泄
有 大瘕泄 名曰後重(名づけて後重という)
胃泄者 飲食不化 色黃
(胃泄は飲食化せず、色黃なり)
脾泄者 腹脹滿 泄注 食即嘔吐逆
(脾泄は腹脹滿し、泄注し、食らえば即ち嘔吐し逆す)
大腸泄者 食已窘迫 大便色白 腸鳴切痛
(大腸泄は食已めば窘迫し、大便の色白く、腸鳴切痛す)
小腸泄者 溲而便膿血 少腹痛
(小腸泄は溲して膿血を便し、少腹痛む)
大瘕泄者 裏急後重 數至圊而不能便 莖中痛
(大瘕泄は裏急後重し、しばしば圊に至るも便する能わず、莖中痛む)
此五泄之要法也
(此れ五泄の要法なり)

※大瘕泄については諸説あり、「下腹部にしこりができて下痢するもの」、「赤痢のような下痢症状を伴う伝染病」など。
※裏急後重 裏急は腸などの消化管に感じる差し込み、後重は肛門周囲の切迫感。いわゆる渋り腹。
※圊 トイレに相当する排泄用の穴

大腸泄にある「大便色白」は、成人で白色の便が観察される場合、胆道閉塞が疑われるの十分に注意する必要があるとのことでした。
実際の分け方はともかく、排便から病の状態を推察することは大事な視点だと思います。患者さんの便を実際に確認することは難しいので、どうしても、というときはスマホで写真に撮ってきてもらう、という話もでました。

ちなみに、現代医学では下痢を生じるメカニズムとして、以下の四種類があるそうです。

①腸運動性下痢 
②滲出性下痢 
③分泌性下痢 
④浸透圧性下痢

先日の雪の日に身体が冷えてお腹を下している、と言う方もいらっしゃるようなので、お灸などで熱を送りたいところですね。

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。



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