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きょうの金匱要略 2/19 雜療方 第二十三(4)

凡中暍死 不可使得冷 得冷便死 療之方
(凡そ中暍死は冷を得せしむべからず。冷を得れば便ち死す。之を療するの方)
屈草帶 繞暍人臍 使三兩人溺其中 令溫
(草を屈して帶とし、暍人の臍を繞らし、三兩人をして其の中に溺せしめ、溫ならしむ)
亦可用熱泥和屈草 亦可扣瓦椀底按及車缸以著暍人 取令溺 須得流去
(亦熱泥を用いて屈草に和すべし。亦瓦椀の底を扣りて按じ、及び車缸を以って暍人に著け、 溺せしめ、すべからく流れ去るを得ざらしむべし。)
此謂道路窮 卒無湯 當令溺其中
(此れ謂う、道路窮卒にして湯無きは、當に其の中に溺せしむと)
欲使多人溺 取令溫若湯 使可與之 不可泥及車缸 恐此物冷
(多人をして溺せしめんと欲するは溫ならしむるを取る。若し湯あらば便ち之を與うべし。泥及び車缸は可ならず。此れ物の冷えんことを恐れる)
暍既在夏月 得熱泥土 暖車缸 亦可用也
(暍既に夏月に在りて、熱泥土、暖車缸を得ば、亦用ゆるも可なり)

※中暍死 熱中症のこと。
※熱中症に対して冷やさずに温める、というのが現代とは全く逆の対処法です。ただ、溺で身体が全身的に濡れたら結果的に気化熱で冷やすことにつながるように思いますし、現在でも熱中症に対して、できるだけ水風呂に近い形にすることが効率的に体温を下げるとされているので、ひょっとしたら理にかなっているのかもしれないですね。(とはいえ尿まみれなんですが・・・)

救溺死方
取竈中灰兩石餘以埋人 從頭至足 水出七孔 即活
(竈中灰、兩石餘を取り、以って人を埋め、頭より足に至る。水七孔より出でて即ち活く)

右療自縊溺暍之法 並出自張仲景為之
(右の自縊、溺、暍を療するの法は、並びに張仲景より出でて之を為す)
其意殊絕 殆非常情所及 本草所能關 實捄人之大術矣
(其の意殊絕し、殆んど常情の及ぶ所、本草の能く關る所に非ず。實に人を捄うの大術なり)
傷寒家數有暍病 非此遇熱之暍
(傷寒家にしばしば暍病あり。此れ熱に遇うの暍に非ず)

治馬墜及一切筋骨損方
(馬墜及び一切の筋骨損ずるを治するの方)
大黃一兩 切 侵湯成下
緋帛如手大 燒灰
亂髮如雞子大 燒灰用
久用炊單布一尺 燒灰
敗蒲一握 三寸
桃仁四十九箇 去皮 尖 熬
甘草如中指節 炙 剉
右七味 以童子小便量多少煎湯成 內酒一大盞 次下大黃 去滓 分溫三服
(右七味、童子の小便を以て多少を量って煎じ、湯成りて酒一大盞を内れ、次に大黃を下し、 滓を去り、分かち溫めて三服す)
先剉敗蒲席半領 煎湯浴 衣被蓋覆 斯須通利數行 痛楚立差
(先ず敗蒲席半領を剉み、湯に煎じて浴し、衣被にて蓋覆す。斯須にして通利數行にして痛楚立ちどころに差ゆ)
利及浴水赤 勿怪 即瘀血也
(利及び浴水赤し。怪しむ勿れ。即ち瘀血なり。)

このあと、「禽獸魚虫禁忌并治」と「果實菜穀禁忌并治」がありますが、朝の勉強会では金匱要略はいったんおしまいになります。
次回からは湯本求真先生の『皇漢医学』パートⅢとなります。


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