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この気持ちを、上書きされたくないんだよ

思いもよらない、素敵な日だった。

昨夜突如、明日1日家を出ていなければいけない事態になった。

とりあえず朝一で皮膚科を予約した。

受付開始時間8:30ピッタリにログインしたのに、69番目だった。彼の誕生日と同じだな、と気が付いたのは皮膚科の門をくぐった時だった。

69番じゃ早くても昼過ぎまでは呼ばれない。ゆっくり眉毛を描いて、髪にストレートアイロンをかけて。

家を出た。

駅前のモールの雑貨屋で食器を見た。同棲するとしたらこんな感じのが欲しいな〜と思ったけどまだ現実味がないし値段まで見なかった。

そういえば有名なシェーディングがあったな。まだ買えてなかったし買ってみた。リップも無くなり気味だったし新色のドス黒い赤っぽい色を買ってみた。

黒のスキニーが白茶けてることに気づいてGUへ行った。何も考えず黒の61のスキニーを手に取ってレジへ向かった。500P貯まってて1300円で買えた。

お腹すいたな。何食べよう。そういえば朝から何も食べてない。

そう思ってたところに皮膚科から呼び出しメールが来たので向かった。

ついた時はあと8番で呼ばれるところだったのになかなか呼ばれなかった。呼ばれて診察受けたけどいつもと変わらないこと言われて、いつもと同じ薬を出された。

皮膚科で薬をもらってからドラッグストアと100均に行ったけど、何も買わなかった。

その代わり高校時代よく行ってた3階の新星堂を通り越して4階の三省堂に立ち寄った。

ウェディングコーナーの雑誌を初めて開いた。自分も本当に近い未来、結婚するかもしれないと思ったらめちゃくちゃワクワクしたけど、そういえばまだプロポーズされてないなと思って棚に戻した。

代わりに文庫本を買った。百田尚輝の新作だった。

空腹の限界でパスタ屋に入った。ランチで平均1600円。たか、、、。一番安そうな奴頼もうと思ったけど、口から出たのは違うのだった。本心はそっちだったみたい。

入り口側角の1人席。隣のママ友ランチはなんだか忙しなかった。

パスタとアイスティーをかき込んで、百田尚輝の新作を開いたけど2ページで閉じた。

14時から劇場版えんとつ町のプペルが始まる。それまであと1時間、ここにいよう。

観る前に前評判を検索したら最悪だった。

見なかった。

ならばと他の作品を調べたら、昨日彼と新宿で観た「花束みたいな恋をした」が上映予定だった。

17:35〜

時間があるので何かしようと思って唐突にピアスを開けた。

自分でもびっくりした。開けようと考えてから実際に開けるまでの数十分、何ひとつ開けない決断をする為の考えが出てこなかった。無心だった。


余談だが私は数年前学生時代まで、「無の自分」という存在を持っていた。

意味がわからないだろうが、違うベクトルの世界にもう1人の自分を存在させ、気難しい案件は全てそっちの自分に任せていた。

社会人になった頃からだろうか。無の世界の自分に頼ることが無くなった。むしろ無の世界の自分の存在すら忘れていた。全て本当の自分が請け負っていた。そして潰れた。

今までの私は無の世界の自分に任せていたお陰で成り立っていたことに気がついた。

数年ぶりに無の世界の自分に逢えた。最高の時間だった。

ピアスを開けて駅前のモールに戻った。初めてのピアスを買おうと思ったが辞めた。それは彼に選んでもらおう。幸せな気持ちになった。

17:36、映画館に着いてチケットを購入してジンジャエールSサイズを頼んだ。

そういえば昨日彼と行ったときも、ポップコーンのセットドリンクはジンジャエールを選んでたな。彼はいつもコーラなのに。2人で1つのジンジャエールを飲んだ。

2日連続2回目の同じ映画は、何とも奥深く、1回目には感じなかった言葉にできないような気持ちになった。

クロノスタシスって知ってる?

時計の針が止まって見える現象のことだよ。


帰り道、きのこ帝国のクロノスタシスを爆音で聴きながら、この気持ちをどう浄化すべきか、どう言語化すべきか考えたけど難しかった。

今日1日のことを振り返った。突如始まった今日は、感慨深く、意味深く、あまりに有意義で背負いきれない程の重みがあった。

クロノスタシスって知ってる?

時計の針が0時を指した。


この気持ちを上書きされたくないんだよ。

こんな素敵な気持ちを、大事に大事にしていたいんだよ。





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