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公務員の初任給の変遷。平成10年から25年かけて8,900円の上昇をどうみる。
こんにちは、地方公務員の新家です。北海道猿払村に勤務しています。今日は公務員の初任給や人事院勧告のことについて綴っていきます。
10月7日に時事通信社が取り上げていた人事院勧告の記事が目に留まりました。
初任給の話。
人事院のHPに国家公務員の初任給の変遷を記録したページを発見。わかりやすく高等学校卒業程度の採用について10年刻みと、私が入庁した平成10年の金額を列記しました。
昭和30年(1955年) 5,900円
昭和40年(1965年) 14,400円
昭和50年(1975年) 66,000円
昭和60年(1985年) 95,500円
平成 7年(1995年) 137,900円
平成10年 (1998年) 141,700円(新家入庁)
平成17年(2005年) 138,400円
平成27年(2015年) 144,600円
令和 4年(2022年) 150,600円(予定)
こう見ると、高度経済成長期とバブル景気を背景に大きく日本経済が動いていたことに起因して、社会情勢を反映しバブル崩壊後も1998年までは公務員の初任給がその上昇幅は差がありながらも上昇し続けました。
そして、1998年以降は初任給が下がるという事態も経て、今年の人事院勧告で久しぶりに大幅な上昇となる予定です。
私が入庁した、平成10年から25年かけて8,900円の上昇。そのうち4,000円は今回の勧告での数値です。かつての、上昇幅を見てしまうとなんとも寂しい結果です。
では、人々の暮らしはどうでしょうか。原油価格の上昇に起因する物価高。消費税の増税などなど、暮らしにかかるコストは増大しているのが実態です。
私が入庁した平成10年、レギュラーガソリンの価格は108円でした。灯油は50円程度でした。それが、今年5月の数値ではガソリン174円(税込)、灯油は118円(税込)と高くなっています。
携帯電話も事情が大きく変わりました。私が手にした平成10年当時機種本体は0円というのが普通で、機種代金がかかるものでも数千円から1万円程度だった気がします。当時は通話が目的の電話、月額料金もプランによるものの5,000円以内で収まっていた記憶があります。
時はすぎて、現代は携帯電話からスマホへ時代へ。機種はモノによりますが主流のiPhonenの最新モデルは、最小構成で119,800円(公式ストアの価格)です。月額料金も家族割などを活用しない独身の方なら、ソフトバンクで7,300円程度ですので、いわゆる携帯電話(スマホ)を更新し、使用していく費用も増大しています。
人によっては、自宅へネット環境を用意する方もいるでしょう。これも、猿払では平成22年の光ケーブル導入によって一気に普及したサービスですので、昔はかかっていなかったコストです。
このように、初任給やその後の給料が上昇しない割には、生活に係るコストは増大しているイメージです。このような事象は、一気に進行するのではなくじわじわとやってくるもの。だから、なんとなく順応できてしまうわけです。
賃金が上昇し、経済が活発化し、また賃金に波及し、さらに経済が刺激されるという連鎖はどのようにすれば実現できるものか。今後の政策に期待するばかりです。
人事院勧告の話。
さて、ここからは初任給やボーナスの支給割合を左右する人事院勧告のお話し。
そもそも、人事院勧告とはなんでしょうか。公務員には馴染みのある言葉ですが、それ以外の方にとってはあまり馴染みがないと思います。公務員は労働基本権が制限されているため、代わりとなる措置がとられていて、これが人事院勧告です。
人事院は国家公務員の給与、勤務時間のほか労働諸条件について、民間企業への調査等をもとに内閣に対して勧告を行います。人事院の勧告は、国家公務員に向けたものなので、一見私の様な地方公務員には関係ない様に思えますね。
人事院の給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する機能を有するものであり、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。
ただ、我々地方公務員にも大きく関係してきます。地方公務員法14条(情報適応の原則)では地方公共団体は、この法律に基いて定められた給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、適当な措置を講じなければならない。と明記されています。都道府県や政令指定都市は人事委員会が設置されているので、人事委員会が国における人事院の役割を担います。
一方で、都道府県や政令指定都市以外の自治体には人事委員会が設置されていていないので、情勢に適応させるために国家公務員への勧告いわゆる人事院勧告を踏襲して議会へ提案し議決を経て勧告内容を実施することになります。
以上から、国家公務員への勧告ではあるものの実質的に、我々地方公務員への韓国とも言えるのです。ただし例外的に、自治体によって厳しい税制状況によって人事院勧告よりも厳しい内容となる場合もあります。これを独自削減という言い方をしています。猿払村でも過去に、いわゆるボーナスを国家公務員の水準より下げて支給していたことがありました。
そして、今回出された勧告というのが大きく2つのポイント。
月例給の引き上げ
令和4年度における給与比較結果は、921円。この民間給与との較差を埋めるために、令和4年4月1日より、初任給及び若年層の俸給月額が引き上げられます。
勤勉手当の引き上げ
令和4年度におけるボーナス比較結果は、0.11月。この民間給与との較差を埋めるため法律の公布日より、0.10月分のボーナスが引き上げられます。
民間企業:4.41月
国家公務員:4.30月
ボーナスは、平成10年当時は5.25月だったので、約1月分減少しています。これは、本当に大きな差です。ただ、最も低かった平成22年から4年間は3.95月でしたので、やや上向きになってきているところです。
今後は、産業や経済の活発化から、いわゆる社会一般の情勢に適応した適正な給与が上昇することに期待がかかります。公務員の給料が上がるということは、日本の力がついているというバロメーターにもなるはず。そんな社会になることを望みます。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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わたくし新家は、地元猿払村のプロモーションに加えて、ガジェット、革製品、コーヒー、写真、カメラの事などについて記事を書いています。他にも、各種SNS運用しています。Twitter、Instagram、Voicyと取り組んでいますので、併せてチェックしてくださると嬉しいです。