6. いざ、キリマンジャロへ
ガゼルを食べ完全にお腹がノックアウトされた僕は、食後リチャードにホテルまで運ばれ、一日中寝込んでしまう羽目になってしまった。次の日はサファリへ出発というのに、なんてついてないんだろうと落胆する。すると濁声のリチャードが、生姜が致死量レベルに入った熱々の紅茶を持ってきてくれ僕に飲ませてくれた。最初は生姜を生で食べてるくらいかと思う味に驚愕したが、段々に慣れてくると飲みやすく、次第に身体が温かくなり気付けば死んだ魚なのように眠っていた。そのおかげで、翌日のサファリツアーには無事に参加することができたのであった。サンクスリチャード。
キリマンジャロへGO
モシの町についてから約一週間が経過し、ついにキリマンジャロ登山の日を迎えた。この一週間の間でアフリカの生活にも慣れ身体もしっかりケアし、地獄のサファリツアーに参加したこともあってか、僕は最高の状態で登山を迎えようとしていた。ちなみにだが、今回はキリマンジャロメインの話のため、サファリに行ったときの話は割愛させて頂きたい。ただ記念として数枚貼っておくのでどうぞ!
「ライオンの婚約」
「セレンゲティの朝」
「今日もハイエナ」
また、急遽バイトが入ったという理由から日程をずらした男「大橋」だが。無事日本の裏側の地「モシ」での合流に成功し、景気づけにと登山前にリチャードおすすめのバーベキューを食べに出かけた。もちろんガゼルは食べていないが。
さあ食後。いよいよ出発である。宿を出てリチャードに指定された場所で待っていると、サングラスをかけ意気揚々としたリチャードが、大量に荷物が積まれた車と共にやってきた。
「ハローハロー。キョウカラキリマンジャロへGOデスネ?キンチョウシテマスカ?ヒャー、ドントウォーリー、ビーハッピー!」
明らかに薬をやっていると思われるようなテンションに僕らは一度ドン引きするものの、彼の後方に見える積まれたテントや大量の食材をみることで、僕らはなんとか登山への意識を保ったのであった。
レーガンという男
モシの町から揺られること1時間、僕らはようやくキリマンジャロの登山道へ到着した。到着するとまず目に入ってきたのが登山客の数。さすがは年間5万人の登山客が訪れるだけあり、登山口は世界中の人でごった返していた。まさに人種の坩堝という言葉を具現化したような場面にを目にした僕と大橋は、大いに興奮したのであった。そんな登山前から目をキラキラさせて興奮している僕らに、1人の男が話しかけてきた。
「ハローハロー、ワタシノナマエ、レーガンね。アナタタチのガイドシマスよ。ヨロシクネ。」
最初あまりにも英語の訛りが強いため、何を言っているのかさっぱり聞き取れなかった、ただ段々と話していくうちに、彼の名前はレーガンであり、リチャードと共に僕らの登山サポートをしてくれる、山岳ガイドであるということが判明した。
このレーガンという男は、リチャードとは正反対で実に控えめでおしとやかな性格をしていた。業務の話以外では基本的に自分から話しかけてくることはなく、常に僕らの後ろについてはパーティーがうまく歩けているかをただ控えめに確認するのみ。ただ、女の子の話をしだすとニヤニヤしながら平気でエッチな話をしてくるというところは、アフリカ人が持つDNAに抗えないところなのであろう。
そんなかんやでレーガンと知り合い、登山口での入場審査を無事通過した僕らは、いよいよ本当の出発するときを迎えた。
「ハーイ、TKRサン。オオハシサン。ココカライヨイヨシュッパツデース。カナリシンドイトオモイマスガ、ガンバリマショネ。ウォーターウォーター、トッテモ大事ネ。サ、イキマしょー!!」
半袖短パンスニーカーにサングラスと、これからスタバにでも行くのかという格好をするリチャードの掛け声と共に、僕・オオハシ・メインガイド2人を含む総勢8人のパーティーは、一日目に宿泊するテン場へと足を進めるのであった。
次回「1日目、2日目」
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