ブレーキ
酒が好きである。15歳ぐらいから飲んでいるから一番付き合いの長い友人だ。
と言っても今日の記事は「酒が好きなひと」が読んだら気分悪いかもしれないからやめといた方がいい。
僕は2016年から二年近く断酒していた。過去形だ。二年で終わったわけだ。
https://media.muevo.jp/articles/6091
QOOLANDの解散を決めた日に四人で飲んだ。僕の断酒は終わり、そこから一気に滑り落ちるようにしこたま飲むようになった。
特に深夜に路上で一人で飲みだすと止まらなかった。飲みニケーションでもなんでもない。基本一人だ。
しかし「一人でも飲むほど好き」とは違う。ていうか「好き」でもない。
「美味い」となるともっと違う。
ただただ「気持ちいい」のだ。
僕は味なんかではなく、アルコールの持つあの薬効感のみを求めているのだ。
不安や不満、怒り、孤独などの感情が消え、無力な現実をボカし、ある種の無敵感を纏うことができるからだ。
そして翌日にはひどい絶望に襲われる。
アルコールは薬物だ。「二日酔い」などと呼ばれたりするが、あれは言うなればオーバードーズ、いわゆるバッドトリップだ。
急アルで運ばれる新入生なんかのニュースを見ると分かると思うが、アルコールは「致死量がすぐ目の前にある手軽に手に入るドラッグ」なのだ。
タバコを40本吸っても死にはしないが、日本酒を三升飲めば全致死量を上回り、死ぬ。
そんなアルコールを今はいったんやめれている。
次を駆動させるためだ。もう少し体力と気力と活力と閃きがいる。
まだ一週間程度だけど、やはり日々のクオリティはまるで違う。久しぶりにドライな生活を送っている。
何かしら自分の力をブーストして大事を進めないといけないときは、ドライ期間を作るのがベストだと思う。
特に僕のような依存体質野郎は破壊的な飲み方しかできないから、ゼロ摂取にするに越したことはない。
でも禁断症状はゼロじゃないからキツイし、いつ破れるかわからない。なんだか今日もすごいアレだった。
だけどそしたらまた取り組めばいいのだ。何度だってやり直せる。
それにしても、そもそも人類は何故酒を飲むのだろう。
厚生労働省のe-ヘルスネットのサイトには「飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房の癌の原因となる」「アルコールそのものに発癌(がん)性がある」と掲載されている。
そのような毒性を持つ物質をどうして地球上の人類全体が依存症を引き起こすほど飲みたがるのだろうか。
これは一人の依存症の男としての仮説だが、酒は「進化のブレーキ」の役目をしているのではないだろうか。
人類は飛躍的に進化し過ぎた。
僕たちの次に知能が高いと言われているチンパンジーは火も起こせないのに、僕らホモサピは月にまで到達している。
未開のジャングルで生まれた原住民の赤子を日本に引き取って、一般の子どもと同じように成長に合わせて学校に通わせれば、やがて流暢な日本語を話すようになる。
モチベーションが維持できれば司法試験に合格する可能性だってある。
大リーガーとして活躍して年棒数億円という選手になる可能性もある。
しかしチンパンジーを一緒に育てたとしても、一生「あ」の意味を理解することすらできないだろう。
この違いはどこから来るのだろうか。
人類以外の動物は何億年も何をやっていたのだろう。アホなのだろうか。
おそらく人類だけが突出して進化し過ぎたのだと思う。二番目のチンパンジーと比べても何万レベルも違うほど進化している。
そのスピードは逆放物線を描くように加速度的に進んでいる。
産業革命、そしてコンピュータやネットが出来てからなんかはマジでヤバイ。その先には何があるのだろう。
常識的に、あるいは単純に考えれば滅亡である。どんな惑星でも、種族でも発展し滅びゆく。人類だけが特殊!とはならないだろう。
アルコールを定期的に飲んでいたやつが数ヶ月〜数年の断酒を継続すると覚醒を自覚する。
そうなると世の中のスピードが遅く感じて、じれったく感じたりする。
人類全体が皆そんな感じになってしまったらら、滅亡に向けてまっしぐらに突き進んでいくことになる。
人間は酒を飲むと、怠惰になりだらしなくなる。アルコールが抜けるまでは社会的活動もおろそかになる。
「人類にとって百害あって一利無しの物質だから進化のブレーキの役目を果たしているのでは」と考えてみた。
耐えていると、人間は素っ頓狂な哲学に走るらしい。与太だ。
自分をコントロールしながら、支障無く飲めるひとがほとんどだと思う。羨ましいし、憧れる。
しかし人間誰しも、1滴でもお酒を入れてしまうと思考回路が変わってしまうのは事実だ。
コミュニケーションの面もあるから一概に悪にもできない。
ただアルコールとどう付き合っていくか判断できないやつは考えた方がいい。
だって次に渋谷でトラックをひっくり返しているのは自分かもしれないのだから。