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最速で二段の壁を突破する将棋独学法 #2:最速で将棋アマ二段を突破する方法:終盤の基礎固め

この記事は前回書いた記事「最速で二段の壁を突破する将棋独学法~ゲーム性と具体的方法論~」 の分割版です。

今回の記事では、元の記事の第3章に当たる「最速で将棋アマ二段を突破する方法」について終盤の基礎固めの部分まで解説します。

最速で将棋アマ二段を突破する方法

アマ二段の壁、知能格闘技としての将棋を楽しむ

本記事では目指す棋力目標の基準としてアマ二段を設定したい。これは柔道におけるいわば黒帯みたいなもので、このあたりの棋力を越えたあたりから本格的な趣味としての将棋が始まるといっても過言ではない。(初段以下の人の将棋を見下している意図はない。)
私見だが、初段以下の人と対局すると序中盤で相手が知らない筋(将棋における技のようなもの)でリードを奪ったり、終盤で相手が1度はぬるい手を指してその間に速度が逆転して勝利したりということがよくある気がしている。序盤・中盤・終盤のどこかしらに明確な弱点があるように感じることがある。今回設定した二段という棋力は序盤から終まで一通り自分の形ができていてそこからさらにどう成長するかという段階で一通りの基礎は免許皆伝という段階を想定している。
つまり、一通りの基礎を身に付け本格的に知的格闘技としての将棋を楽しもうという段階である。(何度も言うが初段以下の人が将棋を楽しめていないという意図はない。二段以上になれば基礎のマスターは完了してさらに応用を目指して楽しめるということだ。)

既存の学習方法の問題点

将棋のルールを覚えた次に学習すべきことは何だろうか。早く将棋の対局をしたくてまずは1つの戦法を覚えようとする人が多いのではないだろうか。
しかし、待ってほしい。将棋は終盤の強い人が勝つゲームである。よって棋力向上のためには序盤の定跡よりもまず終盤の詰み・寄せの手筋、形を覚えるべきなのである。

既存の学習法ではルールや入門書の次にまず戦法(定跡)を覚えようとして何かしらの戦法の定跡書を手に取ることが大半だと思う。しかし、何度も言うように序盤よりも終盤の方が勝負に与える影響が大きいのであるから序盤よりも先に終盤を覚えるべきである。テストの勉強をするときに得点の比重の重そうな分野から勉強するのと同じである。終盤の方が序盤よりも勝負に占める比重が重いのだ。早く対局したい気持ちは今は抑えていただき、まずは終盤の勉強から始めてほしい。

先に序盤を覚えて指し始めることの弊害として学習コストの増加序中盤型になることがあげられる。
例えば、相掛かり棒銀を始めに覚えたとしてそれを実際の対局で指してみようとする。しかしながら、相居飛車の戦型は基本的に相手の同意がないと序盤の形が決まらないので、折角相掛かりを覚えても矢倉になるかもしれないし、角換わりになるかもしれないし、横歩取りになるかもしれない。
矢倉や角換わりでも棒銀はできるが、相掛かりとはまったく違う定跡・展開になる。折角1つの戦法を覚えたのにそれを指すために他に2つまたは3つの戦型についても覚えなければならない学習コストが高い。
また、四間飛車を覚えたとして対局で使ってみようとすると相手の対策の多さに苦労することになるだろう。古くからある戦法であるため、急戦・持久戦含め様々な対策が存在する。取り敢えず飛車を振って美濃囲いに囲ってと毎回同じ形で指せるメリットはあるのだが、こちらも学習コストが高い。

これらの学習コストを増加させるもう一つの要因として奇襲戦法の存在が挙げられる。これは将棋を指し始めた人は初段前後で誰もがぶつかる壁である。筋違い角をされて飛車を振れない、鬼殺しの受け方を間違えて瞬殺される等々、自分の指したい戦法に加えてこれらの奇襲戦法の対策(受け方)をある程度知っておく必要があり、さらに序盤の定跡の学習コストが多くなる。奇襲戦法を指されるのが嫌で将棋をあまり指さなくなる人もいるのではないだろうか。

これらの学習コストの増加によって序中盤型の将棋の人が多くなることが問題としてあると思う。つまり、始めに定跡の勉強をしたばっかりに序盤の定跡にばかり学習コストを割いてしまい、中終盤がおろそかになるのである。
これはテストで最初の得点の低い小問ばかり、重箱の隅をつつくように勉強し、肝心の大問を解答できなくなるといった効率の悪いやり方である。
先ほどから何度も述べているようにまずは終盤を覚えることが本筋である。

終盤の基礎を固める

さて、散々終盤を先に覚えることを力説してきたが、何をどう覚えるのか。ここからは具体的な方法を考えていく。まず到達すべき目標は終盤力初段を目指すことである。
終盤力初段とは何か、私見ではあるが次のように定義したい。
実戦で5手詰めが詰ませられる
実戦で1~3手必至がかけられる
つまり、詰将棋は5手詰めまで、必至は3手必至までが解け、実際の対局でも秒読みの中でそれを再現できるレベル感である。それができるようになるためにどの棋書を読めばいいのかこれから紹介していく。

まず、必須で取り組んでいただきたいのが、金子タカシ(2010).『寄せの手筋200』浅川書房である。本書は必至の問題集の傑作であり、寄せの基本的な手筋をほぼマスターすることが可能である。ルールを覚えた次に読んで欲しい本である。
そしてできれば、詰将棋の本も1冊持っておくといいだろう。まずは3手詰め程度の比較的優しい本を手に取っていただきたい。終盤に限らず将棋の基本は「三手の読み」であるから3手詰めを解けるようになることは将棋の基本トレーニング、スポーツでいう筋トレに相当するので、毎日コツコツ解くことをお勧めする。
*詰将棋は作品系統のものと実戦型のもので微妙に毛色が異なるので注意。
詰将棋を解くことは将棋に必要な読みの能力を鍛えるのにうってつけである。慣れてきたらだんだんと手数を伸ばすことで読みの量と精度を上げることができるだろう。

金子本は必須として、パラパラと読んでみて少し難しいと感じた方には次の2冊をオススメする。
1冊目は、森けい二(2004). 『寄せが見える本【基礎編】』浅川書房である。
こちらは金子本よりも解説が丁寧で必至・寄せの形について一通り勉強ができる。金子本への準備段階として有用だ。
2冊目は、北浜健介(2016).『将棋・詰みの基本手筋』マイナビ出版である。
詰みに関する基本的な形が一通り学べる本になっている。後半は囲いや実戦形式の詰み手筋が載っており、詰将棋でよく出てくる筋の確認として実戦に確実に役立つ内容になっている。こちらは必至問題集ではないが、必至の背景にある詰み筋の確認として役立つだろう。

金子本を7割以上スラスラと解けるようになれば、終盤力初段以上といって申し分ないと思う。まずはこの本を一通りマスターすることを目指していただきたい。

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