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街 4
学校に戻ると佳織が階段に座っている。
「何処行ってたの?」コイツなんで俺が出たの知ってんだ?まあいいや。
「・・・」
「ねぇ!由紀ちゃんまた泣いていたよ。」
「・・・」
「何で無視するの?」
「関係ねぇだろ・・・」睨みつける。
「・・・ごめんなさい。」そう言って道をあけた。
「お前うざいよ。」すれ違いざまに耳元で囁く。
「ごめ・・・」気配でわかる、また泣かした。
佳織は一個下だ。そもそも俺みたいなやつに寄ってくる子じゃない。
進学クラスで成績はトップクラス、顔もそこそこな感じ。
こないだ佳織の担任に言われた。
「わかっていると思うけど、あの子は普通なの。しっかり勉強もしてるし、大学の推薦もほぼ決まっているのにあなたみたいな人と一緒にいる事で不幸になるかもしれない。あの子の人生を壊さないで・・・一時の感情なだけだから・・・何かあったら許さないから。」
「わかった!んじゃ代わりにやらせろよ。」
「ホントに最低な人。あんたみたいなクズは地獄に落ちればいい・・・」
「んじゃ閻魔にあったらよろしく言っとくわ。」
そんなわけで距離置いてんだけど距離を取れば取るほど寄ってくる。
まぁ今回のであきらめるべ!たしかに俺にはもったいない子だ。
駿からオムライスをもらって屋上の踊り場に行く。半分くらい食ったとこでコーヒーを持ってきた。
「佳織ちゃんだっけ?可愛そうに・・・ちょっと相手してあげればいいじゃん。どうせデートしたって手もつながないで暗くなる前に家に送る隠れ紳士なんだからさ笑」
「うっせー!俺みたいなのといるだけで損するんだよ。」
「そういうふうに見せてるからだろ。まぁ学年トップクラスの秀才に負い目をもたせたくないか・・・カッコつけても彼女は可愛そうだ。」
「だったらお前が慰めればいいだろ。」
「やっちゃうよ?」
「ふざけんな!おめぇこそ近寄るな!」
「素直じゃないな笑、でもそういうとこが人の気持ちを弄んでるんだよ。」
「・・・」
マルメンに火をつける、やっぱりドリップしたコーヒーは美味い。駿いわくメンソール吸っているくせにコーヒーを語るなと怒られるんだけど。
隣で駿もアメリカンスピリッツに火をつける。
「そういえば木下とはどうなった?昨日デートするって言ったよな?」駿は坊主で193cmで意外ともてる。
「ああ、とりあえずヤッたけど・・・振られたわ。」
「どういう状況?なんでそうなって振られるんだよ!」俺は全く理解できない、こいつらどんな心境でそうなってんだ?
「まあ思い出作りかな?」そう言って遠くを見ながらアメスピを大きく吸った。
「そんなもんか。」とは言ったものの全然理解できていない。
ブー、ブー、ブー・・・ケータイが鳴る。
「どうした?」「・・・」「・・・わかった」「・・・」「三時ごろだな」「・・・」「しょうがないな」「・・・」「じゃあな」
「午後は数学だな!保健室で昼寝だな。」
「そうだな。」
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佳織・・・かわいそうな事したかな。
そもそも接点なんかなかった。文化祭でコピバンのベースを頼まれて先輩たちと練習している教室によく覗きにきていた。
当日付けて欲しいとミサンガを渡されたから付けて出たのがきっかけだったな・・・俺が一人で部室にいるとニコニコしながらやってくる。
いい子なのはわかっている、わかっているからこそやっぱり俺といちゃダメだ。
・・・そんなことを考えながら眠りにつく。
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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