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AI時代における、製造業の変革ロードマップ 〜 匠技研工業が描く、未来ビジョンとは 〜

はじめに

匠技研工業株式会社で代表取締役を務めております、前田 将太と申します。
弊社は、次世代の工場経営DXシステム「匠フォース」を開発するスタートアップです。
いかにも歴史ある製造メーカーのような社名ですが、その印象とは裏腹に、2020年創業のVertical-SaaS(業界特化SaaS)の企業です。

匠技研工業はこの度、総額5億円となるシリーズA資金調達を発表させていただきました。
第三者割当増資の引受先としては、新規株主であるファーストライト・キャピタル様、Angel Bridge様、静岡キャピタル様に加え、既存株主であるジェネシア・ベンチャーズ様、アニマルスピリッツ様にご参画いただいております。

錚々たる株主の皆さまと共に、基幹産業である製造業の変革に挑戦できることを大変心強く思っていると同時に、今後の事業成長と、匠技研工業が描く未来ビジョンに大きな期待をしていただいているという事実に、より一層身が引き締まる思いです。

匠技研工業 総額5億円のシリーズA資金調達を実施

このnoteでは、製造DXスタートアップにおける匠技研工業のポジショニングや、レガシー産業の変革を実現するための道筋など、現在のビューを率直にお伝えできればと思います。
約1万字の長文となってしまい恐縮ですが、これさえ読めば、匠技研工業が描く製造業の変革のロードマップが掴めるという内容になっております。

この記事をご覧いただきたい方として、

  • レガシー産業DXの挑戦の渦中で、酸いも甘いも経験している方

  • SaaS業界の行く末について、興味のある方

  • 次のキャリアとして、スタートアップで大きな挑戦をしたいと考えている方

を想定しております。

この記事で知れること

  • 製造業の「マーケット構造」

  • 匠技研工業が向き合っている、「課題」と「ソリューション」

  • 匠技研工業の「バリュープロポジション」や「他の製造DXスタートアップとの違い」

  • 製造業における、生成AIのポテンシャル

  • AI時代における製造業の変革ロードマップ(Pre-DX → DX → AX → IX)

製造業の変革ロードマップ(Pre-DX → DX → AX → IX)


そもそも、「製造業」はどんなマーケット構造になっているか?

製造業は、社数にして22万社、日本のGDPの20%を占める、基幹産業です。
市場規模は、参照データによって異なりますが、約100-120兆円と言われています。

この製造業を支えるプレイヤーは、役割から大きく2つに分けることができます。
それは、「完成品メーカー」「サプライヤー」です。
(※ 業界に精通した方からは、「そんな単純に切り分けられる世界ではない!」という批判がくることは覚悟の上で、分かりやすさのためにあえて言い切っています。)

私たちの日常生活は、自動車、航空機、家電、電子機器などの便利な「完成品」によって支えられていますが、こうした「完成品」は、分解すると多種多様な1つ1つの「部品」で構成されています。

「完成品」を設計したり、部品を調達して組立をおこなっているのが「完成品メーカー」、部品の製造や加工をおこなっているのが「サプライヤー」です。
(勿論、設計や組立まで行うサプライヤーもいれば、部品加工まで行う完成品メーカーもいますし、部品を組み合わせた「ユニット」を作っている企業も多数いますので、あくまで概念的な話と捉えていただければ幸いです。)

製造DXスタートアップの中には、部品を”調達(仕入れ)する”側である、発注サイドの「完成品メーカー」にフォーカスを当て、事業展開している企業が複数存在しています。
取引のパワーバランスを鑑みて、上流である大企業のプレイヤーから押さえていくという戦略は、極めて合理的です。

一方で、匠技研工業は、部品を”供給する”側である、受注サイドの「サプライヤー」に注目しています。
実は、製造業のマーケットのうち99%を占めるのは、中小サプライヤー企業群です。
サプライヤー企業は、業界ピラミッドの裾野を支えている屋台骨であり、ロングテールにして業界に与えるインパクトが絶大な、極めて重要なプレイヤーなのです。

匠技研工業は、部品を供給する側である、「サプライヤー」に注目

「大企業から攻める」「取引のパワーバランスが強い方から攻める」といったセオリーからは、アンチパターンになる攻め方ですが、サプライヤー企業群の市場規模は極めて大きい一方で、多くのプレイヤーが、資金力のある大企業(Enterprise企業)を対象として事業を展開しているため、市場に隙間があり、ゆえに根深い課題が解決されずに残り続けています。

サプライヤー企業にフォーカスし、長らく解決が待ち望まれていた課題に対峙する。
これが匠技研工業における、マーケットのポジショニングです。

サプライヤー企業が抱えている構造的課題

製造業の屋台骨を支えているサプライヤー企業ですが、「人手不足」「技術承継困難」「旧態依然な商慣習」など、多くの課題が山積み状態です。

おそらく全てのスタートアップにとって、「人材採用」は永遠のテーマだとは思いますが、少子高齢化・人口減少が進んだ地方の製造業においては、私たちスタートアップが直面するよりも、何倍も採用が困難で、人手不足だという現実があります。

そして、引退する世代を目前にして、優れた技術が後世に承継されていかないという悲しい現実が、現場で起きています。

こうした状況下においては、「限られた人員の中でいかに生産性を上げていくか」という視点や、「新たに入社したメンバーが即戦力になる技術承継」といった論点が、極めて重要になります。

また業界には「1円でも安く部品を調達する」という商慣習があります。
当然、完成品メーカーの視点からは、競争力向上のために仕入れ価格を究極まで下げるということは、経済合理性に適っているのですが、原材料費高騰・賃上げなどといった原価高騰の圧力がある世の中においては、サプライヤー企業に対する漸減的な値下げ要求は、サプライヤー企業における著しい経営状態の悪化に繋がります。

サプライヤー企業は、原価高騰とコストダウンの板挟みに苦しんでいる

その結果、パワーバランスが相対的に弱い中小サプライヤー企業では、付加価値に応じた適切な対価を得ることができず、ハードウェアやソフトウェアへの設備投資が十分にできないことで、生産性が向上しないという悪循環に陥っています。

日本の誇りであるサプライヤー企業は減少傾向となり、サプライヤー企業の成長が限定的となっていることから、結果的に完成品メーカーの首を絞めることに繋がっています。

こうした構造的な課題を解決し、サプライヤー企業における誇るべき「匠の力」を拡張することをコンセプトにしてリリースしたのが、「匠フォース」です。

ソリューションとしての「匠フォース」

ややアンチパターンなマーケットにおけるポジショニングとは裏腹に、匠フォースのプロダクトは、極めてセオリー通りに生み出されました。
そのセオリーとは、「顧客の課題(ペイン)を、解決するプロダクトを作る」というものです。

数々の事業のピボットを経ながら、「見積」という業務領域におけるペインに辿り着いた経緯は、下記のnoteに詳細を述べておりますので、ご興味ございましたら、ぜひご覧ください。

中小サプライヤー企業において、とりわけ根深い課題となっているのが値決め、つまり「見積業務」でした。
詳細は前述のnoteをご覧いただければと思いますが、製造業における見積業務とは、工場の売上や利益を決定づける工場経営の根幹となる業務です。
故に、熟練の判断が必要となり、多くの企業でベテラン職人に依存する形となるため、技術承継の課題が顕在化しています。
また、紙やエクセルを中心としたオペレーションは、過去の類似案件を探す手間や、社内で情報共有をするコミュニケーションコストが高くなっており、人手不足が深刻な中で、生産性を低く押し下げる要因になっています。

これらの課題を解決するために、工場経営を科学して生み出したソリューションが、「匠フォース」です。
限られた一部のベテランに依存する非効率な見積体制から脱却し、誰でも迅速に適切な価格設定ができる体制を構築することを志向したプロダクトです。

製品チームのエンジニアも現場への滞在を重ね、現場の方でも直感的に操作できるUI/UXにこだわり、開発を進めてきました。

昨今では、材料費高騰や賃上げを発端として、価格転嫁を進めていく必要性が高まっており、このような時代の潮流は、匠フォース事業の追い風となっています。

お陰さまで、リリースから2年を経て、日本全国のサプライヤー企業様に、日常業務で深く活用されるプロダクトへと成長を遂げることができました。

工場経営DXシステム「匠フォース」

製造業における「サプライヤー企業群」というMarketと、「匠フォース」というProductが、Fitし始めているということ。
これが、シリーズA資金調達の決め手となった、匠技研工業における「PMF(=Product Market Fit)※」です。
(※ PMF:製品が市場に適合し受け入れられている状態で、事業拡大のアクセルを踏むことができるマイルストーンのこと。)

生成AI時代。匠フォースは、どのように進化するか?

顧客の課題を起点として開発を進めてきた匠フォースは、順調に事業成長が推移してきました。
目の前の顧客、つまりn=1の課題を解決し続けるということは、ビジネスの基本中の基本であり、非常に尊いことだと痛感しています。
一方で、世の中の大きなマクロトレンドを掴み、その潮流に乗っているかという視点も、業界を変革していく大きな事業を創造していく上では、不可欠な視点です。
匠フォース事業を築いていく中で、幸運にも直面したのが、第四次AIブームと言われている、昨今の生成AIの進展でした。

特に2024年現在においては、生成AIに関する期待が白熱しており、業界の未来を描く上では無視できないほど大きな存在となりました。
実際に弊社内でも、生成AIを活用した営業体制や、メンバーのオンボーディング体制を取り入れています。
非連続な事業成長を遂げるための大いなる可能性を秘めている「生成AI」。
今の時代、この話題に触れずして、事業戦略を語ることはできません。

では、AIの進展によって、何ができるようになるのか?
1つは、これまで扱うことが困難だった、「非構造化」データを、容易に扱うことができるようになった点だと考えています。

「構造化」データとは(By ChatGPT)
予め定められた形式や構造に従って整理されたデータです。
このデータは、テーブル形式(行と列)で表され、各データ項目が明確に分類され、データベースに格納されることが一般的です。例えば、リレーショナルデータベース(RDBMS)内のデータがこれに該当します。構造化データは容易に検索・処理・分析ができるため、AIや機械学習アルゴリズムに利用しやすい特徴を持っています。

例:
顧客情報(名前、住所、電話番号、購入履歴など)
売上データ(日時、商品ID、金額)
在庫管理データ(商品ID、数量、入庫日)

「非構造化」データとは(By ChatGPT)
特定の形式や構造がなく、自由な形式で保存されるデータです。このデータは、テーブルや明確な分類がなく、テキスト、画像、音声、動画など多種多様な形態を取ることがあります。非構造化データの分析には、自然言語処理(NLP)、画像認識、音声認識などの技術が用いられます。

例:
テキストデータ(電子メール、SNSの投稿、書類、ブログ記事)
画像(写真、イラスト、スキャンした文書)
音声(音声録音、ポッドキャスト)
動画(YouTube動画、会議録画)

例えば、製造業においては、部品の仕様が書かれた「図面」が、必ず存在します。
3DCADも流通しつつありますが、市場の95%はまだまだ2次元の図面であり、PDFで送付されたり、現場で紙媒体で運用されたりしています。

製造業の現場では、「図面」が必ず存在する

図面には、図枠の中に書かれた図番、品名、材質といったデータや、描かれた部品の形状データ、寸法や公差といった情報が書かれています。
これは、前述の定義に照らしてみれば、「非構造化」データであり、従来技術では取り扱いが容易ではありませんでした。

従来は、こうした画像データは、「図番や品名を入力しておく」「形状タグや寸法を入力しておく」といった、手作業でのデータ整理を行なっていないと、検索することができませんでした。
つまり、スムーズな検索のためには、データを「構造化」し、管理しておく必要があったのです。

しかし、AIが図面に書かれた図番や品名を自動で読み取ったり、形状を認識したり、寸法を把握したりできるようになったため、非構造化データであっても、スムーズに検索できる世界線が実現しました。
Sansanをはじめとする名刺管理ツールが、OCRによる文字認識で検索できるようになったように、同様のことが、図面でもできるようになっています。

製造の現場には、図面をはじめとする紙の帳票類が、大量に存在しています。
生成AIの躍進により、これまで扱うことが難しいとされてきた帳票類を、貴重な資産として活用できるようになるのです。

製造現場に存在するデータは、図面だけではありません。むしろ、帳票類はごく一部に過ぎないと言っても過言ではないでしょう。
サプライヤーの現場には、「製造実績データ」「不良データ」「機械稼働データ」「現場ノウハウ」など、価値は高いもののこれまで扱いづらかったデータが多く眠っています。
工場経営を科学する上で鍵となる、こうした非構造化データの宝庫である製造現場において、「テキスト」「画像」「音声」「動画」といったデータを扱う自由度が格段に上がったことは、言わずもがな大きな可能性を秘めているのです。

DX(Digital-Transformation)から、AX(AI-Transformation)へ。

日常の業務を通じて、現場の貴重なデータが溜まっていく匠フォースは、いわば「匠の技術をデジタル資産化」している状態です。
これらのデータを活用することで、今はまだ実務レベルには至っていない「2次元図面からの完全自動見積」や「自動工程分解」、「データドリブンなカイゼン提案」など、人智を超えた体験を、提供できるのではないかと考えています。

抽象化した表現にすると、デジタルをベースとした業務であるDX(Digital- Transformation)のフェーズから、人智を超える自動化・最適化ができる、AX(AI-Transformation)へと発展させていくことができるのです。
(最近巷で囁かれている、「Vertical SaaS」から「Vertical AI」へという議論は、DXからAXへという議論と、重なる概念だと捉えています。)

「DX」から「AX」へ。

その現場は、「AI-Ready」か?

「AI時代において、データは貴重な資産になる。」
これ自体は疑いようもなく、間違いありません。

しかし、どのようにして、そのデータを溜めていくのか?
この論点なしには、DXからAXへの遷移を語ることはできません。

ここで、AI活用が前提となった世界線に到達する瞬間を、「AI-Ready」な状態、と呼ぶことにします。(造語です。)
「DX」を通じて溜まったデータが「量」「質」ともに一定の閾値を超えて「AI-Ready」な状態を迎えると、「AX」がもたらすインパクトは、非連続に増大します。
「今よりもラクになって、ちょっと便利だよね」という世界から、「人智を超えて、圧倒的に便利だよね」という世界線になります。

「DX」を通じて溜まったデータが「量」「質」ともに一定の閾値を超える「AI-Ready」

ではどのようにして、AI-Readyな状態を実現するのでしょうか。
例えば、AI-Readyを迎えるための1つの手段として、過去の紙図面や帳票類を、スキャンしてシステムにアップロードしていくということが考えられます。
こうすることで、過去データを、AIの学習材料や参照先として扱うことができるようになります。

ではこれから先の未来において発生するデータについては、どうでしょうか。
業務が完遂し、過去のデータになる瞬間を待って、都度アップロードしていくのが、最適なのでしょうか。

匠フォースが注目したのは、まさにこの点でした。

AXな世界において、手段としてデータを溜めるということは、UXにおける最適解ではない。
そうではなく、「データが溜まるということを意識せずとも、データが溜まる」ということが当たり前になる世界線こそが、最適なUXだと考えています。

日常業務の中で、無意識のうちにデータが溜まる仕組みを作り出すことができれば、意識せずとも「AI-Ready」な状態が生み出されることになります。
そのために、日常業務におけるインターフェースを押さえ、頻度高く活用されるシステムを提供する。サプライヤー企業の業務に、「圧倒的に」深く入り込む。
それがまさに、日次で発生する業務である「見積」を起点としたシステム「匠フォース」でした。

「見積」というのは、サプライヤー企業における業務の入口部分であり、言わば「社内におけるデータの発生源」です。
このデータの発生源を押さえることが、無意識のうちにデータが溜まるUXに不可欠だと考え、匠フォースは初手で見積領域に注力したソリューションを開発・提供してきました。

加えて、製造業における見積業務は、単なる金額データの発生源ではなく、工程情報、製造情報、不良情報などが集約する、データの結節点でもあります。
これらのデータは、「匠の技術」といえる非構造化データの真髄であり、サプライヤーの見積領域にエントリーしているからこそ得られる貴重な資産です。

現在の匠フォースは、サプライヤーにしか存在しない希少なデータを蓄積することで、「AI-Ready」な状態へ誘う導入ツール、と言っても過言ではありません。

匠フォースは、データの発生源である業務の入口を押さえ、無意識にデータが溜まるUXを提供

ただし、弊社は「データの発生源」は押さえつつも、全てのデータを自社で集めることができるとは思っていません。むしろ、オープンなプラットフォームとして、隣接領域のプロダクトと連携をしていくことも、重要戦略の1つです。
現に、生産管理システムを提供しているトップ企業様との連携を実施しており、顧客視点ではシームレスなUXを提供しつつ、データの流れが滑らかになる世界線を実現しようとしています。

決して無視できない、DXの手前にある、Pre-DXの存在。

ここまでの話で、「製造DXはそんなに単純な話じゃない」「いかにもITスタートアップっぽい思想に染まっているだけではないか」という批判の声が聞こえてきそうです。
それもそのはず、多くの製造現場では、「AIが活用できるデータが、綺麗に整備されていない」ということが現状です。
それどころか、そもそも「データを溜めるシステムの導入に苦戦し、データが存在しない」と言ったケースも多くあります。

例えば「今日から見積システムに入力して、見積業務を行なってくださいね。」と言っても、
そもそも加工機ごとのチャージレートが20年前から見直されていなかったり、
原価計算ロジックが存在しなかったりするケースに、かなりの確率で遭遇します。
図面は紙で存在し、電卓で行った計算情報はストックされず、データの溜まらない日々を送っています。

仮に、データを溜めることを目的として、システムに無理やり入力することを強制しても、活用できないデータだけが溜まり続けることになってしまいます。
こうしたデータは、将来的にAIの学習データとして活用する際にノイズとなってしまうので、そもそもデータとして価値を持ちません。

結果、「AI-Ready」な状態を目指して「DX」に取り組んでいたにもかかわらず、いつまで経っても「AX」な世界に辿り着けない、という事態がおきます。
下手すると、「どんぶり勘定」再生産システムになるという、悲劇が起こります。

実は、データが溜まる「DX」な世界線の手前には、デジタルを前提とした業務プロセスの最適化が必要になるのです。
「DX」な世界を見越して、データモデルやデータ蓄積の仕組みを最適にデザインする営み、言うなればそれは「Pre-DX」(造語)という概念です。

製造業の変革においては、この「Pre-DX」の営みが、極めて重要だと考えています。

「DX」の前にある「Pre-DX」の存在


「AI-Ready」の前に、「Digital-Ready」を!

「AX」な世界の手前にある、「DX」。
そして「DX」な世界の手前にある、「Pre-DX」の存在。

「DX」に向けて、データモデルやデータ保存状態が、最適にデザインされた業務プロセスになっている状態を、「AX」な世界に向けた「AI-Ready」な状態と比較される概念として、「Digital-Ready」(造語)と呼ぶことにします。

「DX」に至る前提条件である「Digital-Ready」

匠技研工業において、「Degital-Ready」な状態を目指す「Pre-DX」を担っているのが、専任のコンサルティングチームです。
匠フォースは、導入のオンボーディング期間に標準で3ヶ月かかりますが、それは「Digital-Ready」になっていない状態からスタートするケースがほとんどだからです。
お客様の現場へと実際に足を運びながら、システム導入の前に、原価計算ロジックの見直しや業務プロセスに無駄がないかの精査などを行い、膝を突き合わせて、業務の標準化やプロセス変革をご支援しています。

「Pre-DX」を担っている、専任のコンサルティングチーム

匠フォースは、導入前のコンサルティングや導入支援が手厚いことが、強力な差別化要因となっていますが、全ての企業にテクノロジーの恩恵を届けていく上では、避けては通れない道ですので、むしろ必然だと思っています。

「レガシー産業だからオンボーディングに時間がかかるよね」「だからCS大変だよね」という単純な話ではなく、「変革に必要なステップだから、専門のチームを組成して伴走しきる」というのが、基幹産業の変革において大切なスタンスです。

Digital-Readyを目指すのが「コンサルティングチーム」だとすると、AI-Readyを目指す伴走チームが、いわゆる「カスタマーサクセスチーム」です。
そして、AI-Ready状態を迎えた企業において、人智を超えたAI-UXな世界を提供する主体となるのが、我らが匠技研工業の「プロダクトチーム」です。

「Pre-DX」「DX」「AX」には、それぞれ特徴的な支援体制が存在する

勿論、チャートのように綺麗に分業できるわけではなく、実際にはそれぞれのフェーズの企業に対して、チームの総動員的な支援体制が不可欠ではあるのですが、あえて特徴的な支援主体をピックアップするとしたら、上記のように整理できると考えています。

Pre-DX、DX、AXを経て、そしてIX(Industrial Transformation)へ。

社名が「匠技研工業」と渋い感じなのに、よくわからない横文字や略称や造語ばかり出てくるnoteとなってしまい、申し訳ありません。

ただ最後に、ダメ押しでもう1つ概念を追加させてください。
それは、「IX(Industrial - Transformation)」です。

(再掲)製造業における変革ロードマップ

まずは、泥臭い「Pre-DX」フェーズを経て、「Digital-Ready」な状態を作り、「DX」の礎を築く。
そして「DX」を通じて、「AI-Ready」な状態を作り、「AX」な世界観を作る。
これは、絶対に誰かがやらなければならないミッションであり、まさに我々匠技研工業が実現しようとしている世界です。

しかし、匠技研工業が描くストーリーは、そこでお終いではありません。

モノづくり産業における不変の原則として、「モノづくりは1社では完結しない」ということがあります。
「餅は餅屋」という言葉の通り、各社の強みを活かしていく形で、分業体制が敷かれ続けるのが、製造業の命運だと思っています。(勿論、垂直統合的に設計、部品加工、組立、販売などを1社で実現していく企業も、中には存在します。)

個社ごとの「DX」や「AX」は、百歩譲って莫大な資金さえ積めば、個社単位で実現できるかもしれません。しかし、仮にいくらお金があっても解決できないことがあるとすれば、それは複数の企業を横断した企業間の連携を伴う変革です。

工場同士がシームレスに繋がり、サプライチェーン全体でリードタイムを短縮することができれば、産業としての競争力を強化していくことができはずだと考えています。
世界中から、「株式会社 ALL-JAPAN」に仕事が集まる、そんな世界線も、夢ではないと思っています。

これが、匠技研工業が描く、AX(AI-Transformation)のその先にある、IX(Industrial-Transformation)であり、
匠技研工業が描くビジョン「全ての企業に、テクノロジーの恩恵を。」が実現された世界だと考えています。

(※ 「Industrial」という呼称は、「Digital」「AI」と並ぶワーディングと並列概念ではないので、やや歯痒さが残りますが、IXな世界線を作りたいという思いを込めて、命名しています。より良い表現や概念があれば、ぜひお知らせいただけますと幸いです!)

当然、ただでさえ難しい個社ごとのDX・AXと比較しても、IXの難易度は、ケタ違いに困難を極めると考えています。

ただ、30年後、50年後の未来を想像したときに、おそらく業界ではIXが実現され、シームレスな企業間連携を伴った強固なサプライチェーンが構築されており、人類の進歩を力強く支える優れた製品が、幾多も世に生み出される世界になっていると思います。

万に一つ、自らがその担い手になる可能性があるとしたら、ものすごくワクワクしませんか?

挑むなら、インパクトある日本社会の課題解決を。

シリーズA資金調達を終えた匠技研工業は、ようやく、製造業を大きく変革していくスタートラインに立ち、その壮大なビジョンの実現に向けた、挑戦権を得たと考えています。

しかし、足元の事業進捗と、描く壮大なビジョンに対し、組織体制は全く追いついていません。
事業のコアを支える社員は、10名を超えたばかり。
1→10フェーズに挑戦したいリーダー層は勿論のこと、自身のキャリアにおいてスタートアップで挑戦をしてみたい若手メンバーも含めて、様々なバックグラウンドの方が活躍できる可能性を秘めたユニークなポジションを、数多くご用意しております。

少しでも気になった方は、ぜひ以下の採用サイトをご覧いただけますと幸いです。

匠技研工業 採用特設サイト

また、代表の前田は、採用と組織づくりにコミットします。
このnoteを読んで、少しでも心が疼いた方、ぜひカジュアルにお話しましょう!
下記、カジュアル面談の応募フォームから、お気軽にご連絡いただけますと幸いです!

ここまで長文のnoteをご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
今後とも、温かく応援いただけますと幸いに存じます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

2024年12月24日
匠技研工業株式会社
代表取締役社長 前田 将太

ぜひカジュアルにお話ししましょう!


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