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【表現評論】スマイルプリキュア! コアレビュー Part 8 第43-48話
第43話 れいかの道!私、留学します!!
日本の中学生でただ一人イギリスに留学する権利を得たれいか(どんな制度?)。みんなはそれを喜んでくれる。出発は一か月後だが、イギリスに行くとみゆきたちと一緒にプリキュアをやっていけなくなることに悩む。
心の乱れが生じて弓道もうまくいかなくなっているところにジョーカーが現れ、れいかの心をよけいに乱してくる。留学に行っても行かなくても、多かれ少なかれ周りに迷惑をかけてしまうことを指摘され、ビューティの変身が解けてれいかにもどってしまう。そこにハッピーたちが助けにきて、笑顔でれいかを送り出そうとしたのだが、やっぱり悲しくて泣いてしまう。
れいかは自分の心を決める。やっぱりみゆきたちと一緒にいたい。そう強く思ったれいかは再びビューティに変身して、ジョーカーと剣を交えて戦う。最終的にはビューティブリザードアローでジョーカーを追い詰め、ロイヤルレインボーバーストでジョーカーを追い出すことに成功する。
寄り道脇道回り道、しかしそれらもすべて道!
れいか回は常に「道」にフォーカスが当たってきた。人生の行き先などわからないし、舗装された道があるとも限らない。それでも歩くしかない。
第44話 笑顔のひみつ!みゆきと本当のウルトラハッピー!!
みゆきは、小さなころは人見知りだったそう。おばあちゃんの家にしばらく滞在していても一人遊んでいたのだが、大きな木の下で不思議な女の子と出会う。その女の子とは心を通わせることが出来て、おかげで近くの子どもたちと仲良くなることができた。それ以降、木の下に行っても不思議な女の子と会うことはなかった。みゆきがウルトラハッピーを探すようになったのはこれがきっかけである。
もう後がないウルフルンがみゆきに勝負を申し込む。みゆきは防戦一方だ。なんとか攻撃を耐えているとき、ウルトラハッピーとはどのようなものなのかに気がついた。誰かを守りたいと大切に思う気持ち。やさしいこころを育てたいという想い。ハッピーは、ハッピーシャワーシャイニングでなんとか反撃し、かけつけたみんなと敵を倒した。
宝物とは何か。夢とは何か。家族とは何か。道とは何か。幸せとは何か。第40-44話で描かれたものはお勉強でわかるものではない。なにかのきっかけでふと自分で答えが見えるものだろう。
第45話 終わりの始まり!プリキュア対三幹部!!
ここから4話かけて最終決戦が描かれる。すべて観終わってからのコメントだが、第45話がスマプリとしてはピークだったような気がする。
突然キャンディは姿を変えてしまった。これはミラクルジュエルという。ミラクルジュエルがなんなのかはみゆきたちにはわからない。そこに現れた、三幹部であるウルフルン、アカオーニ、マジョリーナとプリキュアたちが対決する。三幹部はプリキュアに負け続けているから、ここで負けるともう後がない。文字通り命がけでプリキュアたちに襲い掛かる。
一度は三幹部に負けかけるプリキュア。なぜそんなに悪いことをしようとするのか三幹部に尋ねると、私の予想外にスマプリの根幹にかかわる理由を答えてくる。みなさんご存知のように、オオカミや鬼、魔女は絵本の世界では悪役であることが多い。そのいじめられた恨みを晴らしたいのだという。これを聞いたプリキュアは戦意を喪失する。なぜそのような過去を持つ者と戦わなければならないのか。絵本が大好きなキュアハッピーは、三幹部を包み込むような慈悲の心を見せ、三幹部は妖精の姿になった。彼らはもともとメルヘンランドの住人だったのだ。これには驚かされた。悪役は生まれながらに悪役であるとは限らないことをこの回では雄弁に述べている。
第46話 最悪の結末!?バッドエンドプリキュア!!
三幹部がプリキュアに負けたのを見てジョーカーはバッドエンドプリキュアを生み出す。バッドエンドプリキュアのパワーはすさまじく、ハッピーをはじめプリキュアたちは苦戦を強いられる。ジョーカーがミラクルジュエルを破壊しようとしたそのとき、ロイヤルクロックからロイヤルクイーンが現れ、ジョーカーの攻撃を防ぐ。ロイヤルクイーンがジョーカーを食い止めている間、プリキュアたちは力を振り絞ってバッドエンドプリキュアを倒す。しかしそのときにはピエーロが完全復活をとげていたのだ。
第47話 最強ピエーロ降臨!あきらめない力と希望の光!!
キュアデコルがすべて集まったことで、ミラクルジュエルから人間の姿のキャンディが生まれる。キャンディはメルヘンランドの次期女王、現在のロイヤルクイーンの娘であったのだ。
ロイヤルクイーンから中身が真っ白な本を託される。これからの明るい未来をプリキュアに描いてほしいという願いだ。ピエーロはその本を黒い絶望の絵の具で染めてしまう。本と心がリンクしているプリキュアたちは絶望の底へ沈んでしまう。
キャンディはミラクルジュエルの力を借りてプリキュアを救おうとする。その想いが届いて、間一髪のところでプリキュアたちはバッドエンドの世界から抜け出すことができた。
希望とはなんなのか。プリキュアたちの答えは「友達」だった。傷ついた友達のために寄り添ってあげたい。浅い回答かもしれないが、これでいいと私は思う。哲学的で深遠な回答がよいとは限らない。
第48話 光輝く未来へ!届け!最高のスマイル!!
希望は友達であるが、ピエーロとの最後の戦いではミラクルジュエルの力を出し切る必要がある。それをやればみゆきたちとキャンディは離れ離れになる。一同は悲しみに沈んでしまうが、それでも大事なことは自分で決めなければならない。決意を新たにミラクルレインボーバーストでピエーロに対抗する。そこでキュアハッピーがピエーロの怨念をすべて包み込んだ。これは「魔法少女まどか☆マギカ」のアルティメットまどかのようであり、「金色のガッシュ」のミコルオ・マ・ゼガルガのようでもある。相手を力でねじ伏せるのではなく、包摂することで解決するのは悪ではなく善でないとできないことである。
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ピエーロを破ったみゆきたちはキャンディとお別れをして、日常生活に戻っていく。しばらくすると、キャンディがまたみゆきたちの元に来られるようになったとのこと。無理やりな展開だが、これでいい。みんなは今日も最高にウルトラハッピーだ。