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【表現評論】表現物と地域社会のかかわりについて(前編)

はじめに

2024年10月26日から10月27日にかけて熊本県人吉市で開催された「レヱル・ロマネスクサミットin人吉2024(以下、サミット)」の初日だけ参加しました。レヱル・ロマネスクとは、PCゲームとして発売された「まいてつ」およびそのバージョンアップ版の「まいてつLast Run!!」の世界観をベースにしたアニメを指します。派生が非常に多いため、まとめてくださっているツイートを引用することで代用します。今からゲームを遊ぶなら、PCならFanzaやDLsiteで「まいてつLast Run!!」を、PS4やSwitchなら「レヱル・ロマネスクOrigin」を買うのがよいと思います。レヱル・ロマネスクのアニメ(第1期および第2期)は、Amazon prime videoなどで観ることができます。

今回は、サミットに参加したことをふまえて、表現物と地域社会とのかかわりについて考えてみます。サミットの内容のうち、まいてつ/レヱル・ロマネスクの内容や鉄道に関することはあまり取り上げないつもりですし、聖地巡礼リストを示すつもりはありません。前編と後編の二部構成とし、前編はふつうの観光記録のようなもの(訪れた順番どおりではないし、一部しか紹介しない)、後編では本題である表現物と地域社会とのかかわりについて書く予定です。

まいてつの舞台である熊本県人吉市を訪れるにあたり、さるかんねさんのガイドには非常に助けられました。感謝の気持ちをこめてここで紹介します。

人吉訪問記録

人吉城跡

球磨川に面した土地に人吉城跡があります。本丸があった場所まで登ってみましたが、石の階段がとても急で非常に大変でしたので、軽い気持ちで行こうとしない方がよいです。本丸まで行っても東屋があるだけで、木に囲まれているため開けた景色が広がっているわけではありません。

人吉城跡入口
人吉城本丸跡地からの景色

青井阿蘇神社

まいてつでは赤井阿蘇神社として登場する国宝の神社です。訪問した日は国宝記念館が一般開放されていないような印象でしたが、サミット参加者は国宝記念館を見学することができました。中では球磨地方の文化に関する展示があります。お土産として買えるようなものでいえばきじ馬や花手箱があります。

青井阿蘇神社の鳥居
きじ馬
花手箱

まいてつ聖地案内マップ

まいてつ無印の移植版「まいてつ-pure station-」のロゴが入った聖地案内マップがありました。詳しくは調べていませんが、2020年の水害の影響がある前のものと思われます。実際、ゲーム内で右田一酒造元や蓑笠鍛冶屋として登場した建物はダメージを受けて移転しています。

まいてつ聖地案内マップ 写真には写っていないが、下の方には絵馬をかけるところがある

温泉むすめ 人吉青井

都道府県の温泉地を拠点とする、地域活性化を目的とした温泉むすめの一人である人吉青井は人吉市のキャラクターです。人吉市を舞台としているまいてつや夏目友人帳の勢いに押されて、人吉青井を目にする機会は多くありませんでしたが、人吉駅近くにあるステーションビジネスホテル天守閣の一階にあるグッズコーナーにてぬいぐるみなどが見受けられました。

人吉青井

人吉スカイランタンフェスティバル

サミット1日めの予定が終了した後、こちらのイベントに行ってみました。私は当日に顔を出しただけであるためランタンを上げてはおりませんが、ランタンが上がる瞬間は復興祈願の気持ちをこめておりました。

夜空に浮かぶランタン

喫茶古都花ことか

ここからは食事について触れていきます。せっかく訪れた土地ですから、チェーン店ですませるのはもったいない。そこでないと体験できないものを選んだつもりです。
古都花では花おはぎをいただきました。訪れたタイミングではちょうど在庫がなくなりかけていたようなのですが、ぎりぎり1つだけ用意してくださいました。花のどの部分をとっても精巧であり、その技術を目と舌で感じることができます。

花おはぎと抹茶

Cafe亜麻色

Cafe亜麻色はアニメ「レヱル・ロマネスク」に登場しています。放送当時からは移転していると思います。中はカウンターとテーブルをあわせて10席ほどしかなく、入れないこともあります(私も一度あきらめました)。人吉滞在中に二度おとずれ、それぞれ焼きカレーセットとシャインマスカットのパフェをいただきました。店主さんには水害の苦労をいろいろと教えていただきました。

焼きカレーセット1150円
シャインマスカットのパフェ800円 価格設定がおかしい
Cafe亜麻色 内装1
Cafe亜麻色 内装2
Cafe亜麻色 内装3
Cafe亜麻色 内装4

やたけ茶園

古都花の店主さんに紹介していただいたお茶屋さんです。ほうじ茶シェイクが絶品でした。サミットの物販でも、やたけ茶園の緑茶が販売されていました。店内にはSLの模型があり、車輪を動かしたり音を出すしくみがあります。

やたけ茶園

鯖乃家

初日の夕食では鯖乃家に行きました。人吉でとれた鮎の塩焼きは絶品でした。もちろん球磨焼酎もいただきました。

ひとり用のお刺身
焼き鯖寿司
鮎の塩焼き

京だる

二日目の夜は京だるに行きました。九州らしい食べ物の鳥のたたきと、生キクラゲの刺身をいただきました。生キクラゲはとてもおいしかったので、また人吉を訪れた際にも食べたいです。ここで球磨焼酎をロックで三杯飲み、旅館に戻ってすぐに倒れ込んだのも思い出です。

天草大王のたたき
生キクラゲの刺身

サミットについて

サミットのメインの内容は、ローカル線であるくま川鉄道のこと、声優のトークイベント、アニメで取り上げられた場所をめぐるなどがありますが、今回はそれには触れません。

地元の文化に触れる

サミットは10月26日の午後からがメインであり、午前中は物販などが中心でした。午前中にできることとしては、サミットの公式ホームページにないものもあり、

  • ぬいぐるみ用ミニほうきづくり体験

  • 箸づくり体験

  • 竹細工工芸体験(コースター)

  • 絵手紙づくり体験

  • 花手箱づくり体験

  • SL特大パネル写真撮影体験

  • 缶バッジ作製体験

  • ぬいぐるみ専用ミニトレイン乗車体験

などがありました。花手箱は人吉で有名な工芸であり、前述したステーションビジネスホテル天守閣の一階にあるグッズコーナーには、まいてつのメインキャラクターであるハチロクが描かれた花手箱は販売されています。こういった地域の工芸を体験できたのが、サミットで最もよい点であるといえるかもしれません。この体験の存在が、ふつうの聖地めぐりのイベントとは異なる性質を示すものになっています。

天守閣グッズコーナー
天守閣グッズコーナー

後編にむけて

ここまでまいてつやレヱル・ロマネスクの話をほとんどしませんでした。私としては聖地巡礼といえば、ファンがその土地を訪れて、グッズがたくさん置かれているような場所をめぐるというイメージがあります。私はそのような聖地巡礼は非常に自己中心的であり、その土地がもつ文化や背景をほとんどないがしろにしているように感じます。後編では、表現物のファンはその舞台とどのようにお付き合いするのがよいかを考えようと思います。

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