【表現評論】WhitePowder「LAMUNATION!」コアレビュー Part 8 らむねルート③
恋愛ゲームと化すラムネーション
ここにきてようやくラムネーションは美少女ゲームのように恋愛要素が前面に出てくる。fig. 74の後ろに小さく映っているリスの着ぐるみはアイリス(アイスを売るリス→アイリス)である。
いろいろあってRMCの所有するビルの頂上から飛び降りるアクティビティをやることになる。豪華客船メルセデス号までひとっとびしようというわけだ。どうやってそんな長距離を飛べるのかはわからない。ラムネーションの世界ならできるのだ。そういうものだと考えておこう。
二人でメルセデス号の甲板に降り立つ。デート中、らむねの声は完全にふにゃふにゃである。陽菜たちとくだらないやりとりをしているときの声色とはまったく異なる。らむねルートをやっていると「あれ?これって恋愛ゲームだっけ?」という錯覚に陥る。いや、R18シーンはあるのだから実際に恋愛ゲームではあるのだが、このルートに限って言えばラムネーションというゲームの方向性がぶれているようにも感じる。恋愛ゲームを遊んでおきながら恋愛要素がジャマだといっていることになるのだが、本当にそう感じてしまうのだ。
話はそれるが、エロゲをエロ目的でプレイする人はどのくらいいるのだろうか。一昔前までは、家庭用ゲーム機に移植されない限りはノベルゲームはR18版をプレイするしかなかった。たとえばKeyのAIRの初期版などは申し訳程度のR18要素しかなく、かえってストーリーを楽しむうえではジャマでしかなかった。現在はエロゲのバリエーションも豊富になっているのだろう。私の好きなノベルゲームに(今はなくなってしまった)LoseのまいてつLast Run!!があるが、これはシナリオを読む限りはR18要素が一切登場しないエロゲである。R18要素はあとから回想として視聴できる。まいてつのストーリーが恋愛主体ではないことから、個人的にはこのプレイフィールはとてもよかった。他のゲームも設定でR18シーンをスキップできるようになるとありがたい。
陽菜たちのはからいでメルセデス号の上で花火を見て、ともに家に帰る。何度も言うようだが、このゲームでこんな恋愛ゲーム的な描写はいらないのですわ。ええ。
希望島B級グルメコンテストに向けて
翌朝、碧海ラムネ工場をメルセデスが訪れる。先日の屋外ディスコでたすけられたお礼を言いにきたんだとか。お礼ついでに金色に輝くあるものをらむねに渡す。先にアイリス/レイラルートをやっているからそれが何か察する人もいるだろうが、そう、それは希望島B級グルメコンテストの参加券であった。まさに寝耳に水。らむねたちは急ピッチで新商品の開発を進める。
新商品の開発過程は当然のごとくむちゃくちゃである。ラムネ瓶に過剰な圧力をかけて爆発したり、屋外で謎の実験をしたり、ゲームをプレイしている側からすると何をやっているのかほとんどわからないような説明が続く。でもラムネーションだからそれでいいのだ。ここにきて真面目に過程を説明されたらかえってゲームのコンセプトが崩壊するだろう。かくしてfig. 80のように新商品が誕生した。
コンテスト当日
アイリス/レイラルートとは異なり、らむねルートではコンテスト当日の様子が描写される。といってもみなが水着になってハンバーガーやラムネを売っているだけなので、スクリーンショットで説明するまでもない。優秀賞の二組に優勝候補が名前を連ねたのち、なんとらむねたちはコンテストで優勝する。知ってたよ。
RMCのCEOであるマクスウェル(=メルセデス)から優勝賞品が授与される。マクスウェルは世界最高の魔法使いといわれており、なんでもひとつ願いをかなえてくれるという。らむねは、みなにラムネを1本ずつ配るようにお願いする。マクスウェルはその願いのスケールの小ささに驚くが、半ばやけになって魔法でラムネを配布する。もちろんみんなで「ラムネーション!」だ。
例によってスカイダイビングのシーンに戻ったあと、ソラリスからその後の話を聞く。ゲームの時系列として
らむねルート→スカイダイビング(ゲーム開始時点)→ソラリスから昔話(らむねルートやアイリス/レイラルート)を聞く
という流れであったことを思い出そう。これでらむねルートは完結である。
次回からいよいよ陽菜ルートに進む。これまでの2ルートはほとんど中身のないゲームだったが、陽菜ルートも同様なのか、はたまたゲームの世界に奥行きが見えてくるのか。