わたなべたくま

俳優として活動後カメラマンに転身。noteでは写真に関することやエッセイ、短編の小説などを綴っていきます。

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一生撮り続けたいという願望があるよ

ひとりの人のことを一生撮り続けたいという願望がずっとある。 写真を初めてどれくらい経つだろうか。 おそらく13年くらい経つような気がする。 最初は映画が撮りたくて、当時動画も撮れるようになり始めた時期のミラーレス一眼を買ったのがはじまり。 そこから別に映画を撮るわけでもなく、たまに触ったりするくらいで「そういえば写真も撮れるんじゃん!」と至極当たり前のことを思い、写真も撮るようになった気がする。 12年くらい前、映画の撮影で静岡に泊まり込みで1週間程過ごすことになった

    • ゆるやかな依存(短編小説)

      ずっとそうなりたかった。 誰かを好きになることが自分にとって必要だとずっと思ってた。それが例え仕事でも女性を前にすると変に意識してしまうし、意識しすぎてなんだこいつと思われてしまうんじゃないかといつも恐れていた。 女性に対して免疫がまったくないわけじゃないんです。 姉がいる家庭だったし、母とも仲が良く、幼少期から頻繁に3人で出かけたり旅行したりして女の子みたいなマインドで育ったし、大人になってからもそれなりに女友達は多い方だったと思います。 それでもなんか最近特にダメだ

      • 傘もささずに(短編小説)

        雨が降っている夜です。 こんなに雨音を感じているのはいつぶりだろうかと思いながらただぼんやりとあの人と過ごしたいくつかの日のことを考えています。 最近折りたたみ傘を買おうと思って新宿うろうろしたけれど、結局あんまり売っていなくてハンズに行きました。 当たり前に5000円くらいしたのでえっ、傘ってこんなに高いんだっけ?とひよって買えなかったというか、緊急で必要な時に買えばいいだろうと高をくくって積極的に買わなかった。 緊急の時にハンズが近くにあるかも分からないのにね。

        • 宛のない(短編小説)

          返す宛のなくなった漫画を読んでいる。 1巻と2巻だけ、ひたすら繰り返し読んでいる。もうほとんど全部の台詞を諳んじられるし、頭の中に絵も浮かぶ。 あなたのなにかを預かりたくて、読みたいとそそのかして無理やり借りた漫画だから、次会った時にちゃんと感想を言えるように何度も何度も読んでいるのにどうやら続きは読めそうにない。 しばらく連絡も取れていないし、SNSの更新も、ストーリーの閲覧も、今まであったかすかな手がかりがなにからなにまで途絶えてしまった。 Twitterのいいね

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        一生撮り続けたいという願望があるよ

          感嘆詞(短編小説)

          「えー!めっちゃ楽しみにしてます!」 後輩からのLINEに素直にときめいてしまった。 女の子の使う感嘆詞ってなんでこんなにかわいいんだろう。 直接面と向かっている時に使うのならまあわかる。 でも文面で、えー!とか、わーい!とかやったー!とかはかわいすぎてどうにかなってしまいそう…といつも思う。 一旦そういう感情が表出したとして、一息置いたあとにわざわざ再び打ち込んでいるということでしょ? どう考えてもかわいすぎるだろ。 それが作為的なのかそうでないかはこちらには判

          感嘆詞(短編小説)

          溝口さん(短編小説)

          3人以上の飲み会があんまり好きじゃない。 自分が話したいと思っていたことをほとんど話せずに終わることが多いから。 あの人と久しぶりに飲みに行けることになった日、わくわくたのしみにしていたらLINEが来た。 「前話してた溝口さん覚えてる? さっきたまたま会って、このあと飲みに行くって言ったら溝口さんも行きたいってなったんだけどいいかな?」 この人はこうなったら断らないって知ってるからズルい。これで3回目である。 いいよ、溝口とか誰だよ、知らないし。 わたしはただあなたと話

          溝口さん(短編小説)

          まいばすけっとにも思い出はあると思う(短編小説)

          これおいしそう。 電車でお酒の中吊り広告を見て君がつぶやいた。 一目見てほろよいが1番おいしいと宣う君にぴったりのコンセプトとヴィジュアルの広告だなと思ったので あぁ、たしかにそうかも。と返事をしたら なにそれ?どういうリアクション?と笑いながら軽く怒られた。 まいばすで買って帰ろー まいばすに売ってるかな? なんて言いながら電車を降りる。 東京のまいばすけっとの店舗数は800店舗を越えたらしい。 帰り道、ふたりでよく使っていたまいばすけっとがいつの間にかなく

          まいばすけっとにも思い出はあると思う(短編小説)

          三度目の希死念慮(短編小説)

          最近また死にたいと思うようになった。 バイトのサイクルがつらすぎてどうしてもいかなければならない朝に自宅のトイレに腰掛けながら「帰りたい」とつぶやいたこと。 コロナ禍を過ぎて実家に戻って少し経ち、孤独から開放されたと思いきや、全然まだまだ死にたかったとシャワーを浴びて気づいたこと。 あの人と死にたい夜があるねと語り合った夜に自分の死にたさはまだまだぬるいと確認しあったはずなのに、今では毎日死にたいと思っています。 自分が思う死にたさとは「まだまだこんなもんじゃないよね

          三度目の希死念慮(短編小説)

          あなたに撮られてみたいと思った(短編小説)

          その人に初めて会った時わたしは「この人に撮られてみたい」そう思いました。 別にその人がカメラをやっている人だとかそういうわけでは全然ないし、わたしも撮られるのはどちらかというと苦手です。 ただその人の目を経由してカメラに写った自分を見てみたかっただけなんです。 そんな風に思ったのはあとにも先にもその人だけでした。 でも、だからといって初対面の人にいきなり写真撮ってくださいなんて言えないし、なんて伝えればいいかもわからないし、その日は撮ってもらうことはなくまた会えたらい

          あなたに撮られてみたいと思った(短編小説)

          早くもっとマシになりたい

          別につまらない人生なのにまた自分の人生でもいいなと思うんです。 この人生が終わって、「あなたにはまた同じ人生を歩んでもらいます」と言われてもうーん、まあつまんないけど別にいいか。と今なら思う気がする。 でもじゃあ自分の人生に満足しているかといったら全然そんなことはなくて、早くもっとマシになりたいといつも思ってる。 ぶくぶくと歳だけとって生きながらえて、年齢の割に特筆すべき成果をあげられているわけでもないし、 作り手としての自分はあまりにも平凡すぎて毎日悔しくて心の底で

          早くもっとマシになりたい

          おいしい醤油を探す旅に出たい

          醤油に対して無頓着に過ごしすぎてきた気がする。 8月に3週間ほど長崎に行っていました。 期間の中で食べたものの中で1番感動した食べ物が五島うどんでした。 五島列島で生産されているうどんのようで長崎のスーパーに普通に売っているものなのですが、うどんの細さがちょうどいい具合に細く、素麺のように食べやすいけれども素麺よりはるかに食べ応えのあるうどんでとても気に入りました。 どこかで読んだ説明書きによるとスパゲッティのソースをかけてもほどよく絡んでおいしいとのことでそれも良さ

          おいしい醤油を探す旅に出たい

          つまんない人間(短編小説)

          「つまんない人間と一緒にいると自分もつまんない人間になっちゃうよ?」 君はこっちを見もせずにそんなことを言った。 面白いとかつまんないとかこっちが勝手にジャッジするのは酷く傲慢な行いに思えるけれども、まあ自分の人生だから自分で判断したって別になんの問題もないんじゃない? 誰かが自分の人生に責任とってくれるわけでもないしね。 みたいなことも言ってた気がする。 もう5年も前の事だからあんまり覚えてない。 そっから数回会ったけどいつの間にかもう会わなくなっちゃったな。元気

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          オーディションに応募する時に考えてみたこと

          久しぶりに俳優として応募したいオーディションを発見したので応募してみました。 俳優としての活動を休止してから実に7年ほどの月日が経ち、その間で自主映画の監督やオーディション開催、宣材写真カメラマンとしての活動をしてきました。 そこで得た知識や感覚をプロフィールを作り直して応募するまでの一連の中でどのように生かすべきか考えたことを、せっかくなのでここに記しておこうと思います。 (と言っても7年間でオーディションに応募したことが全くなかったわけではないので2年半くらいぶりの

          ¥100

          オーディションに応募する時に考えてみたこと

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          ぬいぐるみのキーチェーン

          新宿ですれ違ったキティちゃんの小さいぬいぐるみキーチェーンをつけて仏頂面で歩く人も家ではそれ見てかわいいーとか言ってんのかな?かわいいな 昔からなぜか新宿でだけ起こる現象なんだけど、向こうから歩いてくる人を見て「あの人背デカイな!!」って思ってすれ違うタイミングになると、 その人は別にそこまでデカくなくて、自分の背と同じくらいどころか、むしろ自分の方がデカくて「はい?」となることがある。 東京駅とか渋谷とかではならないのに新宿駅の地下道を歩いている時によくなる。(なんで

          ぬいぐるみのキーチェーン

          心のなみかぜ

          できることなら心になみかぜが立たないように生きていきたいと思い始めたのはいつ頃からだろうか? いつからかなぜかそう思うようになっていた。 湘南に住み始めたのはきっと、心の中になみかぜを立てる東京から少し離れて、海沿いの波風を実際に肌で感じた方が自分の人生にとって健全だと思うようになっていたからなんだと今にして思う。 実際にあのタイミングで住んでみてよかったとも思う。 でもどんなになみかぜを立てたくないと、特に浮き沈みもない退屈な生き方をしていると、前触れもなく急にやっ

          変な夢

          変な夢を見た。 目覚めて二度寝しようと思ったものの一応メモしようと思って書いたメモが以下のものである。 7月12日に見た夢から目覚めて思っていたこと。 お笑い芸人が閉じこめられる夢。 その夢の中では賞レース決勝で最初の3組しかネタをフルで出来なくて、そのあとの組はネタの途中で劇場内で殺戮が起こったりしてネタが中断させられてしまう。 その大会が終わって全員生き返った後に、おぎやはぎの小木さんが 「俺ネタとかあんま全部見てもしょーがねーと思ってるからこのシステム好きな