【映画/感想】『パレード』#5
お疲れ様です。
見ていただきありがとうございます。
最近まったく書いてなかったですがFilmarksにまとまりきらなかった作品があるので久々に書いてみようと思います。
駄文ですが最後までお付き合いいただければ幸いです。
藤井道人×NetFlixというタッグの作品です。
本作の感想は製作過程を知る前と後で大きく変わってしまいました。
出来れば鑑賞した人にはマイケルという人物がどれほど大事だったのかを理解して欲しいなと思い書いております。正直自分も長いなと感じながら鑑賞していたのですが、その長さすら監督にとっては短すぎたのではないかと今は感じております。
以下ネタバレを含みます。
鑑賞前に見たくない方はお気を付けください。
【それぞれの未練】
本作は生前の世界に未練があり、あの世に行けない人々の群像劇となっており、それぞれの「未練」と「けじめ」について描かれます。
中でも印象的だった3人のパートについて記しておきます。
そして3人目の人物こそが映画の感想をガラッと変えた人物です。
【①勝利】
まずは横浜流星さん演じる勝利の未練についてです。
ヤクザである勝利は所属していた組と恋人への未練があり、それに対して気持ちの整理を付けていきます。
まず、彼は死後も組長の誕生日に事務所に出向くなど義理堅い人間であることがわかります。だからこそ彼から組を離れるような事はしなかったと思います。しかし、七回忌のタイミングで組の人間が墓前に来てくれた際に組を閉じる事を告げられます。これにより彼の中で前に進むけじめが付いたように映りました。
もう一つの「未練」である恋人に思いを馳せるパートについても、自分主体でなく「彼女が幸せになってくれるなら」という事がわかったから、けじめを付ける決心がついたように映りました。
今時では珍しいくらい漢な彼から「未練」が無くなった時の清々しい表情や、それに感づいた周りの人々のかける言葉なども前向きでとても好きでした。
【②ナナ】
ナナは途中から参加する事になる女子高生ですが、彼女だけ最後に現世に戻り映画が終わります。
本作は「未練」がある人がとある場所に集まるのですが、彼女だけは恐らく来るべき人人間ではないはずです。というのも、「せいせいした」という発言から彼女だけ死にたくて死んで、あの場所に来ています。
作中で彼女が暴飲暴食して味がしないと叫ぶシーンがあるのですが、あれは彼女にだけ起こっている現象です。勝利が強めのお酒をくれと言うシーンや、美奈子の手記にある、味は感じるとメモしている事からもナナだけ特殊だったことがわかります。
もし彼女に未練があるとするならば、それは恐らく「まだ生きたい」という事だと思います。
来るべくして来た人間じゃないからこそ勝利は「生きろ」と言うメッセージを送り、周りのメンバーも現世に戻れる事を理解した上で彼女に生きる上で大切な事を説いていたんじゃないかと思います。
【③マイケル】
マイケルパートについて記述するまえに。
まず本作のキーパーソンは河村光庸さんという方です。
藤井監督とずっとタッグを組んできたプロデューサーであり、本作製作中にお亡くなりになられたそうです。そのため、河村さんの遺志を残す意義が本作には込められていると感じました。
作中のリリーフランキーはまさしく河村さんを描いています。
学生運動をしていた事や、星の砂を売る事業をしていたのも実話みたいです。そんな彼が志し半ばで死んでしまった。彼に映画を最後まで撮らせてあげたい思いが本作には込められているのではないでしょうか。元々こういったストーリーだったのかもしれませんが、恐らく藤井監督なりの恩返しの意味合いが大きいのだと思います。
【最後に】
本作で一番「未練」を残していたのは実は監督なのかもしれません。
だからこそ本作を通してけじめを付けたのかもなと思っています。マイケルに捧げる事が出来た時点で本作には意義があるのだと思います。
二度目の鑑賞で新たな発見がある類の映画だと思うのでまた観たいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ゆるーく更新していきますので今後ともよろしくお願いいたします。
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