数字の意味を考える
物語のなかに具体的な数字を織り込む際、重要なのは数字そのものではなく、その数字が示す事実なのではないか、という話です。
本題
たとえば、以下のような文章があったとします。
その高校は1年生が30人、2年生が30人、3年生が40人ほど在籍していた。
主人公Aは1年生で、各学年を含めても唯一、ある中間テストにおいてすべての科目で満点を取っていた。
この例文の悪いところは、数字そのものにあまり重要性がないことです。
この文章には以下のように書き換えられます。
主人公Aは高校1年生だ。
100人以上が在籍しているこの学校のなかで、彼は唯一、ある中間テストにおいてすべての科目で満点を取っていた。
結局、これらの文章の意図としては同じです。
「たくさんの人数のなかからたった1人」という部分を強調したいだけであって別に1年生が100人いようが、読み手に伝えたいことは同じです。
具体的な数字を出すことはある種の説得力を持たせる上で重要なんですが、本質は数字そのものにないことがほとんどです。
したがって、無駄のない文章を書くという意味では、具体的すぎる数字を出すことは避けたほうが無難なのかもしれません。
その数字を出すことで、何を強調したいのか。
そして、その強調したいことを書くために、よりスマートに表すことはできないか。
そういう部分に考えを巡らせる必要があると、僕は考えています。
それに、シンプルな話、細かい数字を読者に読ませるのは不親切ということでもあります。
なるべくなら読者の負担が減ることに越したことはありません。
そういう意味でも、数字を出す際は、なるべく最小限で意図が伝わるように意識するのが大事だと思っています。
まとめ
具体的な数字を出すだけでは煩雑になるだけ。
重要なのは数字ではなく、数字によって示したい事実である。
そういうお話でした。
綾部卓悦の情報
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