見出し画像

生徒が学校に戻ってきてよかったね,でいいのだろうか?

オンライン授業が終わる

3学期の始業式からオンライン授業が続いている。高校入試が終わって来週末から生徒が登校しての授業が始まる予定。東京都の感染確認者数も数字をそのまま信じるとすれば下がってきている(それでも数ヶ月前なら信じられない数字だけど)。たぶん対面授業が再来週には本格的にスタートする。

他校では

他校では2学期をほとんど対面授業で乗り切ってきた実績(?)があるからか,時差登校や短縮授業を取り入れながらではあるものの,対面での授業を続けているところが多い。そこらじゅうの学校でクラスタ発生ということもないようだし,マスクを着用するとか手指の消毒をマメに行うとか,新しい生活にも慣れてきたので,対面での授業を続けても大丈夫なのかもしれない。

やっぱみんな嬉しいよね

不安はありつつも,職員室はやはり生徒が戻ってくる嬉しさによる静かな高揚感みたいなものがある。教員で生徒に会うのが嫌いって人はいないだろうし,オンラインより対面の授業の方が楽しいのはわかる。自分だってカメラに向かって語りかけるよりも目の前に生徒がいて反応見ながら進める方がはるかに良い。いつものラーニング・コモンズに集まって授業をやるのは楽しみ。

生徒が学校に戻ってくる。よかったね。それは素晴らしいことだ。

画像1

オンラインやらなくていい

生徒と授業ができるという嬉しさと共に教員間で感じるのは「あの」忌まわしきオンライン授業から解き放たれるのだという喜びだ。確かに大変だったと思う。自分はいい加減なので,多少噛もうがいい淀もうが動画の撮り直しなんてしない。普段の授業で言い淀んだくらいで「あ,今の説明やり直し」なんてするだろうか。しかも最初から撮り直しだなんて。。。オンライン授業が大変だったという人の話を聞いてみると「1回の授業の準備に夜中までかかった」とか「動画の撮影に数時間かかった」とかあってビックリする。そりゃそうだ。そんなにかかるなら自分だってもうやりたくない。

なんのためのオンライン

オンライン授業は対面授業を100%再現できるものではない。当たり前だ。特に今回のように急遽始めたオンライン授業はあくまでも「学びを止めない」ためのものだったはず。もちろん,どうせやるなら出来るだけ対面の授業のクオリティまでオンライン授業を高めたいとは思う。でもそれで「もうやりたくねーなー」と思いながらやってる授業って,生徒にとっていい授業なんだろうか? 生徒が期待しているものって,噛まないことに必死で辛そうな授業ではなくて,それこそ対面で行っていた時のような生き生きとした先生の授業なんじゃなかろうか。

言葉は悪いが,オンラインを勝手に嫌いになって,勝手につまらなくして,勝手に「解放された」なんて喜ばないでほしい。

もうオンライン授業はやらなくていい

もう金輪際オンライン授業をやらなくていいならどうぞと思う。来年の今頃,「あれは一体なんだったんだろうねえ」と笑って,コロナ以前の学校生活を送っているかもしれない。そうだったらこんな文も笑い飛ばしてもらいたい。

でもそんなことってあるのだろうか。去年の夏頃に今年の年明けのような状況を予想していただろうか? またオンライン授業をやるかもしれないと準備していなかった先生は正直3学期になってガッカリしたのでは。これからどうなるかなんてわからない。いつだってオンライン授業になっても大丈夫なように備えておかないといけないのがこれからの教員の生活だ。

画像2

学校は進化しましたか?

オンライン授業をやらなくてはいけない事態になったのは残念なことだ。でも仕方のないこと。学校や授業や学びについて見つめ直し,考えてみる良いきっかけにはなったと思う。オンライン授業をやってみて,授業の作り方を考え直すことにもなったし,動画をYouTubeにあげて視聴状況を見ることで自分の説明の仕方を反省する良い機会でもあった。学校で学ぶってことそのものを考える時間も多かった。

生意気なことを言えば,自分や自分の授業はこの1年で進化したなと思う。実際にそれに合わせて作ったものや作り直したものもある。対面の授業はもちろんオンラインの授業がまた始まっても対応できるように進化させた。

ただひたすら対面と続けたり,オンライン授業に耐えたりしていた先生や学校は進化したのだろうか? オンライン授業を行いながら,これはチャンスなのだと考えて進化を続けた先生や学校が確実にある。

生徒が戻ってきてよかったね,いいのかな

生徒が戻ってきてよかったね,ではないと思う。周りに進化した先生や学校はある。そして何より新しい学びを体験してしまった生徒や保護者がいる。環境は元に戻ったのではなくて変化してしまったのだ。そこを意識できるのか,できないのか,実は数年後に大きな違いとなって現れるのだろう。

いいなと思ったら応援しよう!

takshinada
もしサポートいただければ,STEAM教育開発のために大切に使わせていただきます!