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現代に「新卒みたいな中途採用」が”大量”発生するカラクリについて、考えてみた

最近、「中途採用」で入社してくる若者って、どうですか?新卒と比べて。

わたしが持ってる中途入社のイメージとしては、
「新卒と違い、ある程度は社会人センスがあって、多少は苦労も経験済み」
って感じなんだけど。

それなりに社会人経験あるはずなのに、なんや、この新卒と大差ない初々しさは・・・?
って感じることが、なんか最近多い。
なんでこんなことになっとるのか…?
そこで、

現代に「新卒みたいな中途採用」が”大量”発生するカラクリ

を、ワタシなりに、ちょっと考えてみた。
あくまで私の考えであって、実際の理由はケースバイケースなので
「へーそんなふうに考える人もいるんだ」くらいに
受け止めてもらえたら有難い。


まず[ベース]として:少子化のせいで、「若い」というだけで、誰でも容易に転職が出来る世の中になった

今は、玉石混交、沢山の若者が会社間を移動している。
それ自体は喜ぶべきことだけど、
分母が増えると、”玉”も増えるが、”石”も増える。
「みんなやってるから自分も転職できるだろう」と
自らの市場価値はさておき、躊躇や覚悟がなく、
安易に転職市場に出ている人間も多い。
そして実際、”玉”だろうが”石”だろうが、会社を選り好みさえしなければ
「若い」という希少性だけで、転職は叶う。

尚、転職市場には20代だけでなく30代40代もいるが、
この年代になると、採用する側も管理職クラスでの募集が主となり、同時にある程度の給料も保証しなければならないため、
彼らが「中途採用者」として会社に現れる確率は、20台に比べて圧倒的に少ない。

まずこれが、ベースとなる今の世の状況。
そこに、以下ふたつの要因が絡んで、
「新卒みたいな中途採用」の人々に、大量に遭遇する状況を生んでいる。

①「新卒と中途が大差ない」要因:新卒教育係となる中堅社員は、新卒に深入りしたがらない

今、多くの日本の中堅社員は、
新卒社員に対して、腫れ物に触るような教育しかできない。
いや、「したくない」が正しい。

本来ならば、多少の痛みを伴っても、”摘芯”してあげるのが教育であると、分かってはいる。
ーーーーーーーーーーーーーー
てき‐しん【摘心/摘芯】[名]果樹などの頂芽を摘みとること。
例:「―して果実の生育を良くする」
ーーーーーーーーーーーーーー
しかし、良かれと思って今の新卒達を摘芯すると、
自分が新卒だった頃よりも大量出血して、大騒ぎになるので
中堅社員としてはビビっちゃうのだ。
現代で教育係になる中堅社員は、パワハラ全盛期の被害者であることが多く、自分が受けた痛みを与えてはいけない、パワハラ呼ばわりされる人間になりたくない、という気持ちも重なってくる。
(もちろん、彼らの教育はパワハラなどではないのに、だ)

だから中堅社員が教育するのは、「マジでアウトだから指摘せざるを得ない」という事が明白なポイントだけだ。
「指摘しないと、本人や会社が後々困ることになる」というポイントは
すべて笑顔でスルーする。
今この時点で支障がないなら、迷わず自分へのリスク回避を選ぶのだ。
こうして、社会人年数を重ねても、年数分の育成がされてないが故に
新卒と大差ない、やたら”初々しい”社会人が育つ。
なんなら、下手に年数だけ重ねてたり、中途半端な教育のせいで、変な風に成長しちゃってるのもいる。

②新卒と大差ない中途が「多い」と感じる要因:社会全体として賃上げが進まない一方、大多数の企業は、とにかく若者の確保に必死

今は、給料をバンと出せる企業は少数で、大多数の企業はそうではない。
前者の少数企業では、社員がシゴデキなら、良い給料で流出防止する。
後者の多数企業は、たとえ社員がシゴデキでも、見合う給料が与えられず
前述のベース環境により、彼らは、いともたやすく流出する。

シゴデキ中途入社は、明らかに新卒とは異なり、基本能力として、中途なりの社会人的センスを兼ね備えている。
前者の企業は、人材確保やマネジメントにも相応に投資できるので、その辺の見極めはガチだ。
結果、シゴデキ中途採用者は、それら少数企業に吸い上げられていき、
転職市場においては”レアキャラ”となる。

後者の多数企業は、新卒を一から育てる余裕も無いから
人員補填で中途が欲しいが、シゴデキが給料の安い会社に転がり込む、ということは、現代では起こりづらい。
結果、「とりあえず若くてウチの給料でやってくれるなら、ある程度は目をつぶる」というところまで採用基準を下げざるを得なくなり、若者側としては、企業を選り好みさえしなければ、誰でも中途採用者となれる。
たとえ、中途なりの社会人的センスがなくても、だ。

ベース×(①×②)の結果:自主都合の転職者の中に、「”本人が気づかず”会社の方から三下り半を突きつけられた結果、自ら会社を去る結果になった」人々が含まれている

これが今回の結論だ。
リストラを除く自主都合の転職者達は、「会社に三下り半を突きつけた」
わけなのだが、その中には、「実は会社の方から三下り半を突きつけられた結果、自ら会社を去る結果になった」人々が含まれている。
この後者の中に、
「なんか言うとどうなる分かんないから、ほっとこう」
と、中堅社員から教育を放棄されてしまった”初々しい社会人”が、
往々にして含まれているのだ。

肝要な部分を教育されてないことによって、ボディブローのように、
業務や成績に実害が露呈してくる。
が、教育されてないので当然、何が悪いのか、本人はわからない。
実害がある以上、会社としても昇給させられず、
だからといって相変わらず、誰も教育したがらないので、
結果、会社は「放置」という名の三下り半を突きつけることになる。
放置といっても、無視ではパワハラ認定されるリスクがあるため、
むしろみんなニコニコと優しく接するので、本人は、自らが三下り半を突きつけられていることなど知る由もない。
一方で本人には、なぜか仕事が上手くいかないフラストレーションがたまり始め、いつしか「この仕事/会社は自分には向いてないのかもな~」と、自らの足で転職市場へ出ていく。
そして、「若い」というだけの理由で、「見た目は中途、中身は新人」でも
どこかしらの会社には選んでもらえるのだ。

以上が、わたしの思う
現代に「新卒みたいな中途入社」が”大量”発生するカラクリだ。

なんか、とても悲劇を書いてしまったな・・・
一応明記しておくと、
「新卒みたいな中途採用」の人々が悪いわけでは、断じてない。
まともに教育をしてもらってないのに、
社会人的センスを備えることのできる人間など、まずいない。
そして、
「若い」というたった一つの理由だけで、実力を問わず
いとも簡単に転職できてしまう世の中も、
そして、新人への教育にブレーキをかける中堅社員も、
ヒューマンリソースに投資できない多くの企業も、仕方ない。
この事態に、悪者はひとりもいない。

すべては、過去数十年の日本経済の、結果論なのだ。

「新卒みたいな中途採用」の人々も、ある意味、その被害者なのだ。

じゃあどうすんだ


もし、怖いから教育などいらない、シゴデキにならなくていい、
ゆるっと最低限生きていけるだけの稼ぎがあればそれでいい、
という若者が多いのなら。
それは、もう日本経済終焉の合図なので、どうしようもない。

でももし、これから転職しようとする上で、もしくは一社会人として、
正しく成長したいと願う若者が多いのなら。
ぜひ、「自分は多少の痛みを伴っても学びたいのだ」と、
自主的に周囲に表明した方がいいと思う。

(もちろん、本当のパワハラの線引きができる環境は必須だ)
それに、そういう向上心のある人ほど、
「自分は気を遣われて、まともに教育してもらえてないかな…?」と、
薄っすら不安を持ってたりするんじゃなかろうか。

若者側にしてみたら、
「なんでそんなことワザワザこっちから言わなあかんねん」と思うだろうが。
でも、そうしないといけないくらい、今の中堅社員は用心深い。
失われた30年が、彼らを痛めつけ過ぎたからだ。
彼らは、自分を守るだけで手一杯で、残念ながら、若者の未来は二の次だ。
(たとえ、彼ら自身のKPIに新人育成が含まれていたとて。
新人に深入りせず、かつKPIを達成したように見せかけることなど
厳しい時代を生き抜いてきた人間にとっては容易いことだ)
そこのバリアを崩して、本当の意味で自分の成長の手助けをしてもらうには
若者側から、「自分はこうなりたいんだ」と、あえて口に出すしかない。

でも、その結果、サバイバル能力最強の先輩たちを味方につけられたら
立ち込めた霧が一気に晴れるように、
びっくりするくらいスルスルと、仕事が上手く回り始めるはずだ。

そんな若者が多いなら、
日本経済は、まだ、生き永らえる道があるかもしれないな。
これを読んでくれた未来ある若者が、たった一人でも、
大きくたくましく育ち、立派な果実を実らせることが出来ることを願って、
今日は筆をおこうと思う。



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