教員免許更新制度の終わりと始まり
今日の中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会教員免許更新制小委員会(第5回)での議論を受けて、文科相もついに表明しました。
前回は
教員免許更新制度の発展的解消の意味
殆どの報道記事で廃止と云う記事が躍っていますが、文科相の発言を聞くと、発展的解消に必要な処置を取るとの事までに留まっていて、すんなり廃止と言い切っていない所がポイントです。
審議まとめ(案)を読んでみましたが、今の定型的な更新制度は否定していますが、それは、新たな教員の研修の制度の在り方を妨げるものとしての否定であり、更新される教員の存在という考え方自体は否定されていません。
更新制度がなくなるのは良いけれど・・・
更新制度がなくなる事自体は、教員の自律性を高めるのであれば、好ましい事だとは思います。ただ、教員個々の研修を管理する事で、場合によってはペナルティを課す可能性までに言及しているのは、管理しすぎではないでしょうか?
更新制度の廃止と引き換えの、教員の研修管理の強化であれば、果たして本当の改善になるのか疑問が残ります。そもそも、個々の教員にあまりに多くの事を求めすぎているのではないかと思います。審議まとめ(案)でも、高尚な理念が求められていますが、そんな高尚な人材であれば、他の分野に行ってしまうのではないかと考えてしまいます。
別の意味での更新制度の導入
免許が期限無しになっても、免許所持者にとって、研修歴という新たな更新制度が足かせとなってしまう事になりそうです。広義の研修の考え方も取られる記述もありますが、思い切って他の学歴、職歴などを研修歴と捉えて、免許所持者の教職への参入障壁を低くするなどの方法も考えないと、新たな更新制度を形成するだけになるのではないかと危惧します。ひょっとすると更新制度以上に管理された、別の意味で委縮した教員集団を形成する可能性もあります。
今回の法改正は、単純な廃止ではなく、あくまで更新制度の発展的解消です。新たに生まれるであろう更新制度に代わる新たな制度の方向性が、審議まとめ(案)からどの様に条文化されていくのかについて、今後注目していきたいと思います。