「ベットの下に猫居ます」
『た子の足跡日記』ー有料老人ホームにてー
とってもおちゃめなおじいちゃんがいた。
『とんがりコーン』というお菓子が大好きでよく食べていた。
【明太マヨ】【バター醤油】など、色々な味があることを教えてくれた。
『とんがりコーン』を食べるとき、わざわざ人差し指にはめていた。
昔そんなCMを見たような気がする。
ある時『とんがりコーン』がベットの下に4,5個転がっていた。
最初は落としたのかと思い(あら、勿体ない)と、拾って捨てた。
次の日も同じようように落ちていたので(食べ方が悪くなったのかな)と思い拾って捨てた。
さすがに3日目になると(わざわざ捨てているのだ)と気が付き、不思議に思い「どうしてベットの下に捨てるのか」聞いてみた。
「猫が居るんだわ」
猫?
そうか、落としたんでもすてたんでもなく、猫に餌をあげていたんだ。
(ああこれはよくある幻視だな)と、思った私は
「そうですか?猫が居るんですね~」
と、適当に話を合わせていた。
1週間ほど猫は出現しなかった。
ある日自分のご飯を少し残してベットの下に置くようになった。
「猫が3匹居て、一匹は足が悪いんだ!」
と、言われる。
リアルだな~
『とんがりコーン』を食べた猫ちゃんが子供を連れて戻ってきた。
しかも一匹は足を引きずるように歩いている。子猫は『とんがりコーン』が食べられないと思ったのか、自分のお粥をあげる・・・
お粥の茶碗を引き上げるとき
「今日も猫ちゃん来てますか?」と、聞いてみる。
「来てるよ」
と、嬉しそうにベットの下を覗く姿は本当に可愛らしい。
今、おじいちゃんは猫と一緒に天国にいる。
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