🎶東京のガスガール
『た子の足跡日記』ー有料老人ホームにてー
介護業界に入って昔の歌をいくつか覚えた。
カラオケはレクリエーションの定番だからね。
ランコさんはとっても陽気なおばあちゃんだ。
シルバーカーを押している。
片足が悪いからシルバーカーを押して一歩前に出ては、もう一方の足を引きずるように前に進む。
歌が大好きでいつも楽しそうに歌を歌っている。
その歌い方には特徴がある。
強弱があって、へんなところで突然ボリュームアップする。
例えば『リンゴの唄』
”♪リンゴは何にも いわないけれど、リンゴ~の気持ちはよくわかる
リンゴ可愛いや 可愛やリンゴ~♪”
例えば『りんごのひとりごと』
”♪私は真赤なりんごです お国は寒い北の国 リンゴ畑の 晴れた日に
箱に詰められ汽車ぽっぽ~ 町の市場へ着きました
りんご りんご りんご りんご可愛いひとりごと♪”
ってな具合で太字の所だけ、えらい大声になる。
なのでカラオケは全然ダメだ。
伴奏無視、時には選曲したものとまるで違う歌を歌ってみたり、みんなで歌っていても一人だけ別の歌を歌い出したりする。
勝手気ままな歌姫なのである。
そんなランコさんの十八番は『東京のバスガール』。
”♪わたしは東京のバスガール『発車オーライ』
明るく 明るく 走るのよ~♪
この曲は最後の「走るのよ~」の「るのよ~」だけが大、大、大音量になる。
ちなみにカラオケでやると最初から最後のフレーズだけを大声で歌う。
そして、そして、ランコさんが偉いところは、この曲の替え歌を自分で作ってトイレに行く時のテーマソングにしているところだ。
”🎵わたしは東京のガスガ~ル『発車ブイ、ブイ』
明るく 明るく 走るのよ~🎵”
「ガスガール?」東京ガスの宣伝に使えそうだ。
「発車ブイブイ」も最高だ!
トイレに行くまで見守る職員も大抵一緒にこの歌を歌っている。
歌わずにはいられないと言うのが正解かも。
調子がとっても良いので歩きやすいからだ。
最初はちょっと恥ずかしかったが慣れてしまえば
「はい、はい、ガスガールさん。用意はいいですか?
歌いますよ。さんはい!」と、こちらから勧めている。
そしてトイレに座ってしばらくすると
「♪♪でた、でた、月が、まあるい、まあるい、まん丸い~♪♬」とか、
「♬でんでんむしむし カタツムリ~ つの出せ、やり出せ、頭出せ~♬」
などと歌が聞こえて来る。
本当に陽気で明るくて素敵なばあちゃんだわ。
さあ、今日も元気に行きましょう。
🎵わたしは東京のガスガ~ル~””
””明るく~明るく~生きる~の~よ~~🎵っと!!
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