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【Oasis『BE HERE NOW』は駄作なのか?】問題。
Oasisファンにはきっと大きなトピックスの
ひとつになっているコレ。
ノエル・ギャラガーは『最悪のアルバム』と言い
リアム・ギャラガーは『一番好きなアルバム』と
言ったりする。
僕自身の『BE HERE NOW』への向き合い方は
長年連れ添った恋人の、世間的には認められてない
けれど、実は1番素敵な部分、みたいな感じ。
今回はOasisファンなら一度は考えた事がある
もし『BE HERE NOW』が◯◯だったら…
というやつを今一度検証していこうと思います。
《目次》
⚫『曲が長い&重い』…?問題。
⚫『B面にいい曲入れ過ぎた』…?問題。
⚫『曲の鮮度が落ちた』…?問題。
⚫ミスチルの『BOLERO』みたいなアルバム
⚫結論:『これでいいのだ』。
🌟『曲が長い&重い』…?問題。
『BE HERE NOW』が「なんかダメ」「駄作」
あつかいされる時、真っ先に出てくるのがコレ。
アルバム全体で71分38秒もある。
インスト含めて12曲。そのうち5分越えの曲が9曲。
90年代でも長い。
令和の今の音楽の傾向を考えると
死ぬほど長いという事になります。
曲調やアレンジも前作、前々作と比較して
かなりヘヴィー。
では、もっと短く、ノイズが少なく、
軽めの仕上がりだったら良かったのか?
実はこのIF(もし)に本家Oasisが一部
答えてくれているマテリアルがあります。
2016年に発売された『BE HERE NOW』の
全曲リマスタリングVer。
YouTubeでも公式がアップしてくれてますので
よろしければどうぞ。↑
その中の企画で、
一曲目「D‘You Know What I Mean?」を
少し短くし、アレンジも当時のギターバリバリ
ノイジーを抑え
所々に美しく入っていたストリングスアレンジ
を表面にグッ!、と押し出したVer。
これをノエルは作ったのです↓
ちなみに、1997年当時の
「D‘You Know What I Mean?」はこちら↓
いつものママじゃない!😩(by ネネちゃん)
なんだろう…確かにスタイリッシュになった。
ストリングスも、追加された訳ではありません。
イヤホンして聴けば当時のモノにも入ってます。
僕はOasis解散前からファンをやってますので
ノイズごうごうの中で
『美しいフレーズ、沢山入ってんなぁ』みたいな
楽しみ方をしてました。
それをこれだけ押し出されると…
これはOasisか?…と僕はなりました。
正直、こういうアレンジだったらどうなんだろう
と長年妄想していた僕も居ました。
それを実際に本家がやってくれた時わかりました。
キミは変わらなくていい。そのままでいい。
ノエルは本当は全曲こんな風に
アレンジし直そうとした様ですが
お金が死ぬほどかかる事が判明して
あきらめたそうです。
🌟『B面にいい曲入れ過ぎた』…?問題。
ノエルはOasisがデビューして以来ずっと
憧れのビートルズ先輩の真似なのか
『その曲、アルバム曲でいいやろ!?』
みたいなモノを平気でシングルのB面に
バカスカ収録して来ました。
先輩のポール・ウェラーから
『あんまりやり過ぎるなよ』と忠告も
受けたそう。
ノエル・ギャラガーは本当にすごい策略家
なんです。インタビューではボカシたり
フザケたりして居ますが
彼は何一つフワッ、とノリで物事を
決めたりしません。
OasisがB面に入れた曲たち、…例えば
「Acquiesce」「Listen Up」「Rockin‘ Chair」
「Half the World Away」「Round Are Way」
「The Masterplan」「Stay Young」
みたいな曲を残しておいて
3rdに入れたりしていれば
Oasisの盛り上がりの期間ももっと伸びていた
のではないか?
という事なんですが。
僕はそうは思わないんです。
1994年〜1995年で名曲を大連発した事で
あれだけのOasis現象が起きたのだと思います。
遠慮していたらきっと1996年のネブワースは
無かったと思うんですよね。
選曲にしても、僕もアレコレ遊びで考えた事は
あります。
この曲の代わりにあの曲を入れたら?とか。
でも、根本的にはそんなに変わりませんね(笑)
まぁ、あえて。…あえてOasis大好きファンの
考えで言わせてもらうと
「Magic Pie」の代わりに「Going Nowhere」
でも良かったかな、とか。
それくらいですかね。でも、そんなに
変わらないですかね。
🌟『曲の鮮度が落ちた』…?問題。
これはかなりマニアックなお話かも
知れないのですが
ノエルは1994年のデビュー前に
3rd『BE HERE NOW』までの主要な曲は
ほぼ全部作っていた説。
↑ 例えば、このYouTube動画では
Oasisが
1994年9月14日に日本は東京の渋谷CLUB QUATTRO
でライブをした日のサウンドチェック
(ライヴ前の音出し)で
ノエル・ギャラガーが演奏した曲たちが
アップされています。
そのラインナップはというと
1.「Stand By Me」
2.「Don‘t Go Away」
3.「Going Nowhere」
4.「Bonehead‘s Bank Holiday」
5.「Hey Now!」
6.「Some Might Say」
となっています。
いやいや。ノエル兄貴よ、と。
1994年9月14日と言うと、
1994年の8月30日に1st『Definitely Maybe』が
出たばかりの時期。
恐らく異国の地、日本だからこそ
『ここだとあんまりバレねぇだろ。
よし、曲をライヴでチェックしたいから
やっちまうか』
みたいな感じだったのかも知れません。
『俺たちはこんだけの曲がまだまだあるんだぜ』
みたいな事を主張する為では
無い気がするんですよね。
あと、この動画が偽物かも知れないというか
上手いこと偽造したモノなんじゃないか?
という疑いがあると思いますが、僕はそれは
無いと思ってます。
メロディーや歌詞がまだ完全には固まってないし
声が若いというか1994年って感じですからね。
それにこの動画に限った話ではなく、
ちょくちょく3rdまでの曲のデモが
超古い段階で存在しているのを僕は
なんべんも聴いてきました。
(今は消されちゃってますが「Don‘t Go Away」
の1992年Verも聴いた事あります)
↑ これなんか有名ですが、
1992年にOasisが地下の練習場で
「All Around The World」を演奏している動画。
そもそもノエルは1991年にOasisに加入する時、
メンバーに「Live Forever」を聴かせる事で
納得させ、支配権を獲得したのです。
ノエル自身の発言ですが、加入当時は
ギターの腕としてはボーンヘッドの方が全然上で、演奏力だけでは敵わなかった。
(そもそもOasis(の元となるバンド)
はボーンヘッドが作った)
だから、「Live Forever」みたいな曲を
披露しなければ『あっち行け、いらねえ』と
言われていたと思う、という話でした。
でも、ノエル。これだけの曲を恐らく
最初期から相当数持っていたにも関わらず
1994年のデビューまで、いや何なら
その後もずっと名曲の発表はいつも最小限に
留めてやりくりしていました。
YouTubeに1992年とか1993年
のライヴの音源がアップされてますが
「Live Forever」すらやってません。
ノエルは
自分を含めたメンバーの演奏力や
リアムの歌声の成長具合、世間の注目度、
自分たちの録音にお金がかけられる様に
なってからの方が映える曲という観点で
頭の中で認識し、計算し、把握していて
初期は出来るだけ簡単で勢い重視でも
演奏出来るモノから手を付けていき、
段々とグレードをアップさせ、
いわゆる大バラードみたいなモノは
随分後まで温存しておこうと。
そういう作戦だったようです。
結果、『BE HERE NOW』にはデビュー前から
温存に温存した大曲である
「Stand By Me」「Don‘t Go Away」
「All Around The World」みたいな曲が
ドカドカ収録される事になった訳です。
いいんです。
けど、曲って鮮度ってもんがあるんです。
ノエルの判断は決して間違ってなかったとは
思いますが。
『BE HERE NOW』のリアムの声は
2ndともまた違い、ライヴを重ねに重ねた結果
かなり安定した歌声になっています。
もしかしたら上手さを含めた総合力で言えば
Oasisのアルバムで一番かも知れない。
ただ、ある種の勢い。
初期のバンドしか持っていないノリみたいな
モノはもうありません。
上記の流出動画の中でのノエルやリアムの、
人気が大爆発する前の若々しい雰囲気は
1997年には消えてます。
ただ、どうしようもなかった事も事実です。
あまりに名曲が多すぎた訳ですから。
「Supersonic」も「Slide Away」も「Whatever」も
「Wonder Wall」も「Don‘t Look Back In Anger」も
「Champagne Supernova」も「The Masterplan」も
手札としてあったんです。
大渋滞です(笑)
ですから、結局こうなったと思います。
3rdの曲たちをもっと1994年とかに
勢いよくやる事も出来たのでしょう。
でも、なんだかんだノエルの出し方は
間違ってないと感じます。
🌟ミスチルの『BOLERO』みたいなアルバム
Oasisから少し離れますが、ミスチルのアルバム
で『BOLERO』というモノがあります。
『BE HERE NOW』と同じ1997年に発売され
それこそ全体的な雰囲気はブリットポップ、
及びOasisの影響をまじまじと感じる大作。
ミスチルの『BOLERO』の中には
「Tomorrow never knows」
「everybody goes−秩序のない現代にドロップキック−」
「【es】〜Theme of es〜」
「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」
「Everything(It‘s you)」
など死ぬほど素晴らしい名曲が詰め込まれて
います。
売上も大成功で300万枚以上売れました。
(『BE HERE NOW』も800万枚以上売れた)
しかし、これだけの大名曲のオンパレードの
『BOLERO』を「大傑作だ!」「大好き!」
みたいな事を言っているファンを
あまり見ないのは僕だけなんでしょうか?
なんか言ったら「深海」もしくは
「Atomic Heart」などに軍配が上がっている
印象です。
これも結果的にですが『BE HERE NOW』と
似たような事になってるのかな、と。
お腹いっぱいアルバム
とでも言いましょうか。
詰め込み過ぎて若干、焦点ボケしているというか。
ミスチルの『BOLERO』も、「Everything(It‘s you)」以外のシングル曲は
1995年までに発売されていた曲たち。
それを急に「深海」というコンセプトなアルバム
をはさんだ事で、収録を先送りにされ
当時は勢いよく出した筈の名曲たちが
詰め込み福袋セットみたいな感じの収録に
なっています。
名曲が出来すぎるミュージシャンの
贅沢な失敗というか(笑)
ファンの皆様スイマセン。
でも、僕はOasisもミスチルも大好きです。
🌟結論:『これでいいのだ』。
何にも変えなくていいと思いますし
勿論、駄作などではありません。
1st、2ndと聴いて来て、そのノリで
聴いたとすると始めは「…..ん?」ってなるかも
知れません。
でも、長く付き合えば付き合うほど
味が出てくるまさにスルメアルバム。
めっちゃどうでもいい余談ですが
1995年のロッキン・オンだったと思いますが
ノエルのインタビューで
『次のアルバムはビートルズの
【リボルバー】と【ホワイトアルバム】を
足した様なアルバムになる予定だよ!』
みたいな事を言っていて
どういうこっちゃ、と思ったのと
その結果がコレなんかい!とは思いましたが
別にOasisに【リボルバー】も【ホワイトアルバム】
も期待してないんですよね、我々は(笑)
そういうのはレディオヘッドやコールドプレイに
まかせておいたらいいと思います。
大まかに言うと一個の技しか持ってない。
でも、最強!
というのがOasisなんですよね。
メロディーが死ぬほど良くて
超ロックで良い声。
よく考えればバンドの超王道の生き方。
『それがあれば苦労しないよ』
というのを地で行った人々、Oasis。
再結成後も期待してます!
ではでは、ここまでです。
ついつい熱がこもって『BE HERE NOW』
みたいに長い記事になってしまいました(笑)
ありがとうございます☺️✨