学園祭の電源事情

秋の大学祭シーズンが一段落。

ありがたいことに、毎年何校かの学祭の音響で依頼があるので、この時期は毎週末機材の準備や設営で朝から深夜まで大忙しです。

規模もまちまちで、サークルライブから大学のメインステージまで、様々な規模と予算で大学によっての個性が出てきます。
まぁ、全体的に予算は限られてて、正直規模に対して予算不足は否めないのですが、成功に向けて少しでもサポートしてあげたいという気持ちから、採算度外視して多めに機材を確保して持っていくことが多いです。

結構勘違いしている人が多いのですが、高価な機材やケーブル、エフェクターやアンプ、たぶん多くのバンドマンはそういう部分を気にして、いい音作りをしたいと考えていると思うのですが、実際、一番大事なのは「電源」です。
電源ケーブルじゃなくて、電気そのもの。
例えば野外ステージ、どんなに立派な機材を用意して、大迫力の音響機器を手配したとしても、電源が教室のコンセントから延長して引っ張ってくるもの1口だけでは、全く役に立ちません。というか、鳴らせません。
出店で使うような可搬式の発電機も、下手したらPCとかデジ卓とかは故障の原因になるし、安定しません。
"爆音で"なんて要望もありますが、電源がちゃんとしていれば出せますが、なければ出せません。いくら大きなアンプを用意しても。

機材の話になると、MARSHALLのどのタイプのヘッドが欲しいとか、ベースアンプの種類があーだこーだとか、モニターは全員分欲しいとか、バンドマン的な要望ばかりが目立つのですが、一番お金をかけてほしいのは電源です。そこを削ってまでアンプをよくしても何の意味もないし、トータルで出せる音量にも限界があります。
その範囲の中で、しっかりボーカルが聞こえるくらいの音量バランス、それに合わせた楽器類のアンプサイズ、そういう考え方が大事なんじゃないかなと思います。
もちろん、デカいアンプで爆音だして気持ちよくなりたいという気持ちもわかりますが、それはスタジオで一人でやってください。

意外とこういう話を理解してもらおうと思って説明しても、なかなか伝わらないのがつらいところ。
音量が出ないのがPAのせいだと決めつけられてしまうような時もあって、それはとても残念なのですが、普段ライブハウスで気持ち良くライブができるのは、そういう電源事情もしっかりクリアされている環境だからというのを忘れないでもらいたいです。野外とか、ライブハウスではない場所にライブの環境を作るのはとても大変なんです。

いつだったか、勾当台の野外音楽堂で専門学生のライブ企画があって、15Aが1口しかないところからメインスピーカー、サブウーハー、モニター4系統、さらに照明、スポットライト、楽器電源と、全部1か所から確保していたようで、電力不足でエフェクターが故障したりアンプが落ちたり、キック踏むたびにパーライトが弱くなったり、はちゃめちゃになってる現場を見たことがありました。

大事なんですよ、電源って。


自分が担当する時には、そういうところも理解してもらえるように心がけてはいますが、ぜひバンドマンもそういうところを気にしてもらえたら嬉しいです。
よりよいライブにしたいと思う気持ちは一緒です。
頑張りましょうね。

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