自由律俳句？　ー其の十ー

入りづらい店には土日に行く


卵の殻が添えられた鉢植えめっきり見なくなったあれは平成の中盤頃に絶滅したのだろうか

もうバルサンしかないようだ


寒さのあまりすかしっ屁したばかりの布団に潜り込んでしまった

セルフカットという名のただの美容院に行かない人


試し書き用紙に隙間なく書かれた落書きに一度も使われなかったペンを買いたいという強い思い

胸が大きい人を見ると「うつ伏せで寝るの大変そう」と思ってみてちっとも羨ましくないことにする


雷と豪雨が好きだけどそれは不謹慎なのか

使ったこともなければ耳にしたこともないけれどなぜか小説には頻繁に登場するリノリウムの床どんな床


寝具売り場働いている時だんだんとなじんできますがお決まりのフレーズだったがそれはだんだんへたってきますの不規則変化活用

手放して後悔しているものを定価より高くメルカリで買うことで学ぶこの世の不条理


雨の日はいつも膝下が一番濡れている人になってしまう

ヤンキースのキャップ被ってる女子大生に「好きな選手誰？」と訊いてみたいジャッジすら知らないことはわかっている


今日3つ目の卵を食べても良いものか

時代に置いてけぼりをくった古いMacBookをワープロとして使っている


ヘルシー食品大代表の豆腐を揚げるなんてことなぜした

強調したい部分がことごとく太字になっている太字まるけの本を読むと引く


一緒に秘宝館に行ってくれそうな人を選別している

文庫化されたら絶対に買うんだけどなというただの言い訳


今日一日くらいドブに捨ててもいいのでは
今週一週間はもう捨ててしまってもいいのでは
もうこんなことなら今年一年くらいドブに捨ててもいいのではないだろうか