「事象」と「問題」を混同していませんか?
「事象」と「問題」を混同してしまうと問題解決が出来なくなるどころか、問題ではないことを問題にしてしまうことがあります。今回はこの違いについて書きます。
事象:客観的事実
問題:理想と現実のギャップ
具体的な例を用いて説明します。
■ 事象
彼は標準体重より重い。
これは問題でしょうか?事象でしょうか?
これは事象です。事象とは100人が見て100人が同じ受け取り方をするもの、つまり誰がどう見ても変わることはない事実です。彼が標準体重より重いのは誰が見ても変わらない事実です。
でも、これが問題になるとは限りません。問題と判断するためには「理想」と「現実」が必要です。
■ 問題
理想:彼は標準体重を維持しようとしていた
現実:彼は標準体重より体重が増えた
このように理想と現実にギャップがあるから「問題」になります。「事象と何が違うの?」と思われるかもしれませんが、もし彼が筋力アップを目指しているスポーツマンだったらどうなりますか?
理想:彼は筋力アップで標準体重より体重を増やそうとしていた
現実:彼は標準体重より体重が増えた
この場合、理想と現実にギャップがありません、つまり、標準体重より思いことは「問題」にはならないということです。
このように「標準体重より体重が増えた」という事実を「理想」と照らし合わせることで問題か否かを判断できます。
■ 事象だけをみて問題と判断してはいけない
私の経験で「仕様通りに作ったらエラーになる。これは問題だ!」と言う人がいました。仕様通りに作ったらエラーになるというのは事象でしかなく、「本来どうあるべきだったのか?」がないと問題とは判断できません。
もしかしたら「仕様通りに作ってエラーになる」ことが正しいのかもしれません。実際にそういうことがありました。エラーになることが間違いだと思い込み、エラーにならないようにソースを修正して問題になりました。
私はチームメンバーが「問題があります!」と言ってきたら、「本来どうあるべきところが、どうなっているから問題なのか?」と問うようにしています。これは問題と事象を明確に分けると同時に、私自身が思い込みをしないよう状況を整理するために行なっていることでもあります。
プロマネが思い込みで突っ走ったらそのプロジェクトは崩壊します。プロマネは状況を正しく捉える必要があります。そのためには「問題」と「事象」を明確に分けて考えることは必須です。
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