映画のかんそう(18)
twitterに垂れ流した映画の感想を集めてみた第18だん。
主に映画はTVの、深夜とかテレ東の昼間にやっているのとかを録画して、真夜中にひとりで観ています。
基本的に1映画1ツイート。(1ツイートで収まらないことが多くなってきましたが。)
ウエストワールド(1973年)
Westworld (1973)
映画『ウエストワールド』観た。ロボットがキャストを務める富裕層向け体験型テーマパーク「デロス」。決して人間のゲストに危害を加えないはずのロボットが、原因不明の故障により制御を失う。50年も昔のパニックSFだけど面白いなあ。
デロスのエリアのひとつ、19世紀アメリカ西部開拓時代がテーマの「ウエストワールド」において、主人公たるゲストの宿敵ポジ強キャラ、ユルブリンナー演じるロボット「ガンスリンガー」の無慈悲なまでの高性能さよ。ターミネーターやプレデターといった、後の作品の恐るべき追跡者の原型を見た。
ピエロがお前を嘲笑う(2015年)
Who Am I - Kein System ist sicher (2014)
映画『ピエロがお前を嘲笑う』観た。殺人容疑で指名手配されたハッカーが出頭し、事件の経緯を語るクライムサスペンス。スタイリッシュさだけが売りの陳腐なクライムサスペンスかと思いきや、多段構えのトリックに見事にやられた。面白い。
ダークウェブ上のやり取りやラスボスとのハッキング対決を、暗い地下鉄車両内の覆面集団のわちゃわちゃで表現してるのいいね。
主人公の動機がぼんやりしてて物語のスピード感に対して全く乗り切れない感じとか、ヒロインのマリの存在が意味不明だったり、シュテファン(好き)とパウル(もっと好き)がキャラの濃さの割に存在感がないとか、正しく捜査官のセリフ「奴の話は穴だらけだ」に共感。これ狙ってやってるの凄い。
主人公の部屋に貼られたファイト・クラブのポスターに気付かされたのは純粋に悔しい。もう一回観よう。
ナイト・オン・ザ・プラネット(1992年)
Night on Earth (1992)
映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』観た。タクシー運転手とその乗客の、LA、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキを舞台とした5つのエピソード。興奮も爆笑も感動も、思わず唸るようなオチや、予想外の超展開なんてものも何もない、穏やかで静かな会話劇。しかし何度も見返したくなる何かがある。
ひとつめのエピソードにウィノナライダー。小柄で若く貧しいが、タフで芯のしっかりした女性タクシー運転手を演じる。ふたつめのエピソードは、東ドイツからやって来たばかりで英語も運転もままならないヘルメット(ヘルムート)と、口は悪いが面倒見のいいヨーヨーの、軽妙な掛け合い。
ヘルメットはカワイイなおじさんだが、ヤツのタクシーには絶対に乗りたくねえ。みっつめのエピソードは、盲目の女客とコートジボワール移民運転手の、相容れない価値観のギャップを埋めようとしてやはり埋められない話。後味が不思議と壮快。
よっつめは、たまたま乗せた神父相手に、運転手が独り言めいて勝手に延々とくだらない罪の告解をする不謹慎なシチュエーション・コメディ。心臓の悪い神父が発作で苦しみだしてからが本番だ。衝撃の結末に変な笑いが出た。
いつつめ、最後のエピソードは、凍てつくヘルシンキの深夜に淡々と語られる、しんみりした悲しくも不幸な話だ。何かこう、希望を感じさせるようなラストに救われる思い。
ワールド・ウォーZ(2013年)
World War Z (2013)
映画『ワールド・ウォーZ』また観た。やっぱ面白えな。WHOの研究施設に辿り着くまでの、余計な説明や描写を廃した問答無用の圧縮展開が良い。特に秀逸なのは冒頭のザッピングめいてパッチワークされたニュース映像音声で、未知のウイルスに対して為す術なく蔓延を許す様をほんの数分で描ききってる。
この映画固有の余計なゾンビ設定を持たないのも良い。既存の類型を逸脱せず、見せるべきものだけ見せて鑑賞者に解釈させ、超高速のスピード感を維持。研究施設までの道程を中弛みさせずに一気に持っていって、一転して施設内で緊張感MAXのステルスゲー。動と静の極端過ぎるコントラストが好きだ。
スーパーマーケットの薬売り場に立て籠るジャンキーぽい若者、なんの見せ場もなくあっさり退場する期待のウイルス学者、北の決断的過ぎるZ対策を語る元CIAエージェント、短い登場にも関わらず印象的なキャラクターも多い。そしてやっぱり、壁を越えてボタボタと降ってくる大量のZ、このシーン超好き。
居眠り磐音(2019年)
映画『居眠り磐音』観た。旧き良きチャンバラ時代劇めいた、どストレートな勧善懲悪もの。松坂桃李演じる坂崎磐音、優男で普段はおっとりした頼りなさげな雰囲気だが、困ってる人や悪党を見過ごせない正義漢であり、剣の腕も立つうえ頭も回るスーパーヒーロー、正しく時代劇の主人公。
チャンバラは昔ながらのどっしりした殺陣ではなく、スピーディなアクション格闘で、これはこれで見応えあり。孤狼の血でもそうだったが、覚悟キマった松坂桃李の表情の変化が凄まじく、凪いだ湖面の如き静かな無感情の奥から、恐るべき暴の気配が沸き上がる様にゾクッとする。
前半の江戸の道場から故郷豊後関前藩での事件までの怒涛の展開と、後半は再び江戸でのジリジリとした悪徳両替商との心理戦。それぞれ1本づつの映画にできそうなものを、1つに詰め込んだ無理矢理感はあるものの、中弛みせず一気に観させる。
一人だけ演技の質量が違う柄本明が面白い。無駄にしぶとく、時代劇コントじみたオーバーアクトとも見えなくもないが、大変良い悪役ぶりであった。
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