傷有り、横たわりにより、彼盲目、女知らず
知らない。知らん。知りたくない。知る?でも、知りたくないような……。そうは言っても、そう思うこともぼくの我がままなのか?
このように、ぼくは、ぼくの中での言い訳を並べ立ててみたが、それでも、ぼくには理解できない。
彼女の体の、心の、島のようにも見える傷。ぼくの目には一際、目立つ。最初から、それしか目に入らないぐらいに。
でも、その傷は氷山の一角。見えていた部分は、ただの一握りでしかなく、ごく一部の材料だけでしかなかった。
ぼくは彼女が苦しそうに見えるから手を差し伸べた。同情?いらないの?差し伸べた手を払いのける彼女の気持ちがわかってあげられない。まだ分からないだけなのかもしれない。ぼくは心の傷ついた小さな動物を手名付けた経験がなかったのだから。
それでもまた、ぼくは手を差し伸べたくなっていた。あなたの気持ちはどう?何度か手を差し伸べただけでは、気持ちは変わらないのだろうか。気持ちが和らぐことなどないのだろうか。
そんな彼女。でも、やたらに強引な気持ちのときもあるらしく、ただし、その割には奥手で、何もしないような素振りで、何かをしようとしていた。
そういえば、嘘?も時々ついていた。それとも全部もろとも嘘だった?のか。でも、ぼくにはわからない。ぼくは、あなたを知らなかったから。いまだにぼくは、彼女が嘘だったのか、意図的な嘘か、嘘をつくのが好きだったのか、嘘にとらわれていたのか、わからない。
裏腹?な様子もあったのか?言葉の綾なのでしょうか?ひねくれか?いずれにせよ、かなしいじゃないか。それともぼくがしつこいのかもね。うん。
彼女は、体は小さいけれど、人一倍の勇気と人1人分以上の悲しみは持っていた。
ぼくはわからない。わからなかっただけでしょうか?聞きたくても、聞けなかったぼく。弱虫なだけ?だった。
あの子の服の種類は、豪華じゃないけど何気に豊かだった。服だけは工夫したい様子で、スカートは一切はかなかったけれど、スカート以外の服で工夫していた。ぼくは、過去の僕が彼女の状況をもっと深く知らなかったのが悲しい。
ぼくにもっと言ってくれればよかったのに。言えなかった?言う必要がなかったのかもね。だったら、ぼくはしつこいなあ。
彼女が頑張っているのに、ぼくは見ていなかった。彼女はどうやら影の努力者?みたいで。ぼくが見れていないだけ?だったらしい、ごめん。
ぼくが苦しがっていたときは、彼女には相当苦しく見えていたようで、強い彼女は、珍しく泣いていた。スカートも履けないような子なのにね、ごめん。
そんなこんなで彼女とぼくに踊らされるぼく。見ないでいてほしいぐらいに不甲斐ない。
もう一度会ったら……、なんて言わないよ。
悲しいなあ。