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憲法条文コメンタール(内閣編)案

滝川沙希です。
今回は、憲法5章の内閣に関するものです。国会同様、簡潔なものとなっていますが、ご一読なさっていただくと嬉しいです。

第5章 内閣


第65条
行政権は、内閣に属する。

「行政」の定義については、国会作用から立法と司法とを除く残余の作用」という控除説の内容を暗記(再現できなくても良い)して。他説は不要です。なお、控除説の理由付けは、①「国王から権力を奪ってきたという沿革」に沿うから、②もれなく把握できるからという理由も覚えておきましょう。
※独立行政員会(例:司法試験委員会)の合憲性がかつて問題となりました。独立してるなら内閣に属してないんじゃ?ということですが、①独立行政委員会中立的な行政を行うための機関である(政治的内閣から独立させる必要がある)こと、②内閣に専属していなくとも、「属する」といってよいということから合憲と理解されています。

第66条
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。


「首長たる内閣総理大臣」とは、内閣総理大臣が他の大臣よりも上位であることを意味しています。当たり前のようですが、明治憲法下ではそういう規定がなく、いろいろ揉めたようです。
「文民」とは、「過去に軍人でなかった」かつ「軍国主義思想をもっていない」の二つを満足しないといけないそうです(政府解釈)。行書試験では、あまり出題されないかな。
「連帯」「責任」とは、内閣の成立を議会の信任に依存させるということを意味します。通説である責任本質説によれば、内閣とは、①国会と内閣とが一応分立していること、②内閣が議員に「責任」を有することの二要素からなります。

第67条
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

※66条3項以外にも、議院内閣制を採用していることの根拠にあげられるようです。
※1条後段の「指名」は「他のすべての案件に先だつて」のはずですが、衆院議長選挙は別です。そうでないと指名投票ができないからです。

※2項の両院協議会は必要的です。条文にあるような状況となったときは、必ず開催しなければなりません。必要不可欠的です。59条3項とは違いますね。条文をみておいてください。

※衆議院の議決が参議院に優越していることは、両院対等の原則(42条)の例外ですね。

第68条
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

※財務大臣→財務省のような対応関係がない大臣を任命することもできます(無任所大臣)。たとえば、ハンコ大臣とか。

※半数は、「国会議員の中から」ですので、ここでも責任本質責任説の根拠がでています。

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