憲法条文コメンタール(国会編)案
滝川沙希です。
憲法「第4章 国会」について、要点を書いていきます。
憲法は、行政書士試験の受験生にとってマイナー科目となっているうえ、統治の条文については手が回らないということも、よくあることです。
今回は、逐条解説的に必要な点を記載しました。口語体で書くように努めていますが、それはなるべく頭に残るようにと考えてのことです。
各種公務員、学内でのミニテストにもご利用いただけると思います。
※条文を含めて7000文字程度とそれほど多くの知識を掲載していません。「これくらい」で済むのかと思う前に、これが憲法の、しかも国会の分野だけにすぎないことをもう一度確認してみてください。「これくらい」ができていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
※何の言及もない条文があります。「重要でない」訳ではありませんが、試験との関係で思い切って割愛しました。
憲法41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
※「最高機関」とは、国会議員が選挙で選ばれたという意味で、民意を体現してるわけで、そういう国会議員からなる「国会」ってすごいね~。
そういう言う風に、忖度してると解釈するのが政治的美称説(通説)です。換言すると、法的意味はないと言っています。
※「唯一」という言葉から解釈されるのが2つの原則です。
1)国家中心立法の原則。「国会以外の機関による立法は許されないとする原則」です。
聞かれるのが、例外を覚えてますか?ということ。
①両議院での議員規則制定権(58条2項)
②最高裁判所の規則制定権(77条1項)
③法律による委任立法(これを前提とする規定が73条6号但書)
①と②を覚えておけばよいです。根拠なる条文(58条2項とか)は覚えなくてよいです。
2)国会単独立法の原則。「国会は立法手続きを独占する」という原則です。他の機関の力を借りずに独力で立法できるということですね。これも例外を聞かれます。
①内閣による法案提出権(72条):法案は、「議案」に含まれるから。
②地方特別法の住民投票(95条)
条文で決まっていることをわざわざ例外だと大袈裟にいうのは正直なんだかなという気もしますが、法学はそんなものです。
※中心立法と単独立法とが選択肢で、しれっと入れ替わっていることも想定されます。ボンヤリでよいので、~制定権が国会中心立法であることを整理して暗記なさってください。
※「立法」機関とあるけど、立法って何やねん。
立法は、「一般的抽象的法規範の定立」といわれる(宮沢→芦部説)。これは批判もありますし、実務では受け入れられていませんけど、一応知っとく程度でよいです(暗記不要)。実務は、「国民の権利を直接制限し、義務を課す法規範」といわれています。
これって、行政法で学ぶ侵害留保説です。憲法と行政法はここで交わるんですね。
憲法42条
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
※衆議院と参議院とがお互いに抑制均衡しますよね。だから42条も権力分立の構成要素だったりします。知っておくと頭が整理されますね。
憲法43条
両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
※「全国民を代表する」という言葉ですが、議員は国民をどのような「代表」するのでしょうか。代表とはどんな意味なのか。
代表というのは、①自由委任が基本です(正当性の契機)が、これに②国民と議員の政治的見解が事実上一致すべきであるという要請(権力性の契機)も加味します。
※国民が国会議員を自由委任しないということになると、特定の業界団体のいうことばかりを聴いて、「全国民を代表」しなくなるでしょ。だから自由委任が基本ということです。
※正当性、権力性の契機は、憲法総論で学びますが、??という方は、そちらで勉強なさって。まずは無視してください。
※議員定数を一般教養で聞かれるかも。
衆議院議員:465人
参議院議員:242人
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