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新古今和歌集のある生活11「明日がある」
令和7年2月12日(水)
宮崎での業務2日目が終了しました。今日からテーマは夏目漱石の『こころ』に入っています。
『山月記』も『舞姫』も好きだけど、業界人としても読書人としてもやっぱり私にとっては『こころ』なんですよねぇ。中学2年生の時に初めて全編読み切って、最後のページを読み終えた時のあの感動は、他の作品ではいまだに味わったことがありません。大げさでなく世界が変わってしまいました。それからしばらくは見るもの聞くものすべてが子供っぽく見えたものです。自分にとって「大人になった瞬間」であったように思います。
今日は約30年前に『こころ』が映像化されたものをみんなで視聴して(許諾が結構大変だった。だって先方は誰も覚えてないんだもん。)、感想交流会。それから「文学作品の映像化」についてのアツいディスカッションが行なわれました。そうそう、こういうのを、私たちは常にやりたいんですよねー。
やりたいことがあれば、すぐにやればいいのに、急の雑事を言い訳にして後回しにしてきた気がします。新古今集や百人一首こそ、何とか進めてこられたけれど、『こころ』は結局は形にできていません。これをやらずして、この業界での使命を終わりにはできない、そんな気持ちで過ごして来たのですが。
「明日からは若菜摘まむとしめし野に昨日も今日も雪はふりつつ」(新古今和歌集・巻一・春歌上・山辺赤人・11)
昨日も今日も雪が降り「つつ」、ですからおそらく連日降り続いて明日も見込みがないのでしょう。そんな落胆とそれでも明日へ期待してしまう、そんな思いが伝わってきます。
でもね赤人クン、雪が降っていても頑張って今日行った方がいいと思いますよ。明日やろうは馬鹿野郎て誰かが言っていましたから。 あ、でもくれぐれも気をつけてね。